今日も、海外のメディアが東日本太平洋沖地震をどう報道しているかを見ましょう。
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
原発事故によって暴露された日本の二面性
日本を襲った巨大な地震と津波は、福島第1原発の危機も引き起こした。ところが国際社会が次々と援助の手を差し伸べ、日本と苦難を分かち合っている最中に、日本政府は人々を不安にさせる行為に出た。週刊誌『瞭望』が伝えた。
4月4日夜、日本は各国に通知しないまま放射性汚水を海へ放出した。この行為は全国漁業協同組合連合会が東京電力本社に抗議するなど、日本の民衆の間に強い不満を引き起こした。また、韓国がこの行為を国際法違反として日本政府の責任を追及する構えを見せるなど、隣国との関係にも微妙な変化をもたらした。
本来、震災によって日本は隣国との関係を改善する契機を与えられたのだが、この行為は震災によって近づいた国民間の感情に影を落とす結果となった。各国のメディアや民衆は、無責任な日本政府を次々に非難した。日本人は「人に迷惑をかけない」ことを重視する民族だが、今回の事件は国際社会に「大きな迷惑」をかけてしまった。隣国に止まらず、遠く離れた欧米諸国でも基準値を上回る放射性物質が検出された。今回の放射性汚水放出は周辺海域の生態に深刻な影響を与えた。海洋環境への影響は長期的なものとなる。放射能漏れ事故への対応において、日本は当初から全面的で正確な情報公開を行わず、国際協力への熱意も欠いていた。
放射能漏れ事故の処理は東京電力が中心で、政府は力強いリーダーシップを十分に発揮することができなかった。東京電力は会社の利益のために原発事故の真の状況を隠蔽したと非難されている。この過程に政府が関わったかどうかは知るよしがない。枝野幸男官房長官は真相を隠蔽したことはないと表明しているが、完全に信じることは難しい。「政官財」の癒着構造が長年存在し、政府は大企業が安全基準を軽視することを放任し、その信頼性を大きく失ってきたからだ。今回の東京電力はその一例だ。東京電力は事故発生後、原子炉を守ろうとしたばかりに海水注入による冷却について決断が遅れ、最良のタイミングを逃してしまったと報じられている。ある意味において、今回の放射能漏れ事故は天災よりも人災の部分が大きい。
報道によると、日本は汚水放出の前に米国のみに意見を求めた。日本の救援活動を熱心に支援した隣国にとって、これは確かにいささかがっかりさせられる事だ。日本は隣国をパートナーにしたいのか、それとも溝を掘りたいのか。
今回の震災で示された、災難を前にした際の日本社会の落ち着いた心構えや公共秩序の遵守は賞賛に値するが、「集団で嘘をつく」「無責任」という別の面も余すところなく暴露された。「人に迷惑をかけない」一方で、残酷な中国侵略戦争を「中国に迷惑をかけた」だけと見なす。「誠実で信用を守り、仕事に献身的な」社員が一方で、「集団で嘘をつく」会社を構成する。顔を合わせれば「がんばろう」と励まし合う一方で、一種の「無常感」に囚われている。これはこんがらがったメンタリティーと行為である。
日本 放射線を恐れて逃走した自衛官が処分される
東京に位置する日本陸上自衛隊練馬駐屯地は19日、福島第1原発事故の災害派遣先からトラックを盗んで逃走したとして、自衛官の前床祥一郎容疑者を「懲戒免職」処分にしたと発表した。
懲戒免職とは公務員が違法行為により処分されることで、処分者は退職金を受け取ることができず、再就職も非常に難しくなる。
陸上自衛隊側によると、前床容疑者(32歳)は福島原発の事故発生後の3月13日に福島県郡山基地に派遣され、放射性物質の除去作業の通信・連絡を担当した。前床容疑者は翌日夜に郡山駐屯地の自衛隊のトラックを盗んで逃走、その後途上で再び現地住民の車輌を盗み、東京に逃げ帰ったという。
前床容疑者は19日に自首し、自衛隊警務隊が自衛隊の物品の窃盗罪で逮捕した。前床容疑者は「原発事故に対する恐怖心からパニックに陥り、逃走した」と供述している。
中日貿易、日本の大震災に伴う「大きな試練」
大地震、津波及び放射性物質漏えい事故により、回復の軌道に乗りつつあった日本経済が大きな影響を受けただけでなく、中日貿易の発展も大打撃を受けた。日本の隣国であり、最大の貿易パートナーである中国と日本の貿易関係は、世界の貿易の中でも重要な位置を占めている。日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、自然災害・重大事故の影響をできるだけ早く脱するべく、中日間貿易を促進していきたいと表明した。「人民日報」海外版が伝えた。
▽中国の対日貿易、黒字に転じる可能性も
税関の統計によると昨年、中日の貿易総額は2977億7千万ドルだった。通年データによると、中日両国は互いに最大の輸入相手国となった。また、日本にとって中国は最大の貿易パートナー、最大の輸出相手国であり、中国にとって日本は第3の貿易パートナー、第3の輸出相手国だった。
今年第1四半期、中日両国の貿易総額は前年同期比27.1%増の807億7千万ドルに達した。しかし、税関関係者によると、地震による影響は徐々に顕著になりつつあるという。中国の対日貿易は、長年巨額の赤字を計上してきた。2002年から現在までに、対日貿易における中国の赤字総額は2000億ドルを突破している。昨年、中国から日本への輸出額は1210億6千万ドル、日本からの輸入額は1767億1千万ドルで、貿易赤字は556億5千万ドルに上った。専門家は、「日本からの食品・部品などの輸入が減少するに伴い、今年の中国対日貿易は黒字に転ずる可能性がある」と分析する。
3月の中国対外貿易データを見ると、主な貿易パートナーの中で対日貿易だけが、前年同期比の伸び幅が前2カ月と比べて低下した。これに対し専門家は、「中日貿易の前年同期比伸び幅は、今後3-4カ月にわたって低下するだろう。しかし伸び幅の低下はそれほど大きくないはずだ」との見方を示す。
商務部研究院中貿研究部の張莉副研究員は、「日本の大地震・原発事故による影響は軽視できない。まず、日本関連産業の在庫には限りがあり、期限どおり・数量どおりの製品輸出が保証できない。次に、製品のサプライチェーンが途絶えるのを防ぐため、中国国内の企業が日本からの輸出を避け、より安定した輸入相手国を探す可能性がある。しかし、安定した長期受注という保証があるため、影響を受けるのは短期受注が主だ。このため、中日貿易の伸び幅低下はそれほど大きくはならないだろう」と述べる。
▽中国国内の在庫、今のところ生産の保証が可能
商務部の姚堅報道官は定例記者会見で、「日本・東北地方のGDPが日本経済全体に占める割合は8%に達している。しかも東北地方には、電子、自動車、石油化学など、中日貿易において相当の規模を占める製品の生産拠点が集中している。このため、短期的には中日貿易に一定の影響が及ぶと見られる。集積回路、鋼材、自動車部品、自動車などの製品は、中国がこれまで日本から大量に輸入しており、中国の日本からの輸入量全体の22%を占めている。これらの製品に関する中日経済貿易活動は一定の影響を受けるだろう。中国には日系加工貿易企業が数多くある。これらの企業は特に天津、遼寧、山東などに多いが、日本からの原材料・部品輸入で影響を受けるだろう。上述の輸入製品は現在、中国国内に相当量の在庫があり、現在のところ正常な生産が保証できている。中国の日系企業も中国国内で代替品を生産できるメーカーを探し、生産を行っていくだろう。しかし、中日貿易の回復はやはり、日本経済の回復に頼るところが大きい。なぜなら、産業チェーンの主要部分は日本にあるからだ。日本経済がいち早く回復し、両国貿易ができるだけ早く正常な状態に戻ることを望む」と述べた。
▽日本からの輸入品、代替品で補うことが可能
データから見ると、中国にとって日本は最大の輸入相手国だが、国家発展開発委員会・対外経済研究所の張燕生所長は、「輸入は主に中国の内需が決定するものであり、多くの輸入品は代替品で補うことができる。このため、中国の輸入に対する震災の影響はそれほど大きくない」との見方を示す。
商務部研究院アジア?アフリカ研究部の徐長文主任は、「今回の災害は主に日本の東北地方が被災地となった。東北地方には自動車、電子部品、建材企業などの生産拠点があり、これらの製品を輸入する中国企業は影響を受けるだろう。しかし、これらの製品の生産企業の多くは、すでに中国またはその他の地域に生産を移転しており、中国における関連産業の生産にはそれほど大きな影響はない」と述べる。
このほか、中国が日本から輸入する商品の生産地を見ると、生産地は関東、中部、関西などの経済の中心地が主となっている。
震災から1カ月 上海港「出国ブーム」
中日間を往復する国際客船「新鑑真号」が21日午後3時、上海国際客運センターに停泊した。同船から入国した35人の乗客はほとんどが中国人と日本人観光客。「新鑑真号」にとって東日本大震災以来、入国観光客数が最少の便となり、乗船率は15%にとどまった。ウェブサイト「新民網」が伝えた。
これとは対照的に、もう1隻の中日国際客船「蘇州号」は19日、満員の乗客170人を乗せて日本に出港した。うち120人が中国人研修生。浦江辺検站(出入国管理部門)によると、東日本大震災からすでに1カ月が経ち、港湾の利用者数への影響は薄れつつある。地震、津波、放射能漏れが始まった当初にあった中国国民の「帰国ブーム」は徐々に消え、「出国ブーム」に代わりつつある。「新鑑真号」「蘇州号」を利用して震災の影響が小さかった日本各地へ赴く労働者や留学生が増えている。一方、中国に駐在あるいは留学していた日本人も多くが一時帰国している。
浦江辺検站によると、地震発生の先月11日から現在まで、「新鑑真号」「蘇州号」両船は平常通りの運航を続けている。両船利用者の中国入国者数は延べ1400人以上、昨年同期比で若干増えた。出国者数は877人で同2倍近く減少した。
浦江辺検站は、海上出入国者数は震災の影響が弱まるにつれ、今後も伸び続けると見込む。しかし国際客船を利用した日本ツアーは依然一時中止となっている。
日本、北京で地震説明会 原発問題に全力で対処
在中国日本国大使館と日本貿易振興機構(JETRO)は21日に北京で、東日本大地震の影響に関する説明会を行った。同大使館経済部の山崎和之公使はあいさつの中で、中国の支援に謝意を表した。
説明会では、独立行政法人・原子力安全基盤機構(JNES)の佐藤達夫理事が、福島第一原子力発電所の現在の情況、事故による影響、日本と国際社会との協力の情況について説明した。佐藤理事によると、日本は現在、(1)原子炉の冷却(2)放射性物質の海洋、土壌、大気中への拡散の抑制(3)日本各地における厳格で集中的な放射性物質のモニタリング(4)食品、飲料水、原発の現場作業員、工業製品、港湾、空港の安全確保、の4点に基づいて同原発がもたらした重大な試練に対処している。
説明会後の記者会見では環境保護に関する質問が相次いだ。山崎公使は、同発電所の放射性物質が含まれた汚染水の排出の進展状況や排出に先立っての中国への通告の有無に関する質問に対し、日本政府は海洋に汚染水を排出した後に中国への通告を行うと述べた上で、周辺諸国が日本の取る措置に注目していることが理解できるので、今後は速やかに関連情況を通報するようにしたいと述べた。
また山崎公使は、海水への汚染水の排出は国際法に違反しているのではないかとの質問に対し、これはやむを得ず採用する措置であり、国際法の規定の範囲内の措置でもあると述べた。
さきにあるメディアが、日本の有名ジャーナリストが日本は秘密裏に核兵器を研究製造していると述べたと伝えた。これについて佐藤理事は、自分は原子力の安全を司る機構の人間であり、こうした懐疑論は成り立たないと述べた。山崎公使は、日本政府は世界で核兵器の廃絶を主張しており、核兵器を製造することは絶対にあり得ないと述べた。
同原発の事故によるマイナス影響をめぐり、日本は国際社会に経済的賠償を行うかどうかとの質問に対し、山崎公使は、日本国内では現在、経済賠償問題について話し合いが進められており、今後は国際法を踏まえて関連の措置を取ると述べた。
同原発の事故が日本のこれからの原子力エネルギー政策に与える影響について、日本側は当面の急務は事故の処理であり、電力供給の回復だと述べ、今後どのような原子力エネルギー政策を採るかについては時間をかけて話し合う必要があるとした。
また日本側は、中日貿易は両国の国際貿易の中で重要な位置を占めており、このたびの地震や津波は両国貿易に短期的な影響を与えるとみられるが、日本の工業生産の復興は急速で、長期的にみれば大きな影響を与えることはないとの見方を示した。
ロシア、日本への渡航自粛勧告を解除
チャイナネットhttp://japanese.china.org.cn/
核危機で日本の国際イメージが激変
国際社会での日本のイメージはこれまでとても良かった。中国に駐在していたある日本人外交官は、誇りを持ってこう話していた。「あなたたち中国人は日本人を嫌ったり、罵ったりするが、実は国際社会では日本のイメージは良いものです。礼儀正しく、責任感があり、真面目で効率が良いです」と。しかし、日本の今回の核危機での対応は、日本の国際イメージをひっくり返したと言えるだろう。中国社会科学院日本研究所の高洪副所長は「チャイナネット」のインタビューを受け、核危機の発生以降の日本の国際イメージの変化について語った。
1、 開放的か閉鎖的か
戦後60数年来、世界経済の中に積極的に溶け込もうとしてきた日本は、「国際化」「現代化」の先進国になったと思われがちだが、福島第一原発事故で、日本はまだ体制や意識において閉鎖的な国であると人々を驚かせたようだ。原発事故は全世界の生態安全を脅かす出来事だが、日本政府は「これは内政問題」という態度で対応している。情報公開においてもとても透明とは言えがたく、最も人々を驚かせたのは、事故発生から1カ月以上も経った後に国際評価尺度をチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7に引き上げたことだ。「なぜ今さら」と思われても仕方ないだろう。
原発事故への対応で現れた閉鎖性について、高洪副所長はその歴史的原因にも言及し、次のように指摘した。「日本は複雑な社会だ。歴史や文化の伝統から見れば、島国の閉鎖性もあるし、海外の進んだ文明を積極的に学んだ経験もある。今日の核危機の処理では、日本特有の『官僚・商人の利益連携』が東電をさらに閉鎖的にさせた。そのため、日本の国民は次の疑問を持つようになった。なぜ福島第一原発の津波に対応する設計基準は低く、最高基準を上る災難が発生したのか。なぜ東電は会社の利益を優先し、真っ先に最も有効な手段を取らなかったのか。実際、今日の日本を認識するには、同じように二つの面から考える必要がある。放射能漏れ危機は日本の企業文化や政治文化の閉鎖的な一面を示しているが、それと同時に、日本が教訓を汲みとり、開放に向かう潜在的な要素も存在する」。
2、高効率か低効率か
国際社会で、日本人は寸秒を争い、非常に効率が良いというイメージがある。ところが、今回の核危機では対応が遅く感じられる。事故から1カ月余りが経って、東電はやっと初めて工程表を発表した。しかもこの工程表は間に合わせ的なもので、十分に状況を把握しているとは思えない。発表の4日前、東電の清水正孝社長は、具体的な工程表は出せないと発表したばかりだった。そのほか、福島の被災住民たちの食べ物は足りず、救援物資が被災地までなかなか運ばれないといった状況だ。
これについて、高洪副所長は「日本の1カ月の災害対策を振り返ってみると、災害対策メカニズムと各クラスの地方政府は相当大きな役目を発揮していると言える」と評価した上で、「もちろん、多くの措置が不十分で、行き届いていないという問題もある」と指摘した。
「具体的には、菅直人首相をはじめとする内閣は、災害対応で次の3点が世間や民衆から非難されている。まず、政府は当初、放射能漏れの深刻さを正確に判断せず、国際社会、特に米国の原子炉メーカーに救援を求めなかった。次に、災難の再建作業がなかなか進んでいない。政府の指導力が現存の法律、制度システムに制約され、大災害を前に突発的状況に対応する能力が欠けていることを示している。最後に、放射能漏れ事故の処理は長期化(6-9カ月)する可能性があり、政府の政策調整や民衆の心理ケアが行き届いていないことで、国民の政府に対する不信感が強まっている」と、高洪副所長は話す。
3、 責任感ある国か無責任な国か
共同通信の報道によると、福島第一原発が4日から10日にかけて海に排出した汚水は1万トンを超え、その中には1500億ベクレルの放射性物質も含まれている。汚水の排出は国際社会の恐慌や非難を引き起こし、数多くの国の国民が水産物や水環境の安全を懸念している。このことにおいても、日本は従来の責任感を持ち、生態環境を重んじるという国際イメージを覆し、責任感に欠けているように思える。
これに対して、高洪副所長は、「日本は海に汚水を排出することを国際社会、特に隣国の中国や韓国、朝鮮、ロシアにあらかじめ知らせなかった。この無責任なやり方は隣国や国際社会に広く非難されている。事件後、日本政府は謝罪し、このような問題を二度と起こさないと承諾した。日本が教訓を汲みとり、国際社会のサポートや援助に応えるために、責任感のある国になることを望んでいる」とした。
高洪副所長:震災後の中日関係も平坦でない
東日本大震災の発生後、中国政府と民間は同情し、日本に積極的な援助を行った。ところが、海に放射能汚水を排出する3日前に米国の黙認を得たにもかかわらず、隣国に報告しなかったことを知り、不満と怒りを示している。菅直人首相は中国紙への投稿「日本-復興,そして新生への道-」で中国に対して再び感謝の気持ちを表したが、それでも米国の英文3紙への投稿と比較され、「なぜ中国には『お詫び』でなく、『遺憾』だけなのか」と非難されている。
核危機のもとでの中日米関係について、中国社会科学院の高洪副所長は「チャイナネット」のインタビューに対し次のように語った。
高洪副所長:「3.11大地震」は日本の従来の外交の配置を混乱させ、災害対応において、国際援助と日本自身の選択や考えがもつれ合い、地震後の日本の対外関係の布石全体に新たな試練を与えている。
巨大な災害に見舞われた日本が2~3年のうちに「上下一心の徹底的な改革」を実現するのは難しいと考えられる。中長期的に見れば、日本の外交戦略の基本に大きく、質的な変化はなく、米国により近づいていくと思う。そのため、震災後の中日関係も平坦ではないが、震災は中日関係の中長期的な発展に経済、政治的機会と試練を与えている。
それと同時に、大地震によって、日本の伝統的な安全保障と非伝統的な安全保障のバランスに新たな思考が生まれ、日本の社会各界が中国の規模やスピードの急成長が日本に与えるプラスの意味を冷静に考えることは、中日関係の健全で安定な発展に役立つ。
宮本前駐中国大使:震災復興には中国の力が必要
「中国で最も有名な日本の評論家」として知られる加藤嘉一さんの新書「中国人は本当にそんなに日本人が嫌いなのか?」の発行部数が5万冊を突破し、新書で売上トップを記録した。宮本雄二・前駐中国大使は「この本が売れているのは、今回の大地震で中国が日本を支援したのと密接な関係がある」と話す。
宮本氏によると、3・11巨大地震と津波、原発事故の後、中国は上は国の指導者から下は一般市民まで日本に大きな関心や同情を寄せ、支援をした。胡錦涛主席は日本大使館に自ら出向いて犠牲者お悔やみを述べ、温家宝総理は菅直人首相に何度も電話をかけた。中国の辺鄙な田舎の人々までも日本の被災地に義捐金を寄付した。こうしたことが日本の国民に感動を与えた。
「以前であれな、日本のメディアは中国の反日感情を報道し、あたかもすべての中国人が日本人を嫌っているかのようだった。今は多くの日本人がこうした論調を疑問視し始めた。そのため人々はこの本を通じて本当の状況は一体どうなっているのか知りたがっている」。
日本人の多くが地震や津波で命の危険を冒し、中国人研修生を救ったことについて、中国に10年間住んでいた宮本氏は「実際は一般の日本人と中国人はちょっとした接触ですぐに友情を結ぶことができる」という。3年前、四川大地震の折に、彼は駐中国全権大使を担当しており、日本各界からの視線への支援を目の当たりにした。「中国の四川にしても、日本の東北にしても両国の国民は自然災害を前に互いに心から助け合おうとしている。地球村の一員として、私たちの思想と理念はどんどん近づいている」と宮本氏は指摘する。
すでに巨大な津波は引いたものの、あたり一面がれきの山と化した東北三県。日本の震災復興はエネルギー不足、労働者不足など様々な障碍を抱えながらスタートを切った。宮本氏は、日本の震災復興および経済振興には中国の積極的な参加が必要であると同時に、日本の復興が両国の協力に新たなチャンスを提供すると考えている。
例えば今回、日本の自動車や電子機器などの産業において、一地方が被害に遭っただけで産業全体が崩壊するという過度な集中構造が浮き彫りとなった。「生産分散」が今後の傾向となるだろう。広範囲にわたる復興の過程で、日本は大型機械や大型トラックが必要となるが、これらはちょうど中国の関連産業が得意とするところだ。「中国の設備やそれを動かせる人が日本に来て手助けしてほしい」と宮本氏は希望を話す。
また、東北三県の農林水産業はもともと労働者が不足しており、中国人研修生が学習と同時にこの方面の不足を補っていた。今回の稀に見る大災害で彼らの一部は帰国したのは、状況が特殊なだけに理解できる。日本は今後労働派遣にかかわる規制を緩和し、彼らが長期的に日本で仕事ができるようにしていく方針だという。この問題に関しては、中日両国政府の関係当局がしっかり協議する必要がある。
日本は今回の大災害で積み上げた教訓と経験を中国と共有することもできる。例えば耐震には成功したが、津波では深刻な被害を被った。日本は中国各界の代表団の視察を歓迎し、両国の技術専門家による防災減災などでの協力を協議することが可能だ。特に双方の友好姉妹都市からまず交流を展開していくことができる。日本の多くの地域では旅行の安全が確保されており、日本の基準は欧米よりも厳しいため日本の多くの地域で生産される食品も安全なものだという。
昨年10月に外務省を退職した後、宮本氏は日本各地を訪ね、毎週平均3回のペースで講演を行い、日本の各界に中国のことや日中関係を紹介している。今年は「これから、中国とどう付き合うか」という著書を出版、1万冊を売り上げ、ベストセラーとなっている。
数十年にわたる日中外交の経験を通じて、宮本氏は「日中両国に存在するいわゆる問題のうち少なくとも70%は相互理解の不足によるものだ」と指摘。時間をかけて両国国民の相互理解を深めなければならないと常に感じるという。「国民間の感情の基礎がしっかりしていれば、両国関係は安心だ。1千年に一度の災害によって、両国民が人間の真理を悟り、両国関係の発展の新たなきっかけとなることを願っている」と宮本氏は希望を託した。
日本の危機と中東混乱は中国の戦略的メリットに?
このところ、日本は地震による津波で原発危機に見舞われ、リビアの戦局は一進一退の攻防を続け、米国では政党対立が深まっているが、これらの国際的環境の変化は、中国の今世紀前半20年における「戦略的チャンス」にどのような影響をもたらすのだろうか。シンガポール『聨合早報』19日が伝えた。
日本の放射線危機は中国の戦略的メリットとなるか
日本の震災及び放射線危機は、低迷する日本の経済状況を更に悪化させ、その総合的国力も減退、中国との競争力を失うため、これは中国にとっては一つの戦略的優勢となるとの見方がある。
今回の震災及び放射線危機は、確かに日本に大きな影響を与えた。しかし、その日本全体の国力に対する影響は、一体どれほどのものだろうか。
まず、地震と津波、そして放射線危機の被害を受けている福島県などは、日本の東部に位置しており、日本全体の経済図から見れば、比較的立ち遅れた地域である。現地の主な産業は農業であり、大部分の住民が野菜の栽培や畜産を営んでおり、工業施設はほとんどない。
また、メディア調査によれば、地震は半導体産業に大きな影響を与えたが、その他の産業、例えばデジカメ、液晶モニター、テレビ、ノートパソコン、自動車電子及び太陽光等の産業については、ほとんど影響がないという。
この他、当該地域のGDPは日本全体の6%前後に過ぎず、その全てが被災したとしても日本全体の経済に大きな影響を与えることはない。ましてや今回は、全てが被災したわけでもないのだ。そのため、全体的に見れば、今回の震災が日本経済にもたらす影響はそれほど大きくない事が分かる。
そして、今回の震災は日本の政界にも「大地震」を引き起こし、大連立の可能性も出てきた。
震災から1カ月以上が過ぎた今も、放射線危機はその収束を迎えられておらず、日本国内では「倒閣」運動が起こっている。これに対し、経済産業省のある官僚は「日本の政治は再編成が必要で、大連立によってしか復興を遂げることができない」としている。
震災後、日本国内では確かに復興の呼び声が高まってきている。菅総理の辞任の可否やその時期はともかく、政治が与野党の「言い争い政治」を脱し、大連立の方向へ歩み出せば、それによって日本は大復興を遂げることができるかもしれない。
更に、今回の震災は日米関係、特に安全領域での関係を強化した。特に注目すべきは今回の震災で、日本と米国がより一歩距離を縮めたことである。日本は今回、事前に米国の同意のみを得、周辺諸国には何も知らせていない状態で汚染水を海に排出した。これは、日米の緊密な関係を示しており、中国にとっては決して好ましい状況ではないのだ。
中東混乱は中国のチャンス?
中東の混乱が中国にチャンスをもたらすという中国人学者がいる。それは第一に、中東情勢の混乱により米国のアジア太平洋地区への戦略的投入がダウンし、第二に、米国の中東における勢力が縮小することで、その他の大国や新興大国、特に中国に戦略空間を与えることになるというものである。
しかし、執筆者は米国の中東戦略縮小は、長期的戦略における一時的かつ表面的なものだと考える。米国は、決してその非同盟国、特に中国が中東における戦略的利益を拡大できるようなすきを与えるはずがない。
また、米国国内経済はその回復に当たって課題が山積しており、政治的対立も深まりを見せているため、オバマ大統領も続投のためにはそれらの難題を解決せねばならず、更にイラク、アフガン戦争に追われて、しばらくは中国の台頭に対応する余力はないとする学者もいる。
これは全くのでたらめというわけではないが、米国の国益保護における「中国脅威論」の重要性を甘く見てしまっている。昨年からの一連の動きを見れば、米国のアジア版「NATO」はすでにその原形が出来上がっており、米国がこの体系を維持し強化しようとしていることが分かる。
いずれにせよ、中国の台頭はすでに多くの国家の不安と焦りを引き起こしている。一方の中国自身も改革がその深まりを増すにつれ、様々な矛盾と困難が共存している状態で、いかなる不注意も想定外の結果を招く恐れがある。中国の「戦略的チャンス」の強みが徐々に衰えつつある現実を正しく認識することが、中国政府が理知的に国内外の政策を制定するための一助となる。
お詫びは米国向けのみか 日本大使館:中国メディアの翻訳に誤り
21日、中国のメディアは日本の菅直人首相が書いた、「日本 -復興、そして新生への道-」と題する投稿を掲載した。その中で福島の放射能漏れ事故の及ぼす影響については以下のように述べている、「福島第一原子力発電所において,国際的な原子力事故の評価尺度で最も深刻と評価された事故が起きたことは大変遺憾に思い,極めて重く受け止めています」。
報道によると、16日、17日に菅直人首相は米国の『ニューヨークタイムズ』『ワシントンポスト』『インターナショナルヘラルドトリビューン』等の英文紙にも投稿をした。一部中国メディアはこの記事に対して解説をした際に、菅首相は次のように言っていると指摘した、「私は福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故発生に対して大変厳粛かつ深いお詫びの意を表明する」(英語原文は、I take very seriously, and deeply regret, the nuclear accidents we have had at the Fukushima Daiichi plant)。この事から一部中国のメディアは菅氏が日本の放射能漏れ事故に関して米国に「お詫び」の意を表明したと理解した。
一方は「お詫び」とし、もう一方は「遺憾」として、日本側の福島原発事故に関する対応に実際に差があるのかどうか。記者は21日午後この問題について在中国日本大使館の報道担当者西氏にインタビューを行なった。西氏は以下のように説明した、「菅直人首相の感謝のメッセージの中での福島放射能事故に関する表明はただ一つの意味を示している、それは『非常に遺憾』という事である。一部の中国メディアが米国メディアでのメッセージに使用された "regret" を『お詫び』と訳したのは正確ではない」。
同じように遺憾の意を表すのになぜ中国と米国の両国のメディアでの発表のタイミングにずれが出たのか、この点について西氏は確かに中国の新聞紙上への公表が数日遅れたが、これは全く日本側が故意にした事ではなく、メディアの言うようないわゆる日本は日米関係をより重視していると言う事でも全くないと説明した。
更に西氏は、先週英字紙に感謝のメッセージを出したのは日本の世界の人々への感謝の意を表した第一段階で、この三種の新聞は世界に向けて発行されている全世界的な新聞であり、この三大紙を通じて世界各国の人々に感謝の意思と日本の再生復興に向けての決意を表した。第二段階として更にこのメッセージを各地の言語に翻訳し、各国のメディアで公表した。このために日本の首相官邸は準備と翻訳のために時間が必要で、それが整ったのちに直ちに各地の主だったメディアに掲載をお願いした。このようにする事で、中国においては中国政府と中国の人民に対する、より一層感謝の意を表す事ができた。「時間が前後した事は作業上の準備段階が異なると言う事に過ぎない」と説明した。
福島第一原発事故の説明会 核兵器開発を否定
在中国日本国大使館と日本貿易振興機構(JETRO)北京事務所が主催する「東日本大震災・福島第一原発事故事故の説明会」が4月21日朝、北京市の長富宮ホテルで行われた。説明会の後、記者が質問する機会が設けられた。
――福島第一原発所で、汚染水の排出はどのように進められているか。排出する前に中国に報告はあるか。
原子力安全基盤機構の佐藤達夫理事:日本側は原発周辺の海に合成樹脂の溶剤を散布し、柵を設け、汚染された海水がさらに拡散することを防止している。関係機関は4月19日、2号機の高濃度汚染水を集中廃棄物処理施設に移し始め、移送した汚染水の浄化装置の設置も進める。
在中国日本国大使館・経済部の山崎和之公使:日本政府は海に汚染水を排出した後に中国に報告した。周辺国が日本のこの行為に非常に注目するのもわかる。今後はすぐに関連状況を伝える。
――日本が放射性物質を含む汚染水を海に排出したことは国際法に違反するか。
山崎和之氏:これはやむを得ない措置だ。しかし、日本はずっと海洋法を守り、海洋汚染を防止する義務があり、この措置は国際法が定める範囲内で行ったものだ。
――日本人ジャーナリストの島津洋一氏は、日本が裏で核兵器を開発しているとする文章を発表したが、それは本当か。
佐藤達夫氏:私は原子力安全基盤機構の職員だが、このような懐疑論は存在しない。
山崎和之氏:日本政府は国際社会で核兵器の廃止を主張しており、核兵器を開発することは絶対にない。
――日本政府は、今回発生した放射能漏れ事故で損失を受けた各国に賠償金を支払うつもりはあるか。
山崎和之氏:日本は現在、復旧活動に力を尽くすと同時に、賠償問題を検討している。これから国際法に則って関連措置をとっていく。
国際社会が日本を「信頼」する理由は?
福島原発事故から1カ月以上が経った。国際的な事故評価はチェルノブイリと同じ、最悪のレベル7に引き上げられた。日本政府は丸1カ月費やして危機の深刻さを徐々に人々に伝える一方、専門家や東京電力が放射線被害を解決或いは軽減する時間を稼いだ。香港紙・明報が21日付で伝えた。
しかし数々の疑問が依然として残っている。日本は一体なぜ、盟友である米国の現地軍隊からの冷却剤提供や原発救援参加の申し出を断ったのか?米空母はなぜ真先に退避したのか?グローバル企業はなぜ、欧米で駐在員の退避を発表せず、コソコソと大多数の駐在員を帰国させたのか?これらについて、日米はいまだに真っ向からの回答を控えている。
グローバル化時代に突入し、国際社会における国境のない危険に対して傍観はできなくなった。英国で狂牛病が発生した当初、英政府は何度も牛肉を食べるリスクなどの問題を否定したが、欧州連盟(EU)や米国は直ちに英国からの牛肉の輸入を禁止し、米国は英国在住者の10年以内の献血まで規制した。日本の今回の、収拾がつかなくなっている原発危機に対し、各国はなぜ見てみぬふりをしているのか?
日本が直面している数々の天災や原発問題はおそらく我々の想像を超えるものであるにもかかわらず、関連情報が異常なほど乏しいことに気づく。インターネットで検索すると、日本政府や東京電力が掲載している毎日の簡単な報告のほかは、原子力に関する安全情報或いは確証のない「陰謀」に関する憶測が飛び交う状況だ。
この情報化の時代に、なぜ世界メディアや非政府組織、インターネットはもっと信頼性のある実際の評価或いは問題分析を行わないのか?さらに不思議なのは、日本の被災者や国民が東京電力などの黒箱の中の作業に我慢できなくなっているにもかかわらず、国際社会は意外に「寛容な」態度を示し、猛烈な非難もしなければ、規制や圧力をかけてもいない。これは「盟友」である日本には寛容な態度を、旧ソ連或いはその他の国には制裁を加えるという欧米世界の二重の基準を反映している。
イデオロギーや政治的要素が各国の外交や国際的な問題に対する具体的な反応を左右するのは否定できない事実だ。欧州人の西洋社会の日本に対する「寛容さ」は説明のつかない「信頼」からきている。長年、彼らは日本の「奇妙」な考えや行動様式に見慣れ、日本政府が自国民の命を軽んじたり、日本人は厳格でまじめで、ムチャクチャなことはしないと信じている。そのため、彼らは気長に「様子見」を続けているのだ。
アジア人であり、地球市民である私たちは、日本人を元気づけると同時に日本政府に責任をもって福島原発の透明な処理にあたるよう要求する権利がある。
「福島の英雄」の半分以上が体調不良に
医師「うつ病と過労死のリスクが増加」
福島第一原発の作業員に定期的に医療診察を行う日本人医師は20日、「福島第一原発の作業員は大きなストレスを抱え、うつ病と過労死のリスクに直面している」と述べた。
愛媛大学大学院医学系研究科の谷川武教授は1991年から、福島第一原発と福島第二原発で非常勤産業医を務めている。
缶詰を食べ、寝袋で寝る
谷川教授は日本の共同通信社の取材に対し、次のように語っている。16日から19日にかけ、福島第一原発の近くで90人の東京電力の作業員の健康診断を行う。作業員たちは、作業を終えると10キロ離れた所にある体育館に行って休み、寝袋で寝る。食事もあまりよくなく、缶詰が中心だ。幸い、現在は1日3回食事できるが、以前は1日1回の食事だけだった。作業員たちは4日作業し、2日休むが、作業する4日間は風呂に入ることができない。
家族の安全もわからず、精神的ストレスが大きい
「一部の作業員は非常に大きな精神的ストレスを感じている。1週間も家族の安全を確認できないこともある。多くの作業員は眠れず、この状態が続けば、うつ病と過労死のリスクが増加する」と谷川教授は話す。
健康診断を受けた90人の作業員のうち、約50人に高血圧や風邪などの病状が見られた。谷川教授は、東京電力に高熱が続いている作業員を交代させるよう求めた。
大紀元http://www.epochtimes.jp/
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【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
原発事故によって暴露された日本の二面性
日本を襲った巨大な地震と津波は、福島第1原発の危機も引き起こした。ところが国際社会が次々と援助の手を差し伸べ、日本と苦難を分かち合っている最中に、日本政府は人々を不安にさせる行為に出た。週刊誌『瞭望』が伝えた。
4月4日夜、日本は各国に通知しないまま放射性汚水を海へ放出した。この行為は全国漁業協同組合連合会が東京電力本社に抗議するなど、日本の民衆の間に強い不満を引き起こした。また、韓国がこの行為を国際法違反として日本政府の責任を追及する構えを見せるなど、隣国との関係にも微妙な変化をもたらした。
本来、震災によって日本は隣国との関係を改善する契機を与えられたのだが、この行為は震災によって近づいた国民間の感情に影を落とす結果となった。各国のメディアや民衆は、無責任な日本政府を次々に非難した。日本人は「人に迷惑をかけない」ことを重視する民族だが、今回の事件は国際社会に「大きな迷惑」をかけてしまった。隣国に止まらず、遠く離れた欧米諸国でも基準値を上回る放射性物質が検出された。今回の放射性汚水放出は周辺海域の生態に深刻な影響を与えた。海洋環境への影響は長期的なものとなる。放射能漏れ事故への対応において、日本は当初から全面的で正確な情報公開を行わず、国際協力への熱意も欠いていた。
放射能漏れ事故の処理は東京電力が中心で、政府は力強いリーダーシップを十分に発揮することができなかった。東京電力は会社の利益のために原発事故の真の状況を隠蔽したと非難されている。この過程に政府が関わったかどうかは知るよしがない。枝野幸男官房長官は真相を隠蔽したことはないと表明しているが、完全に信じることは難しい。「政官財」の癒着構造が長年存在し、政府は大企業が安全基準を軽視することを放任し、その信頼性を大きく失ってきたからだ。今回の東京電力はその一例だ。東京電力は事故発生後、原子炉を守ろうとしたばかりに海水注入による冷却について決断が遅れ、最良のタイミングを逃してしまったと報じられている。ある意味において、今回の放射能漏れ事故は天災よりも人災の部分が大きい。
報道によると、日本は汚水放出の前に米国のみに意見を求めた。日本の救援活動を熱心に支援した隣国にとって、これは確かにいささかがっかりさせられる事だ。日本は隣国をパートナーにしたいのか、それとも溝を掘りたいのか。
今回の震災で示された、災難を前にした際の日本社会の落ち着いた心構えや公共秩序の遵守は賞賛に値するが、「集団で嘘をつく」「無責任」という別の面も余すところなく暴露された。「人に迷惑をかけない」一方で、残酷な中国侵略戦争を「中国に迷惑をかけた」だけと見なす。「誠実で信用を守り、仕事に献身的な」社員が一方で、「集団で嘘をつく」会社を構成する。顔を合わせれば「がんばろう」と励まし合う一方で、一種の「無常感」に囚われている。これはこんがらがったメンタリティーと行為である。
日本 放射線を恐れて逃走した自衛官が処分される
東京に位置する日本陸上自衛隊練馬駐屯地は19日、福島第1原発事故の災害派遣先からトラックを盗んで逃走したとして、自衛官の前床祥一郎容疑者を「懲戒免職」処分にしたと発表した。
懲戒免職とは公務員が違法行為により処分されることで、処分者は退職金を受け取ることができず、再就職も非常に難しくなる。
陸上自衛隊側によると、前床容疑者(32歳)は福島原発の事故発生後の3月13日に福島県郡山基地に派遣され、放射性物質の除去作業の通信・連絡を担当した。前床容疑者は翌日夜に郡山駐屯地の自衛隊のトラックを盗んで逃走、その後途上で再び現地住民の車輌を盗み、東京に逃げ帰ったという。
前床容疑者は19日に自首し、自衛隊警務隊が自衛隊の物品の窃盗罪で逮捕した。前床容疑者は「原発事故に対する恐怖心からパニックに陥り、逃走した」と供述している。
中日貿易、日本の大震災に伴う「大きな試練」
大地震、津波及び放射性物質漏えい事故により、回復の軌道に乗りつつあった日本経済が大きな影響を受けただけでなく、中日貿易の発展も大打撃を受けた。日本の隣国であり、最大の貿易パートナーである中国と日本の貿易関係は、世界の貿易の中でも重要な位置を占めている。日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、自然災害・重大事故の影響をできるだけ早く脱するべく、中日間貿易を促進していきたいと表明した。「人民日報」海外版が伝えた。
▽中国の対日貿易、黒字に転じる可能性も
税関の統計によると昨年、中日の貿易総額は2977億7千万ドルだった。通年データによると、中日両国は互いに最大の輸入相手国となった。また、日本にとって中国は最大の貿易パートナー、最大の輸出相手国であり、中国にとって日本は第3の貿易パートナー、第3の輸出相手国だった。
今年第1四半期、中日両国の貿易総額は前年同期比27.1%増の807億7千万ドルに達した。しかし、税関関係者によると、地震による影響は徐々に顕著になりつつあるという。中国の対日貿易は、長年巨額の赤字を計上してきた。2002年から現在までに、対日貿易における中国の赤字総額は2000億ドルを突破している。昨年、中国から日本への輸出額は1210億6千万ドル、日本からの輸入額は1767億1千万ドルで、貿易赤字は556億5千万ドルに上った。専門家は、「日本からの食品・部品などの輸入が減少するに伴い、今年の中国対日貿易は黒字に転ずる可能性がある」と分析する。
3月の中国対外貿易データを見ると、主な貿易パートナーの中で対日貿易だけが、前年同期比の伸び幅が前2カ月と比べて低下した。これに対し専門家は、「中日貿易の前年同期比伸び幅は、今後3-4カ月にわたって低下するだろう。しかし伸び幅の低下はそれほど大きくないはずだ」との見方を示す。
商務部研究院中貿研究部の張莉副研究員は、「日本の大地震・原発事故による影響は軽視できない。まず、日本関連産業の在庫には限りがあり、期限どおり・数量どおりの製品輸出が保証できない。次に、製品のサプライチェーンが途絶えるのを防ぐため、中国国内の企業が日本からの輸出を避け、より安定した輸入相手国を探す可能性がある。しかし、安定した長期受注という保証があるため、影響を受けるのは短期受注が主だ。このため、中日貿易の伸び幅低下はそれほど大きくはならないだろう」と述べる。
▽中国国内の在庫、今のところ生産の保証が可能
商務部の姚堅報道官は定例記者会見で、「日本・東北地方のGDPが日本経済全体に占める割合は8%に達している。しかも東北地方には、電子、自動車、石油化学など、中日貿易において相当の規模を占める製品の生産拠点が集中している。このため、短期的には中日貿易に一定の影響が及ぶと見られる。集積回路、鋼材、自動車部品、自動車などの製品は、中国がこれまで日本から大量に輸入しており、中国の日本からの輸入量全体の22%を占めている。これらの製品に関する中日経済貿易活動は一定の影響を受けるだろう。中国には日系加工貿易企業が数多くある。これらの企業は特に天津、遼寧、山東などに多いが、日本からの原材料・部品輸入で影響を受けるだろう。上述の輸入製品は現在、中国国内に相当量の在庫があり、現在のところ正常な生産が保証できている。中国の日系企業も中国国内で代替品を生産できるメーカーを探し、生産を行っていくだろう。しかし、中日貿易の回復はやはり、日本経済の回復に頼るところが大きい。なぜなら、産業チェーンの主要部分は日本にあるからだ。日本経済がいち早く回復し、両国貿易ができるだけ早く正常な状態に戻ることを望む」と述べた。
▽日本からの輸入品、代替品で補うことが可能
データから見ると、中国にとって日本は最大の輸入相手国だが、国家発展開発委員会・対外経済研究所の張燕生所長は、「輸入は主に中国の内需が決定するものであり、多くの輸入品は代替品で補うことができる。このため、中国の輸入に対する震災の影響はそれほど大きくない」との見方を示す。
商務部研究院アジア?アフリカ研究部の徐長文主任は、「今回の災害は主に日本の東北地方が被災地となった。東北地方には自動車、電子部品、建材企業などの生産拠点があり、これらの製品を輸入する中国企業は影響を受けるだろう。しかし、これらの製品の生産企業の多くは、すでに中国またはその他の地域に生産を移転しており、中国における関連産業の生産にはそれほど大きな影響はない」と述べる。
このほか、中国が日本から輸入する商品の生産地を見ると、生産地は関東、中部、関西などの経済の中心地が主となっている。
震災から1カ月 上海港「出国ブーム」
中日間を往復する国際客船「新鑑真号」が21日午後3時、上海国際客運センターに停泊した。同船から入国した35人の乗客はほとんどが中国人と日本人観光客。「新鑑真号」にとって東日本大震災以来、入国観光客数が最少の便となり、乗船率は15%にとどまった。ウェブサイト「新民網」が伝えた。
これとは対照的に、もう1隻の中日国際客船「蘇州号」は19日、満員の乗客170人を乗せて日本に出港した。うち120人が中国人研修生。浦江辺検站(出入国管理部門)によると、東日本大震災からすでに1カ月が経ち、港湾の利用者数への影響は薄れつつある。地震、津波、放射能漏れが始まった当初にあった中国国民の「帰国ブーム」は徐々に消え、「出国ブーム」に代わりつつある。「新鑑真号」「蘇州号」を利用して震災の影響が小さかった日本各地へ赴く労働者や留学生が増えている。一方、中国に駐在あるいは留学していた日本人も多くが一時帰国している。
浦江辺検站によると、地震発生の先月11日から現在まで、「新鑑真号」「蘇州号」両船は平常通りの運航を続けている。両船利用者の中国入国者数は延べ1400人以上、昨年同期比で若干増えた。出国者数は877人で同2倍近く減少した。
浦江辺検站は、海上出入国者数は震災の影響が弱まるにつれ、今後も伸び続けると見込む。しかし国際客船を利用した日本ツアーは依然一時中止となっている。
日本、北京で地震説明会 原発問題に全力で対処
在中国日本国大使館と日本貿易振興機構(JETRO)は21日に北京で、東日本大地震の影響に関する説明会を行った。同大使館経済部の山崎和之公使はあいさつの中で、中国の支援に謝意を表した。
説明会では、独立行政法人・原子力安全基盤機構(JNES)の佐藤達夫理事が、福島第一原子力発電所の現在の情況、事故による影響、日本と国際社会との協力の情況について説明した。佐藤理事によると、日本は現在、(1)原子炉の冷却(2)放射性物質の海洋、土壌、大気中への拡散の抑制(3)日本各地における厳格で集中的な放射性物質のモニタリング(4)食品、飲料水、原発の現場作業員、工業製品、港湾、空港の安全確保、の4点に基づいて同原発がもたらした重大な試練に対処している。
説明会後の記者会見では環境保護に関する質問が相次いだ。山崎公使は、同発電所の放射性物質が含まれた汚染水の排出の進展状況や排出に先立っての中国への通告の有無に関する質問に対し、日本政府は海洋に汚染水を排出した後に中国への通告を行うと述べた上で、周辺諸国が日本の取る措置に注目していることが理解できるので、今後は速やかに関連情況を通報するようにしたいと述べた。
また山崎公使は、海水への汚染水の排出は国際法に違反しているのではないかとの質問に対し、これはやむを得ず採用する措置であり、国際法の規定の範囲内の措置でもあると述べた。
さきにあるメディアが、日本の有名ジャーナリストが日本は秘密裏に核兵器を研究製造していると述べたと伝えた。これについて佐藤理事は、自分は原子力の安全を司る機構の人間であり、こうした懐疑論は成り立たないと述べた。山崎公使は、日本政府は世界で核兵器の廃絶を主張しており、核兵器を製造することは絶対にあり得ないと述べた。
同原発の事故によるマイナス影響をめぐり、日本は国際社会に経済的賠償を行うかどうかとの質問に対し、山崎公使は、日本国内では現在、経済賠償問題について話し合いが進められており、今後は国際法を踏まえて関連の措置を取ると述べた。
同原発の事故が日本のこれからの原子力エネルギー政策に与える影響について、日本側は当面の急務は事故の処理であり、電力供給の回復だと述べ、今後どのような原子力エネルギー政策を採るかについては時間をかけて話し合う必要があるとした。
また日本側は、中日貿易は両国の国際貿易の中で重要な位置を占めており、このたびの地震や津波は両国貿易に短期的な影響を与えるとみられるが、日本の工業生産の復興は急速で、長期的にみれば大きな影響を与えることはないとの見方を示した。
ロシア、日本への渡航自粛勧告を解除
チャイナネットhttp://japanese.china.org.cn/
核危機で日本の国際イメージが激変
国際社会での日本のイメージはこれまでとても良かった。中国に駐在していたある日本人外交官は、誇りを持ってこう話していた。「あなたたち中国人は日本人を嫌ったり、罵ったりするが、実は国際社会では日本のイメージは良いものです。礼儀正しく、責任感があり、真面目で効率が良いです」と。しかし、日本の今回の核危機での対応は、日本の国際イメージをひっくり返したと言えるだろう。中国社会科学院日本研究所の高洪副所長は「チャイナネット」のインタビューを受け、核危機の発生以降の日本の国際イメージの変化について語った。
1、 開放的か閉鎖的か
戦後60数年来、世界経済の中に積極的に溶け込もうとしてきた日本は、「国際化」「現代化」の先進国になったと思われがちだが、福島第一原発事故で、日本はまだ体制や意識において閉鎖的な国であると人々を驚かせたようだ。原発事故は全世界の生態安全を脅かす出来事だが、日本政府は「これは内政問題」という態度で対応している。情報公開においてもとても透明とは言えがたく、最も人々を驚かせたのは、事故発生から1カ月以上も経った後に国際評価尺度をチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7に引き上げたことだ。「なぜ今さら」と思われても仕方ないだろう。
原発事故への対応で現れた閉鎖性について、高洪副所長はその歴史的原因にも言及し、次のように指摘した。「日本は複雑な社会だ。歴史や文化の伝統から見れば、島国の閉鎖性もあるし、海外の進んだ文明を積極的に学んだ経験もある。今日の核危機の処理では、日本特有の『官僚・商人の利益連携』が東電をさらに閉鎖的にさせた。そのため、日本の国民は次の疑問を持つようになった。なぜ福島第一原発の津波に対応する設計基準は低く、最高基準を上る災難が発生したのか。なぜ東電は会社の利益を優先し、真っ先に最も有効な手段を取らなかったのか。実際、今日の日本を認識するには、同じように二つの面から考える必要がある。放射能漏れ危機は日本の企業文化や政治文化の閉鎖的な一面を示しているが、それと同時に、日本が教訓を汲みとり、開放に向かう潜在的な要素も存在する」。
2、高効率か低効率か
国際社会で、日本人は寸秒を争い、非常に効率が良いというイメージがある。ところが、今回の核危機では対応が遅く感じられる。事故から1カ月余りが経って、東電はやっと初めて工程表を発表した。しかもこの工程表は間に合わせ的なもので、十分に状況を把握しているとは思えない。発表の4日前、東電の清水正孝社長は、具体的な工程表は出せないと発表したばかりだった。そのほか、福島の被災住民たちの食べ物は足りず、救援物資が被災地までなかなか運ばれないといった状況だ。
これについて、高洪副所長は「日本の1カ月の災害対策を振り返ってみると、災害対策メカニズムと各クラスの地方政府は相当大きな役目を発揮していると言える」と評価した上で、「もちろん、多くの措置が不十分で、行き届いていないという問題もある」と指摘した。
「具体的には、菅直人首相をはじめとする内閣は、災害対応で次の3点が世間や民衆から非難されている。まず、政府は当初、放射能漏れの深刻さを正確に判断せず、国際社会、特に米国の原子炉メーカーに救援を求めなかった。次に、災難の再建作業がなかなか進んでいない。政府の指導力が現存の法律、制度システムに制約され、大災害を前に突発的状況に対応する能力が欠けていることを示している。最後に、放射能漏れ事故の処理は長期化(6-9カ月)する可能性があり、政府の政策調整や民衆の心理ケアが行き届いていないことで、国民の政府に対する不信感が強まっている」と、高洪副所長は話す。
3、 責任感ある国か無責任な国か
共同通信の報道によると、福島第一原発が4日から10日にかけて海に排出した汚水は1万トンを超え、その中には1500億ベクレルの放射性物質も含まれている。汚水の排出は国際社会の恐慌や非難を引き起こし、数多くの国の国民が水産物や水環境の安全を懸念している。このことにおいても、日本は従来の責任感を持ち、生態環境を重んじるという国際イメージを覆し、責任感に欠けているように思える。
これに対して、高洪副所長は、「日本は海に汚水を排出することを国際社会、特に隣国の中国や韓国、朝鮮、ロシアにあらかじめ知らせなかった。この無責任なやり方は隣国や国際社会に広く非難されている。事件後、日本政府は謝罪し、このような問題を二度と起こさないと承諾した。日本が教訓を汲みとり、国際社会のサポートや援助に応えるために、責任感のある国になることを望んでいる」とした。
高洪副所長:震災後の中日関係も平坦でない
東日本大震災の発生後、中国政府と民間は同情し、日本に積極的な援助を行った。ところが、海に放射能汚水を排出する3日前に米国の黙認を得たにもかかわらず、隣国に報告しなかったことを知り、不満と怒りを示している。菅直人首相は中国紙への投稿「日本-復興,そして新生への道-」で中国に対して再び感謝の気持ちを表したが、それでも米国の英文3紙への投稿と比較され、「なぜ中国には『お詫び』でなく、『遺憾』だけなのか」と非難されている。
核危機のもとでの中日米関係について、中国社会科学院の高洪副所長は「チャイナネット」のインタビューに対し次のように語った。
高洪副所長:「3.11大地震」は日本の従来の外交の配置を混乱させ、災害対応において、国際援助と日本自身の選択や考えがもつれ合い、地震後の日本の対外関係の布石全体に新たな試練を与えている。
巨大な災害に見舞われた日本が2~3年のうちに「上下一心の徹底的な改革」を実現するのは難しいと考えられる。中長期的に見れば、日本の外交戦略の基本に大きく、質的な変化はなく、米国により近づいていくと思う。そのため、震災後の中日関係も平坦ではないが、震災は中日関係の中長期的な発展に経済、政治的機会と試練を与えている。
それと同時に、大地震によって、日本の伝統的な安全保障と非伝統的な安全保障のバランスに新たな思考が生まれ、日本の社会各界が中国の規模やスピードの急成長が日本に与えるプラスの意味を冷静に考えることは、中日関係の健全で安定な発展に役立つ。
宮本前駐中国大使:震災復興には中国の力が必要
「中国で最も有名な日本の評論家」として知られる加藤嘉一さんの新書「中国人は本当にそんなに日本人が嫌いなのか?」の発行部数が5万冊を突破し、新書で売上トップを記録した。宮本雄二・前駐中国大使は「この本が売れているのは、今回の大地震で中国が日本を支援したのと密接な関係がある」と話す。
宮本氏によると、3・11巨大地震と津波、原発事故の後、中国は上は国の指導者から下は一般市民まで日本に大きな関心や同情を寄せ、支援をした。胡錦涛主席は日本大使館に自ら出向いて犠牲者お悔やみを述べ、温家宝総理は菅直人首相に何度も電話をかけた。中国の辺鄙な田舎の人々までも日本の被災地に義捐金を寄付した。こうしたことが日本の国民に感動を与えた。
「以前であれな、日本のメディアは中国の反日感情を報道し、あたかもすべての中国人が日本人を嫌っているかのようだった。今は多くの日本人がこうした論調を疑問視し始めた。そのため人々はこの本を通じて本当の状況は一体どうなっているのか知りたがっている」。
日本人の多くが地震や津波で命の危険を冒し、中国人研修生を救ったことについて、中国に10年間住んでいた宮本氏は「実際は一般の日本人と中国人はちょっとした接触ですぐに友情を結ぶことができる」という。3年前、四川大地震の折に、彼は駐中国全権大使を担当しており、日本各界からの視線への支援を目の当たりにした。「中国の四川にしても、日本の東北にしても両国の国民は自然災害を前に互いに心から助け合おうとしている。地球村の一員として、私たちの思想と理念はどんどん近づいている」と宮本氏は指摘する。
すでに巨大な津波は引いたものの、あたり一面がれきの山と化した東北三県。日本の震災復興はエネルギー不足、労働者不足など様々な障碍を抱えながらスタートを切った。宮本氏は、日本の震災復興および経済振興には中国の積極的な参加が必要であると同時に、日本の復興が両国の協力に新たなチャンスを提供すると考えている。
例えば今回、日本の自動車や電子機器などの産業において、一地方が被害に遭っただけで産業全体が崩壊するという過度な集中構造が浮き彫りとなった。「生産分散」が今後の傾向となるだろう。広範囲にわたる復興の過程で、日本は大型機械や大型トラックが必要となるが、これらはちょうど中国の関連産業が得意とするところだ。「中国の設備やそれを動かせる人が日本に来て手助けしてほしい」と宮本氏は希望を話す。
また、東北三県の農林水産業はもともと労働者が不足しており、中国人研修生が学習と同時にこの方面の不足を補っていた。今回の稀に見る大災害で彼らの一部は帰国したのは、状況が特殊なだけに理解できる。日本は今後労働派遣にかかわる規制を緩和し、彼らが長期的に日本で仕事ができるようにしていく方針だという。この問題に関しては、中日両国政府の関係当局がしっかり協議する必要がある。
日本は今回の大災害で積み上げた教訓と経験を中国と共有することもできる。例えば耐震には成功したが、津波では深刻な被害を被った。日本は中国各界の代表団の視察を歓迎し、両国の技術専門家による防災減災などでの協力を協議することが可能だ。特に双方の友好姉妹都市からまず交流を展開していくことができる。日本の多くの地域では旅行の安全が確保されており、日本の基準は欧米よりも厳しいため日本の多くの地域で生産される食品も安全なものだという。
昨年10月に外務省を退職した後、宮本氏は日本各地を訪ね、毎週平均3回のペースで講演を行い、日本の各界に中国のことや日中関係を紹介している。今年は「これから、中国とどう付き合うか」という著書を出版、1万冊を売り上げ、ベストセラーとなっている。
数十年にわたる日中外交の経験を通じて、宮本氏は「日中両国に存在するいわゆる問題のうち少なくとも70%は相互理解の不足によるものだ」と指摘。時間をかけて両国国民の相互理解を深めなければならないと常に感じるという。「国民間の感情の基礎がしっかりしていれば、両国関係は安心だ。1千年に一度の災害によって、両国民が人間の真理を悟り、両国関係の発展の新たなきっかけとなることを願っている」と宮本氏は希望を託した。
日本の危機と中東混乱は中国の戦略的メリットに?
このところ、日本は地震による津波で原発危機に見舞われ、リビアの戦局は一進一退の攻防を続け、米国では政党対立が深まっているが、これらの国際的環境の変化は、中国の今世紀前半20年における「戦略的チャンス」にどのような影響をもたらすのだろうか。シンガポール『聨合早報』19日が伝えた。
日本の放射線危機は中国の戦略的メリットとなるか
日本の震災及び放射線危機は、低迷する日本の経済状況を更に悪化させ、その総合的国力も減退、中国との競争力を失うため、これは中国にとっては一つの戦略的優勢となるとの見方がある。
今回の震災及び放射線危機は、確かに日本に大きな影響を与えた。しかし、その日本全体の国力に対する影響は、一体どれほどのものだろうか。
まず、地震と津波、そして放射線危機の被害を受けている福島県などは、日本の東部に位置しており、日本全体の経済図から見れば、比較的立ち遅れた地域である。現地の主な産業は農業であり、大部分の住民が野菜の栽培や畜産を営んでおり、工業施設はほとんどない。
また、メディア調査によれば、地震は半導体産業に大きな影響を与えたが、その他の産業、例えばデジカメ、液晶モニター、テレビ、ノートパソコン、自動車電子及び太陽光等の産業については、ほとんど影響がないという。
この他、当該地域のGDPは日本全体の6%前後に過ぎず、その全てが被災したとしても日本全体の経済に大きな影響を与えることはない。ましてや今回は、全てが被災したわけでもないのだ。そのため、全体的に見れば、今回の震災が日本経済にもたらす影響はそれほど大きくない事が分かる。
そして、今回の震災は日本の政界にも「大地震」を引き起こし、大連立の可能性も出てきた。
震災から1カ月以上が過ぎた今も、放射線危機はその収束を迎えられておらず、日本国内では「倒閣」運動が起こっている。これに対し、経済産業省のある官僚は「日本の政治は再編成が必要で、大連立によってしか復興を遂げることができない」としている。
震災後、日本国内では確かに復興の呼び声が高まってきている。菅総理の辞任の可否やその時期はともかく、政治が与野党の「言い争い政治」を脱し、大連立の方向へ歩み出せば、それによって日本は大復興を遂げることができるかもしれない。
更に、今回の震災は日米関係、特に安全領域での関係を強化した。特に注目すべきは今回の震災で、日本と米国がより一歩距離を縮めたことである。日本は今回、事前に米国の同意のみを得、周辺諸国には何も知らせていない状態で汚染水を海に排出した。これは、日米の緊密な関係を示しており、中国にとっては決して好ましい状況ではないのだ。
中東混乱は中国のチャンス?
中東の混乱が中国にチャンスをもたらすという中国人学者がいる。それは第一に、中東情勢の混乱により米国のアジア太平洋地区への戦略的投入がダウンし、第二に、米国の中東における勢力が縮小することで、その他の大国や新興大国、特に中国に戦略空間を与えることになるというものである。
しかし、執筆者は米国の中東戦略縮小は、長期的戦略における一時的かつ表面的なものだと考える。米国は、決してその非同盟国、特に中国が中東における戦略的利益を拡大できるようなすきを与えるはずがない。
また、米国国内経済はその回復に当たって課題が山積しており、政治的対立も深まりを見せているため、オバマ大統領も続投のためにはそれらの難題を解決せねばならず、更にイラク、アフガン戦争に追われて、しばらくは中国の台頭に対応する余力はないとする学者もいる。
これは全くのでたらめというわけではないが、米国の国益保護における「中国脅威論」の重要性を甘く見てしまっている。昨年からの一連の動きを見れば、米国のアジア版「NATO」はすでにその原形が出来上がっており、米国がこの体系を維持し強化しようとしていることが分かる。
いずれにせよ、中国の台頭はすでに多くの国家の不安と焦りを引き起こしている。一方の中国自身も改革がその深まりを増すにつれ、様々な矛盾と困難が共存している状態で、いかなる不注意も想定外の結果を招く恐れがある。中国の「戦略的チャンス」の強みが徐々に衰えつつある現実を正しく認識することが、中国政府が理知的に国内外の政策を制定するための一助となる。
お詫びは米国向けのみか 日本大使館:中国メディアの翻訳に誤り
21日、中国のメディアは日本の菅直人首相が書いた、「日本 -復興、そして新生への道-」と題する投稿を掲載した。その中で福島の放射能漏れ事故の及ぼす影響については以下のように述べている、「福島第一原子力発電所において,国際的な原子力事故の評価尺度で最も深刻と評価された事故が起きたことは大変遺憾に思い,極めて重く受け止めています」。
報道によると、16日、17日に菅直人首相は米国の『ニューヨークタイムズ』『ワシントンポスト』『インターナショナルヘラルドトリビューン』等の英文紙にも投稿をした。一部中国メディアはこの記事に対して解説をした際に、菅首相は次のように言っていると指摘した、「私は福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故発生に対して大変厳粛かつ深いお詫びの意を表明する」(英語原文は、I take very seriously, and deeply regret, the nuclear accidents we have had at the Fukushima Daiichi plant)。この事から一部中国のメディアは菅氏が日本の放射能漏れ事故に関して米国に「お詫び」の意を表明したと理解した。
一方は「お詫び」とし、もう一方は「遺憾」として、日本側の福島原発事故に関する対応に実際に差があるのかどうか。記者は21日午後この問題について在中国日本大使館の報道担当者西氏にインタビューを行なった。西氏は以下のように説明した、「菅直人首相の感謝のメッセージの中での福島放射能事故に関する表明はただ一つの意味を示している、それは『非常に遺憾』という事である。一部の中国メディアが米国メディアでのメッセージに使用された "regret" を『お詫び』と訳したのは正確ではない」。
同じように遺憾の意を表すのになぜ中国と米国の両国のメディアでの発表のタイミングにずれが出たのか、この点について西氏は確かに中国の新聞紙上への公表が数日遅れたが、これは全く日本側が故意にした事ではなく、メディアの言うようないわゆる日本は日米関係をより重視していると言う事でも全くないと説明した。
更に西氏は、先週英字紙に感謝のメッセージを出したのは日本の世界の人々への感謝の意を表した第一段階で、この三種の新聞は世界に向けて発行されている全世界的な新聞であり、この三大紙を通じて世界各国の人々に感謝の意思と日本の再生復興に向けての決意を表した。第二段階として更にこのメッセージを各地の言語に翻訳し、各国のメディアで公表した。このために日本の首相官邸は準備と翻訳のために時間が必要で、それが整ったのちに直ちに各地の主だったメディアに掲載をお願いした。このようにする事で、中国においては中国政府と中国の人民に対する、より一層感謝の意を表す事ができた。「時間が前後した事は作業上の準備段階が異なると言う事に過ぎない」と説明した。
福島第一原発事故の説明会 核兵器開発を否定
在中国日本国大使館と日本貿易振興機構(JETRO)北京事務所が主催する「東日本大震災・福島第一原発事故事故の説明会」が4月21日朝、北京市の長富宮ホテルで行われた。説明会の後、記者が質問する機会が設けられた。
――福島第一原発所で、汚染水の排出はどのように進められているか。排出する前に中国に報告はあるか。
原子力安全基盤機構の佐藤達夫理事:日本側は原発周辺の海に合成樹脂の溶剤を散布し、柵を設け、汚染された海水がさらに拡散することを防止している。関係機関は4月19日、2号機の高濃度汚染水を集中廃棄物処理施設に移し始め、移送した汚染水の浄化装置の設置も進める。
在中国日本国大使館・経済部の山崎和之公使:日本政府は海に汚染水を排出した後に中国に報告した。周辺国が日本のこの行為に非常に注目するのもわかる。今後はすぐに関連状況を伝える。
――日本が放射性物質を含む汚染水を海に排出したことは国際法に違反するか。
山崎和之氏:これはやむを得ない措置だ。しかし、日本はずっと海洋法を守り、海洋汚染を防止する義務があり、この措置は国際法が定める範囲内で行ったものだ。
――日本人ジャーナリストの島津洋一氏は、日本が裏で核兵器を開発しているとする文章を発表したが、それは本当か。
佐藤達夫氏:私は原子力安全基盤機構の職員だが、このような懐疑論は存在しない。
山崎和之氏:日本政府は国際社会で核兵器の廃止を主張しており、核兵器を開発することは絶対にない。
――日本政府は、今回発生した放射能漏れ事故で損失を受けた各国に賠償金を支払うつもりはあるか。
山崎和之氏:日本は現在、復旧活動に力を尽くすと同時に、賠償問題を検討している。これから国際法に則って関連措置をとっていく。
国際社会が日本を「信頼」する理由は?
福島原発事故から1カ月以上が経った。国際的な事故評価はチェルノブイリと同じ、最悪のレベル7に引き上げられた。日本政府は丸1カ月費やして危機の深刻さを徐々に人々に伝える一方、専門家や東京電力が放射線被害を解決或いは軽減する時間を稼いだ。香港紙・明報が21日付で伝えた。
しかし数々の疑問が依然として残っている。日本は一体なぜ、盟友である米国の現地軍隊からの冷却剤提供や原発救援参加の申し出を断ったのか?米空母はなぜ真先に退避したのか?グローバル企業はなぜ、欧米で駐在員の退避を発表せず、コソコソと大多数の駐在員を帰国させたのか?これらについて、日米はいまだに真っ向からの回答を控えている。
グローバル化時代に突入し、国際社会における国境のない危険に対して傍観はできなくなった。英国で狂牛病が発生した当初、英政府は何度も牛肉を食べるリスクなどの問題を否定したが、欧州連盟(EU)や米国は直ちに英国からの牛肉の輸入を禁止し、米国は英国在住者の10年以内の献血まで規制した。日本の今回の、収拾がつかなくなっている原発危機に対し、各国はなぜ見てみぬふりをしているのか?
日本が直面している数々の天災や原発問題はおそらく我々の想像を超えるものであるにもかかわらず、関連情報が異常なほど乏しいことに気づく。インターネットで検索すると、日本政府や東京電力が掲載している毎日の簡単な報告のほかは、原子力に関する安全情報或いは確証のない「陰謀」に関する憶測が飛び交う状況だ。
この情報化の時代に、なぜ世界メディアや非政府組織、インターネットはもっと信頼性のある実際の評価或いは問題分析を行わないのか?さらに不思議なのは、日本の被災者や国民が東京電力などの黒箱の中の作業に我慢できなくなっているにもかかわらず、国際社会は意外に「寛容な」態度を示し、猛烈な非難もしなければ、規制や圧力をかけてもいない。これは「盟友」である日本には寛容な態度を、旧ソ連或いはその他の国には制裁を加えるという欧米世界の二重の基準を反映している。
イデオロギーや政治的要素が各国の外交や国際的な問題に対する具体的な反応を左右するのは否定できない事実だ。欧州人の西洋社会の日本に対する「寛容さ」は説明のつかない「信頼」からきている。長年、彼らは日本の「奇妙」な考えや行動様式に見慣れ、日本政府が自国民の命を軽んじたり、日本人は厳格でまじめで、ムチャクチャなことはしないと信じている。そのため、彼らは気長に「様子見」を続けているのだ。
アジア人であり、地球市民である私たちは、日本人を元気づけると同時に日本政府に責任をもって福島原発の透明な処理にあたるよう要求する権利がある。
「福島の英雄」の半分以上が体調不良に
医師「うつ病と過労死のリスクが増加」
福島第一原発の作業員に定期的に医療診察を行う日本人医師は20日、「福島第一原発の作業員は大きなストレスを抱え、うつ病と過労死のリスクに直面している」と述べた。
愛媛大学大学院医学系研究科の谷川武教授は1991年から、福島第一原発と福島第二原発で非常勤産業医を務めている。
缶詰を食べ、寝袋で寝る
谷川教授は日本の共同通信社の取材に対し、次のように語っている。16日から19日にかけ、福島第一原発の近くで90人の東京電力の作業員の健康診断を行う。作業員たちは、作業を終えると10キロ離れた所にある体育館に行って休み、寝袋で寝る。食事もあまりよくなく、缶詰が中心だ。幸い、現在は1日3回食事できるが、以前は1日1回の食事だけだった。作業員たちは4日作業し、2日休むが、作業する4日間は風呂に入ることができない。
家族の安全もわからず、精神的ストレスが大きい
「一部の作業員は非常に大きな精神的ストレスを感じている。1週間も家族の安全を確認できないこともある。多くの作業員は眠れず、この状態が続けば、うつ病と過労死のリスクが増加する」と谷川教授は話す。
健康診断を受けた90人の作業員のうち、約50人に高血圧や風邪などの病状が見られた。谷川教授は、東京電力に高熱が続いている作業員を交代させるよう求めた。
大紀元http://www.epochtimes.jp/
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