東雲座・・紺屋阿弥陀寺町411番 電話248番 座主 中島茂七
明治40年に東京から尾上梅幸、市川羽左衛門が来て歌舞伎を演じたとき劇場の結構に感心して、帰路大阪の新聞記者に「熊本の東雲座のやうな劇場は東京にも余計はありません。」と語ったとか。また42年3がつには川上音次郎が壮士劇を演じ貞奴なども来演している。
旭座・・川端町23番地 電話644番 座主 脇坂乙熊
元は下河原公園内にあって末広座と称し、黒田茂八の経営であったのを今の座主譲り受け場所を川端町へ移し新築したものである。熊本の劇場ではこの旭座がもっとも古く、老舗の面目にかけて東雲座と対抗して相譲らぬところがあった。大阪から壮士劇などを呼んで上演していた。
大和座・・山崎練兵町78番 電話744番 座主 古城卯三郎
明治41年の開業。「結構堅実にして設備巧妙を極め」と紹介されている。大阪の歌舞伎役者中村福圓などが舞台をつとめている。
以上が明治42年頃の熊本の劇場ですが、このほかに手頃な木戸銭の敷嶋座という小屋が新鍛冶屋町にあり、また下河原公園内にも喜楽座という寄席がありました。