端山孝／ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-13 06:40:41 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　端山孝を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、端山孝　人のやらないことをやろう　-アンテナのトップメーカー、マスプロ電工を創設-　

端山孝(1930~2007)　人のやらないことをやろう　-アンテナのトップメーカー、マスプロ電工を創設-

■電波少年の夢
無線通信機の製造から始まり、テレビ電波受信用のアンテナで国内トップクラスのシェアを持つマスプロ電工を1代で築いたのは端山孝 (1930~2007) である。
端山孝は1930(昭和5)年7月、名古屋市瑞穂区に生まれた。ラジオや機械いじりが好きで、山北藤一郎『少年技師の電気学』 (1936年) に影響を受け、将来は「電気で食っていこう」と考える少年だった。明和高校を経て、名古屋工業大学金属工学科に進んだが、大学を中退して、 1953年8月アマチュア用通信機や通信用ラジオを製作するマスプロ技研工業を、名古屋市守山区に創設した。

■マスプロ電工 : アンテナ製造のトップメーカーへ
1954(昭和29) 年には、新たにテレビアンテナを手がけ、翌55年には昭和電機工業を立、熱田区沢下町に工場を設ける。 1961年マスプロ電工へと改工場を日進町 (現:日進市)に移し、66年には本社も移転しマスプロという社名には Master ofProduction、「生産の覇者」という大きな志が込められていた。
端山社長は、テレビ時代を予想してアンテナづくりに狙いを定めて事業を展開し、「人のやらないことをやろう」を経営方針に掲げ、積極経営を進めた。カラー放送、ケーブルテレビ、衛星放送などテレビが多様化するなかで、業績を伸ばした。1964年2月のカラーテレビ用に赤と青にアンテナを塗装したのが当り、また、企業キャラクターにマスプロサンダーズを採用し、「見えすぎちゃって困るのォ」というコマーシャルがヒットして、
マスプロ電工の知名度もあがり、72年にはアンテナ業界1位となった。

■マスプロ美術館の設立
「美しさが分からければ良い物は作れない」と語る端山は、自らもカメラ、バラづくり、浮世絵のコレクション、色絵陶磁器の収集など多彩な趣味を持っていた。特に、開化時代の浮世絵や錦絵のコレクションでは世界一の収蔵量を誇り、自ら著書『幕末明治文明開化』を著した。 1975年には本社構内にマスプロ美術館を設けて一般公開している。当時の社会を生き生きと描いた浮世絵は、近代史を直接目に出来る貴重な資料となっている。
謝辞パネル作成においてはマスプロ電工の関係者のご支援をいただきました。記して感謝します。
(浅野伸一・黒田光太郎)

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