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日本は農業に不利な国

2014-01-20 06:13:02 | 社会科関連情報
 1月15日の中日新聞に、総合研究大学院大教授 池内 了先生が、「日本は農業に不利な国  農家の頑張りに支援を」と題する記事を寄せていました。

 まさに目から鱗とはこのことです。日本の農業観が変わりました。
 紹介します。



 本文です。(打ち間違いがあったらごめんなさい。)

 環太平洋連携協定(TPP)交渉で農産物の取り扱いが大きな焦点になっている。日本は「瑞穂の国」と自称してきたように、高温多湿の気候だから農業に適した国である、それにもかかわらず農産.物の輸入に高い関税をかけて農業を守らねばならないのは農家が甘えているためだ、とお思いの方がおられるかもしれない。実は私もそう思っていたのだが、「高温多湿の日本は農業に不適な国」と主張する文章(橋口公一「学術の動向」二〇一三年九月号)を読んで目から鱗が落ちる思いがしたので、ここに紹介しておきたい。

 農業とは、田畑に栽培する農作物が二酸化炭素と水を材料にし、太陽の光エネルギーを使ってでんぷんを作る光合成反応を利用する営みのことである。地上に生きとし生けるもの(硫黄を食べる細菌以外)すべてが植物の光合成のおかげで命を紡ぐことができている。太陽のエネルギーが多いから高温であり、雨水が多くて多湿なのだから、高温多湿の日本は農業にとって最適の国と考えるのが常識であった。

 しかし、高温多湿であるということは、望みの作物だけでなく雑草もどんどん育ち、それにたかる害虫が多く発生し、細菌による疫病も蔓延しやすく、それら全てと闘わない限り十分な収穫が得られないことを意味する。日本ではほとんど米を直播せず、雑草や害虫にやられない大きさになるまで苗代で育て、代掻きをして軟らかくし、かつ平らに整地した田んぼに移植(つまり田植え)をしている。苗代と田植えは雑草・害虫対策のための作業といえる。それ以後秋の収穫まで、農薬を撒き、肥料を散布し、田の草取りをし、というふうに米の字の通り八十八もの手間をかけねばならないのは雑草と害虫との闘いのためなのだ。

 また、光合成に必要なのは太陽の光エネルギーであって熱エネルギーではない。つまり、単に高温であることが大事なのではなく、植物の育ち盛りに太陽光線が緑の葉っぱに当たることが必要なのである。ところが多湿ということは、雨が多く厚い雲に覆われる日が多いので日照率が低いことを意味する。特に六月という昼間の時間が最も長い季節なのに最も雨が多く降るのだから、光合成には実に不利な気候条件なのである。さらに、日本では収穫期直前の初秋に毎年のように台風や洪水に見舞われ、作物が倒れたり、腐ったり、流されたり、落下したりと、さまざまな被害に遭う確率が高い。地震や津波が多いことも農業に不利である。

 このように考えると、農業に向いている気候条件は高温多湿とは反対の低温少湿であり、涼しくてお天気の日が多くへ風水害に見舞われないということになる。だから、アジアのモンスーン地帯ではなく欧米諸国の方が農業にとって有利なのである。日本の農産物の値段が高いのは農家が怠けて儲けようとしているわけではなく、多量の農薬や肥料を必要とし、多大な労力をかけねば十分な収穫が得られないためなのだ。放っておくと瞬く間に雑草が生い茂り害虫が飛び交う荒野に戻ってしまう日本だから、美しい田園の景観が保たれているのは農家の苦労の賜物といえる。

 農業に不利な国であることを自覚し、食料の自給率をこれ以上下げないことが国の将来にとって大事であると考えるなら、農業への強力な支援が必要なのではないだろうか。


 「高温多湿」「雑草と害虫、疫病」「梅雨、風水害」

 日本の農業について語るとき、これらのキーワードを意識する必要があることを学びました。
 

2 コメント

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同感です! (管理人)
2014-01-21 05:46:56
 農業について語る政治家のほとんどは、農業をしたことがありません。軽々しく語ることの怖さを感じました。
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Unknown (しまはらです)
2014-01-20 21:06:59
考えさせられました。
社会の授業・・・・・,どうしよう?って感じです。
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