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ブラームスの音符たち―池辺晋一郎の「新ブラームス考」

2019-03-06 05:57:18 | 音楽雑感&関連サイト
ブラームスの音符たち―池辺晋一郎の「新ブラームス考」

これは面白い!



池辺晋一郎氏が、軽いタッチで、作曲家ならではの視点でブラームスの音符を分析していきます。

たとえば、交響曲第4番では・・・。

まず、ホ短調について。

ホ短調の交響曲は、♯が一つというシンプルさに比して、ほとんど見あたりません。
ハイドンで1曲、モーツアルトやベートーヴェン、シューベルト、ブルックナー、マーラーにはなし。

せいぜい、チャイコフスキー5番、ドヴォルザーク9番、ショスタコーヴィチ10番とこのブラ4の4曲。
どれもセンチメンタルで、威厳に満ちた巨視的世界にマッチしにくいのが少ない理由ではないかと分析しています。

楽譜では、第1楽章の第1主題から。

ヴァイオリンの旋律を木管がカノンで追いかける様子を紹介します。
しかし完璧ではない。
そこで池辺氏が書き直したのが譜例2。



このように、楽譜を書き換えて和声構造を比較し、「やっぱり原曲がいいね」という流れで読者を説得していきます。

池辺氏にそういわれると、「なるほど・・・」と唸るしかありません。

このように、ブラームスの音楽のおもしろさを音符に着目し、その真髄は旋律にあるということ解明していく書なのです。


このシリーズは、バッハ、ベートーヴェン、モーツアルト、シューベルト、シューマンが出ています。

ネット上の説明より
ブラームスは最高の旋律作曲家。簡単そうなのに、優雅で印象的。現代の人気作曲家・池辺晋一郎が、その音楽の見事な構造と独創性をズバリ解明します。

目次です。
1●第1章:史上最高の旋律-ヴァイオリン・ソナタ第1番
2●第2章:形式の原理の具現-ヴァイオリン・ソナタ第3番
3●第3章:選択もセンスも作曲のうち-ハイドン・ヴァリエーション
4●第4章:雄渾と感傷の合体-弦楽六重奏曲第1番
5●第5章:壮麗さの中の-交響曲第3番
6●第6章:シンプルな歌ごころ-ヴァイオリンとチェロのための協奏曲
7●第7章:二つのラプソディ-はまる理由は?
8●第8章:旋律がないなんてウソ!-ヴァイオリン協奏曲
9●第9章:揺れ動くかたち-ホルン・トリオ
10●第10章:反動の反行?-交響曲第2番
11●第11章:クラリネット五重奏曲-ユニークな主題の構造
12●第12章:厳粛な気分で-4つの厳粛な歌
13●第13章:旋律構造の微妙な魅力-交響曲第1番
14●第14章:豪放磊落、大胆不敵-ピアノ協奏曲第1番
15●第15章:優雅、優美、典雅に「待つ心」-ピアノ協奏曲第2番
16●第16章:渋さの極み-アルト・ラプソディ
17●第17章:律儀な先生か、芸術家のゆとりか-51の練習曲
18●第18章:学生歌の味わい-大学祝典序曲
19●第19章:2度の暗示と具現-ピアノ五重奏曲
20●第20章:意気と懊悩と-ピアノソナタ第1番
21●第21章:独創的!かつ次の時代への指針-交響曲第4番
22●第22章:ブラームスはウシロを向いていない-響曲第4番の続き&2つのセレナード
23●第23章:ここにもブラームスらしさ-よく知られた歌曲を4つ
24●第24章:幸せを願う歓びの音楽-ドイツ・レクイエム



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