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『聖フランシスコ・サビエル書翰抄』(岩波文庫)

2017-02-02 05:52:31 | 歴史関連情報
『聖フランシスコ・サビエル書翰抄』(岩波文庫)



ザビエルは、多くの書簡を残しています。

これは読み応えがありました。

その本文を一部紹介しましょう。

日本人は、総体的に良い素質を有し、悪意がなく、交わってすこぶる感じがよい。

この国民は、私が遭遇した国民の中では一番傑出している。私にはどの不信者(異教徒)国民も、日本人より優れているものはないと考えられる。

彼らの名誉心は特別に強烈で、名誉がすべてである。日本人はたいてい貧乏である。しかし、武士も平民も貧乏を恥辱だと思っている者は一人もいない。

日本人の生活には節度がある。ただ飲むことにおいて、いくらか過ぎる国民である。彼らは米から取った酒を飲む。なぜならブドウがないからである。

面白いですね。当時の日本人の生活ぶりがわかります。

上巻、下巻と分かれていますが、特に下巻に日本のことが詳しく書かれています。

この他にも、日本には資源がないこと、武士が鍛錬を怠らないことなども書かれています。

ザビエルスパイはスパイだったといわれています。

イエズス会の文書館に保存されていた公開された文書には、ザビエルの書いた手紙がありました。
そこには「スペインの基地を作るために地理的条件を考えると天草が最高だ。長崎に要塞を作るべきだ」と書かれていました。

キリスト教布教と共に、日本の様子を知らせるのも任務であったことは容易に想像できます。

しかし、ザビエルが日本人の勤勉性や鍛錬する武士の様子、貧困や資源のなさを伝えたのは、列強の日本進出への意欲をそぐ役割を果たしたのではないだろかと思います。

ザビエルは、日本は攻めにくく、またその価値がないと知らしめたのです。

その他、日本における仏教とキリスト教の歴史上初めての出会いに、当時の人はどう思い、それをザビエルがどう感じたのかが書かれています。


もう一度言います。

読み応えがあります。



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