北方領土に触れる社があるか。
今朝の社説を見てみましょう。
朝日新聞
・ 政府の電源論議―欠かせない使う側の視点
読売新聞
・ 膨張続ける中国 「法の支配」による秩序構築を
毎日新聞
・ 農地転用の許可 中身を伴った分権だ NEW (2015年02月08日)
・ 視点・非課税贈与 格差社会を相続しても=福本容子 NEW (2015年02月08日)
日本経済新聞
・ 多国籍企業の課税逃れ封じる仕組みを
・ もんじゅは正念場と心得よ
産経新聞
・ 北方領土の日 71年目の不法占拠許せぬ 露は歴史歪曲改め即時返還を
中日新聞
・ ピケティと暮らしの明日 週のはじめに考える
※ 北方領土に触れたのは、昨日の毎日、今朝の産経だけでした。
しかも、明日は新聞休刊日。70年の節目にしては、取り上げる社が少ない気がします。
ここでは、中日を取り上げます。
「話題の本「21世紀の資本」のトマ・ピケティ教授が来日しました。「格差の拡大」を歴史的な事実として示した研究には、問いかけがいっぱいです。」
『21世紀の資本』みすず書房 トマ・ピケティ(著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜 (翻訳), 森本正史 (翻訳) \5,940
700ページを超える、高価な本です。
そのため、解説本も出ています。
読後感想にも・・・
本書の主たる主張はごく簡単に言い表すことができ、本文中で何度も繰り返される。
- 人類の歴史のほとんどの期間において、資本収益率は成長率を上回っている。(つまりr>g)
- r>gであると、富は賃金所得や産出を上回って成長し、持てるものと持たざるものの格差はどんどん拡大する。
事実、20世紀以前には一握りの金持ちと大多数の生活に困窮する庶民で社会が構成されていた。
- 20世紀後半に比較的格差が縮小し、そこそこ裕福な中間層が出現して穏健な市民社会が実現したのは、2度の世界大戦による富のリセット、インフレ、各国の格差縮小的な税政策、歴史的に見て例外的な高度成長の継続、などの要因が重なったためであったが、今や成長の時代は終わりを告げ再び格差拡大の時代に戻ろうとしている。
- 格差拡大を防ぐためには、高度な国際協力と資本に関する情報開示を基礎とした累進資本税の導入が最適な解決策である。
(中略)
このまま格差が拡大していけば、行き着くところは暴力による格差の修正、つまり革命と戦争の時代の再来ということになる。
悪夢を回避して平和な社会を継続していくことはできるのだろうか。
最後の一文は、これまでの歴史から十分予想ができます。
社説に戻ります。
「法人税減税など大企業の利益を重視した政策は、富めるものが富めば下へと富がしたたり落ちるトリクルダウンと受け止められています。しかし安倍首相はその見方を強く否定しました。歴史的な事実として「トリクルダウンはない」というピケティ教授の研究成果を意識したのかもしれません。」
「世襲財産のあるものだけが豊かになるなら、どんなに頑張っても報われない世の中になります。富裕層は政治的な発言力が強く、公平や平等が土台の民主主義が揺らぎかねません。」
「処方箋です。ピケティ教授は預金や株、不動産を持つ人に資産額に応じた税金を、税逃れができないよう世界共通で課す「グローバル累進資本税」を提案しています。」
「景気の好循環が実現するのか、失速するのか。アベノミクスの成否は遠からず判明します。
もし安倍首相が明言した「全体の底上げ」がうまくいかず、失政が明らかになった時には、ピケティ教授やOECDのリポートが示す道、格差是正による経済成長に取り組んでほしいものです。」
「グローバル累進資本税」は、現時点では夢物語でしょう。
発言力の強い層に資本が集中しているために、累進課税はむしろ緩やかになっています。
例えば、1986年まで所得税の最高税率は70%、住民税の方は23%。合計93%です。
現在では、所得税、住民税合計で、最高税率は50%です。
93%はいくら何でも高すぎます。税金の低い国へ逃げられてしまいます。
ただ、所得の分配機能を果たし、日本総中流社会の基礎になっていました。
格差をどう見るか、50%が適切なのか、そこに政治の場での議論が必要なのです。
今朝の社説を見てみましょう。
朝日新聞
・ 政府の電源論議―欠かせない使う側の視点
読売新聞
・ 膨張続ける中国 「法の支配」による秩序構築を
毎日新聞
・ 農地転用の許可 中身を伴った分権だ NEW (2015年02月08日)
・ 視点・非課税贈与 格差社会を相続しても=福本容子 NEW (2015年02月08日)
日本経済新聞
・ 多国籍企業の課税逃れ封じる仕組みを
・ もんじゅは正念場と心得よ
産経新聞
・ 北方領土の日 71年目の不法占拠許せぬ 露は歴史歪曲改め即時返還を
中日新聞
・ ピケティと暮らしの明日 週のはじめに考える
※ 北方領土に触れたのは、昨日の毎日、今朝の産経だけでした。
しかも、明日は新聞休刊日。70年の節目にしては、取り上げる社が少ない気がします。
ここでは、中日を取り上げます。
「話題の本「21世紀の資本」のトマ・ピケティ教授が来日しました。「格差の拡大」を歴史的な事実として示した研究には、問いかけがいっぱいです。」
『21世紀の資本』みすず書房 トマ・ピケティ(著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜 (翻訳), 森本正史 (翻訳) \5,940
700ページを超える、高価な本です。
そのため、解説本も出ています。
読後感想にも・・・
本書の主たる主張はごく簡単に言い表すことができ、本文中で何度も繰り返される。
- 人類の歴史のほとんどの期間において、資本収益率は成長率を上回っている。(つまりr>g)
- r>gであると、富は賃金所得や産出を上回って成長し、持てるものと持たざるものの格差はどんどん拡大する。
事実、20世紀以前には一握りの金持ちと大多数の生活に困窮する庶民で社会が構成されていた。
- 20世紀後半に比較的格差が縮小し、そこそこ裕福な中間層が出現して穏健な市民社会が実現したのは、2度の世界大戦による富のリセット、インフレ、各国の格差縮小的な税政策、歴史的に見て例外的な高度成長の継続、などの要因が重なったためであったが、今や成長の時代は終わりを告げ再び格差拡大の時代に戻ろうとしている。
- 格差拡大を防ぐためには、高度な国際協力と資本に関する情報開示を基礎とした累進資本税の導入が最適な解決策である。
(中略)
このまま格差が拡大していけば、行き着くところは暴力による格差の修正、つまり革命と戦争の時代の再来ということになる。
悪夢を回避して平和な社会を継続していくことはできるのだろうか。
最後の一文は、これまでの歴史から十分予想ができます。
社説に戻ります。
「法人税減税など大企業の利益を重視した政策は、富めるものが富めば下へと富がしたたり落ちるトリクルダウンと受け止められています。しかし安倍首相はその見方を強く否定しました。歴史的な事実として「トリクルダウンはない」というピケティ教授の研究成果を意識したのかもしれません。」
「世襲財産のあるものだけが豊かになるなら、どんなに頑張っても報われない世の中になります。富裕層は政治的な発言力が強く、公平や平等が土台の民主主義が揺らぎかねません。」
「処方箋です。ピケティ教授は預金や株、不動産を持つ人に資産額に応じた税金を、税逃れができないよう世界共通で課す「グローバル累進資本税」を提案しています。」
「景気の好循環が実現するのか、失速するのか。アベノミクスの成否は遠からず判明します。
もし安倍首相が明言した「全体の底上げ」がうまくいかず、失政が明らかになった時には、ピケティ教授やOECDのリポートが示す道、格差是正による経済成長に取り組んでほしいものです。」
「グローバル累進資本税」は、現時点では夢物語でしょう。
発言力の強い層に資本が集中しているために、累進課税はむしろ緩やかになっています。
例えば、1986年まで所得税の最高税率は70%、住民税の方は23%。合計93%です。
現在では、所得税、住民税合計で、最高税率は50%です。
93%はいくら何でも高すぎます。税金の低い国へ逃げられてしまいます。
ただ、所得の分配機能を果たし、日本総中流社会の基礎になっていました。
格差をどう見るか、50%が適切なのか、そこに政治の場での議論が必要なのです。