昨晩、コバケン(小林研一郎氏)のコンサートへ行ってきました。
4月9日で81歳になる、小林 研一郎 指揮による チャイコの4番、6番という豪華メニュー。
本来は、傘寿記念ということで、昨年3月22日に計画されたものが延期されたのです。
今回は、コバケンを見るために、あえてP席(パイプオルガンの下)にしました。
音響は、正面席に比べるとよくありません。金管やパーカッション奏者は全く見えません。また、溶けたようなバランスの良い響きでもありません。
(舞台横の席よりはバランスが良いが・・・)
しかし、指揮者と近く、指揮を正面から見ることができるという捨てがたいメリットがあります。
ステージでは、Clの浅井さんが4番1楽章のフレーズをさらっています。今日はボルショスさんは下り番のようです。
さあ、本番!
コバケンは、マスクをつけての指揮。いつものように暗譜です。
交響曲第4番、1楽章から熱い。
フレーズの頭をため、終わりも丁寧にまとめています。ソロの後には、左手で丸を作るOKサイン。何度も練習したのでしょう。こだわりを感じました。
いつも以上の”タメ”に、オケが見事に反応しています。
客演コンサートマスターの植村太郎さんのアクションが、団員を引っ張っているのです。
2楽章のFg田作さんのソロと弦のアンサンブルなど、振らないで奏者に任せています。
Fl,Cl,Ob,のほか、CB,Hr,vioのTopは女性。
名フィルは若返っていますが、その分反応も良いようです。指揮者の意図を見事に、しかも繊細に表現しています。
しかし、4番は、あくまでも悲愴のための序奏でした。
メンバーは、田作さんがシャシコフさんに替わっただけで、後は同じ(たぶん。金管・Perは全然見えません。そもそも後ろ姿・・・)。
私の中での悲愴は、サヴァリッシュがN饗を指揮した演奏がベストです。
しかし、1楽章で、その記録(記憶?)を塗り替えようとしていることがわかりました。
涙が出てくるのです。音の渦ができ、感情を揺さぶります。
2楽章では、長いところでは十小節以上振らないで、奏者に任せています。
4楽章はさらに圧巻で、曲想を表情で表し、コンマスの植村さん率いるオケがそれを具現化しているのです。
何という演奏!
最後のコントラバスのピッツィカートの後、10秒以上もタクトを下ろしません。
その間、観客は息を止めています。
私も窒息しそうな雰囲気!心臓すら動くことを遠慮しているほど・・・・
やっと、下したときに会場から息を吐く音。
そのあと、さらに間を空けて、ゆっくりと始まる拍手。
今日は観客もよかった。わかっている。
サヴァリッシュを超えた!
奏者の表情も明るい。打ち上げをしたいだろうな・・・・。でもできないだろうな・・・。
コバケンはリハーサルも立ちっぱなしだそうです。途中、何度もひざを曲げて振る姿を見せました。
本当に81歳?
すさまじい体力です。
私がコバケンと出会ったのは、1982年の南山大学定期演奏会の幻想交響曲。
当時のコバケンは42歳。かっこよかった。激しかった。
以来、何度コバケンを追っかけたことか・・・・。
マーラーの復活、チャイコの5番、あのブルックナー
今日の悲愴は、思い出の一曲に加わりました。
演奏後、コバケンはマイクを持って挨拶してくれました。
「名フィル史上、最高の演奏でした!」
「このまま人生が終わったらいい、と思ったほどでした」
たぶん、最後の部分でしょうか・・・・
本当に良かった・・・・
ありがとう、コバケン様。ありがとう、名フィルの皆さん!
おまけ
パイプオルガンのフット部分です。