序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold):2時間40分
第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre):3時間50分
第2日 『ジークフリート』(Siegfried):4時間
第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung):4時間30分
序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)
第1場 - ライン川の水底。3人のラインの乙女が泳いでいると、そこに地底人アルベリヒが現れる。これで指輪を創ると世界を支配できるというラインの黄金が世界を支配する力を持つと聞いた彼は、それを強奪する。
第2場 - 天上界。主神ヴォータンは青春の女神フライアを報酬にして、巨人族(ファーフナー・ファゾルト)に居城ヴァルハラを建設させる。城は完成したものの、フライアは巨人族に身を捧げることを拒否する。火の神ローゲはアルベリヒが奪ったラインの黄金を身代とすることを提案し、ヴォータンとともに地下のニーベルング族の国へ向かう。
第3場 - 地底。アルベリヒがラインの黄金で作られた指環の力でニーベルング族を支配している。ローゲは策略と弁舌でアルベリヒを捕縛する。
第4場 - 地上に引き立てられたアルベリヒから、ヴォータンは自由の代償としてラインの黄金を奪取する。アルベリヒは指環に死の呪いをかける。智の女神エルダが現れ警告を発するが、ヴォータンは聞き入れない。指環を手に入れた巨人たちは、財宝を巡って争いを起こしファーフナーがファゾルトを殺してしまう。神々は呪いに恐れおののくが、一転して虹の橋を渡り居城ヴァルハラに入場する。剣の動機が高らかに奏され英雄の登場を暗示する一方、ラインからは黄金を奪われた乙女の嘆きが聞こえる。
第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre)
第1幕 - 嵐の夜、フンディングの館にジークムント(ヴォータンと人間の間にできた子)があらわれる。彼とフンディングの妻ジークリンデ(ヴォータンと人間の間にできた子)はお互いに惹かれあう。やがてフンディングが帰宅し、フンディングが一族の敵であること、ジークリンデが生き別れの妹であることを知る。
第2幕 - 荒涼たる岩山。ワルキューレ(勇敢な人間の魂を選び神界へ連れて行く役目)の長姉ブリュンヒルデ(ヴォータンとエルダの間の子)とヴォータンがいる。そこへ結婚を守護する女神でヴォータンの妻フリッカが現れる。フリッカは、妻を奪われたフンディングの復讐と婚姻の神聖を守るためとして、ヴォータンにジークムントの死を求め、ヴォータンはやむなく承諾する。ブリュンヒルデはヴォータンからジークムントがフンディングによって殺害されること、そしてそれを見殺しにすべきことを告げられる。ブリュンヒルデは兄妹を守ろうとするが、ジークムントはフンディングの槍に貫かれてしまう。
第3幕 - 冒頭にあの名曲が流れる。
ヴォータンの怒りを逃れ、ブリュンヒルデは居城ヴァルハラに駆け込み、妹たちに助けを求める。ブリュンヒルデはジークリンデが身ごもっていることを告げ、胎内の子をジークフリートと名付ける。そこへヴォータンが現れ、ブリュンヒルデの神性を奪うことを宣告する。荒涼たる岩山にヴォータンはブリュンヒルデを連れて行き、ブリュンヒルデがそこで眠りにつき、誰であれ彼女の眠りを最初に覚ました男のものとなることを宣告する。ブリュンヒルデは己の運命におびえ、許しを請うがヴォータンは聞き入れない。ただし恐れを知らない英雄だけが越えられる炎でブリュンヒルデの周りを覆うことを約束する。親子は抱きしめあい、永遠の別れを告げる。ブリュンヒルデは岩山の頂に眠り、ローゲの炎がその周りに燃え上がる[5]。
第2日 『ジークフリート』(Siegfried)
第1幕 - ジークフリートの育ての親であるミーメはジークフリートによって指環を手に入れようとたくらむ。ジークフリートは自らの出生の秘密を知り、折れたる剣ノートゥングを鍛えなおす。
第2幕 - 恐れを知らぬジークフリートは、竜に化身した巨人族ファーフナーを倒し、その返り血により小鳥の言葉が分かるようになる。小鳥の教えにより、指環を手に入れ、陰謀をめぐらしていたミーメを倒し、さらには岩山に花嫁ブリュンヒルデが眠っていることを知る。
第3幕 - 荒涼たる岩山の麓。ジークフリートは道をさえぎる「さすらい人」(実は主神ヴォータン、祖父に当たる)の槍を砕き、炎を乗り越え、ついにブリュンヒルデを接吻により目覚めさせる。2人は永遠の愛を誓い合う。
第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung)
ライン川のほとりのギービヒ族の当主グンター、妹のグートルーネ、地底人アルベリヒの息子ハーゲン(2人とは義兄弟)。策略家ハーゲンは、グンターとブリュンヒルデ、グートルーネとジークフリートを結びつけようとする。そこで、ジークフリートに忘れ薬を飲ませる。陰謀で記憶を失ったジークフリートは、ブリュンヒルデと愛を誓ったことを忘れる。
ブリュンヒルデは復讐を誓い、グンターは名誉回復を、ハーゲンは指輪のために、記憶が甦った背中の弱いジークフリートを死に至らしめる。ハーゲンとグンターが争い、ハーゲンがグンターを殺し、ジークフリートの遺体から指輪をもぎ取ろうとする。その時遺体が宙に上がり、ブリュンヒルデにわたる。指環を手に入れたブリュンヒルデは、ジークフリートの遺体に火を放ち飛び込む。ライン川が増水し、指輪がラインの娘たちに渡り、ハーゲンが飛び込みみんな死ぬ。炎はヴァルハラに燃え移り炎上崩壊する。
指輪に関係する者が全員いなくなり終わる。