昨日行われた、愛知県公立高校入試問題解説 Aグループ 社会科 の解説をします。
問題数は、伝統的に歴史7,地理7,公民6という伝統的な割合でした。
地歴公の組み合わせ問題は、今回はありません。Bグループでは可能性が大です。
1 歴史的な史料と事実を結びつける問題です。
(1)写真より「水稲」は明らかです。選択肢はどれも時代的は正しいのですが、説明文中の「土地や水をめぐる争い」から考えさせるところが新鮮です。
ここでの解答は平易ですが、問題の読解力が試されるという点で、今後のためにも注目したい良問です。
(2)貨幣の問題です。
貨幣が入試で問われるのは、奈良時代初期の国産「和同開珎」か、宋や明の時代に中国から輸入した銅銭ぐらいでしょう。秀吉以降は国産です。
ここでは、中国ですので、宋銭のことでしょう。
中国の王朝は、大まかに「ずと、そう げん みん しん」と覚えましたね。「隋・唐・宋・元・明・清」
唐の後に「、」があるのは半世紀の間「五代十国」の時代があるからです。
さて、問題です。愛知県の歴史の定番「同時期問題」。
これは、おおよその年号が役に立ちます。年号は歴史の住所なのです。
「年号なんて覚えなくてもいい」という人もいますが、私は「年号を覚えた方がはやい」と思っています。
※ 覚え方はここでは省きます。
14世紀は、日本は鎌倉前期、中国は宋の中期です。それが分かれば簡単です。普通なら・・・。
ここは、「十三湊」が正解なのですが、「十三湊」のことを知らない人も多いでしょう。
そうなると、消去法を用います。
イ 問屋制家内工業 :江戸時代の中期以降からでしたね
ウ 朱印船貿易 : 秀吉以降です。
エ 金銀、大名と来れば江戸時代は明白です。
落ち着けば正解にたどり着けます。
(3)火縄銃の問題です。
大河ドラマ「麒麟が来る」でも、重要なアイテムでしたね。
これは、ポルトガルがテーマ。「カトリックである」とあるので、対抗するのは「プロテスタント」は明白です。
そして、①は?
モンゴル帝国は、先ほどの「宋元明清」のとおり、「明」の登場でほぼ壊滅状態です。「明」といえば、足利義満!
火縄銃の登場より、随分前ですね。
オスマン・ポルトガル戦争のことを知らなくても、オスマン帝国を選べます。
これも頻出のカード(生徒作品)問題です。知識を直接問うよりも、ワンクッション置く形になり、平成10年ぐらいから増えてきたパターンです。
まず史料を見てみましょう。
Ⅰ 明治維新っぽいですね。
Ⅱ 普通選挙っぽいですね。
Ⅲ 「安保」の文字が見えます。
(1)明治維新について考えます。
①は福沢諭吉です。「身分」は容易です。
「教育」制度が不要のわけはなく、選択肢として簡単すぎます。疑問符が付く問題です。
②は、日本文化を守った「岡倉天心」です。これも、消去法でも正解にたどり着けるでしょう。
「岡倉天心」が愛知県で出題されたのは、私は思い出せません。
出題の幅を広げるという意味では、一歩踏み出しています。
(2)2つの史料をまたいでいます。
C:「有権者」という言葉があるので、直感的に「Z」ですね。
ただ、治安維持法と絡めれば難問も作ることが出来そうです。
E:安保関連です。「結ぼうとした人」ということなら、「Y」は自然でしょう。
(3)普通選挙法当時のことを尋ねています。
③ 日本最初のメーデーは、知らない人が多いかもしれません。
1919年ソ連コミンテルン発足の流れで、世界に労働者運動の流れが広がり、1920年に日本で初のメーデーが行われました。
これが、1925年の治安維持法につながっていきます。
ただ、これを知らなくても、消去法でたどり着いた人が多いのでは・・・。
④ ワシントン会議と聞けば「軍縮会議」と条件反射のように出れば簡単です。
欧米と協調して平和を目指しました。
しかし、わずか数年後に満州事変へと・・・・
時代には転換期があるものです。
(4)安保条約の問題です。
知識というよりは、読解力の問題です。
歴史を流れとして理解してれば簡単な問題ですが、用語だけを暗記している人には戸惑ったかもしれません。
トータルで見て、領域をまたいだものがなく、難易度としては例年並みか、それよりも簡単だったと思います。
逆に、B日程が心配ですね。
次は、地理の問題を解説します。