FREAKY 13 DEAKY

酔いどれの誇りと踊る熊へ

佐藤正午著「月の満ち欠け」読み終わりました

2017-08-11 21:32:52 | 映画感想
直木賞受賞!
輪廻転生?

ホラー?

オカルト?

SF?

サスペンス?


おとぎ話?

おとなのおとぎ話。

時空を超えた(古臭い表現だ)恋愛小説か。


何度も何度も生まれ変わってある約束を果たそうとする瑠璃(るり)。

それぞれ違う人間だが前世の記憶を取り戻した時にあの人に会いに奔走する。

月の満ち欠けのように消えては現れるように死んでも生まれ変わってあの人をさがす。

話の筋はホラーみたいだが、佐藤正午のユーモアとペーソスにあふれた文体でドロドロしないのがいい。

高田馬場のレンタルビデオ店の前、雨の日に二人は出逢った。

瑠璃と三角哲彦。ルリとサンカクテツヒコ。じゃなくミスミアキヒコ。

瑠璃は哲彦と会えるのだろうか?会えるんだろ?どうせ。

会えるよ。でも瑠璃がどの瑠璃で会えるのか。どうやって会うことができるのか。


物語は過去現在を回想話で行ったり来たりする。

哲彦に会うために色々手を尽くすが不慮の事故で死んでしまい果たすことが出来ない瑠璃。


それを取り巻く人間。

振り回される男たち。

そう、また振り回されるのは男。

しかし佐藤正午は脇役をとても魅力的に描く。

そう例えばレンタルビデオ店のバイト仲間・中西。

出番は少ないながら、初めての恋に身を焦がすウブな大学生三角哲彦に恋愛成就アドバイスを真面目だけどとぼけた感じでレクチャーする。

瑠璃の名前の由来である短歌から、気の利いた返歌をおしえてやるとてもイイ奴!

実際、その返歌に感動した瑠璃は哲彦と恋に落ちる。

最後のシーンはなんとなくわかっていたけど、読み進めたら涙ボロボロ(T_T)

一気読みだったけど終わった時の爽快感。「永遠の1/2」の3倍。

良質な大人のおとぎ話でした。

R・チャンドラー好きだから、セリフもなかなか効いている。

長くなるのでまたの機会に。




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D・チャゼル監督「セッション」-WHIPLASHまた観ました…

2017-08-11 16:28:07 | 映画感想
音楽業界。

生き馬の目を抜く世界。

数少ない椅子の取り合い。

多くの天才プレーヤーを生み出す音楽院でも同じ。

狭いマーケットの中に天才がひしめいているのだから弱肉強食の世界。

この監督の描く世界観は本当に賛否両論。

今年のマイベスト3ムービーの「ラ・ラ・ランド」は聞く人聞く人、NOを突きつけられてきた。

なぜ?

この「セッション」もヒットはした。だたし賛否両論だ。


僕はこの二つとも大好きだ。

でも、とも思う。

共通する主人公の振る舞い方、考え方、話す内容についていけない奴!だなと感じることあり。

でもそれはこの監督の世界観と個性が画面に表出しているからに違いない。

二作品共に主人公とヒロインが別れる。

これは監督の大学時代の反映だ。

親友の音楽監督は二作品ともに素晴らしい出来栄え。

彼の創り出す音楽に監督は救われているはず。

「セッション」の肝は、名演奏・名曲を生む陰にはある種の狂気がたたずんでいる。

尋常じゃない経験、精神状態、そういった一線を踏み外すような状態に揺さぶられる。

でもそんな世界観も実際に音楽業界で特にプロのジャズミュージシャンは異を唱えることもある。

やっぱりその世界観の灰汁(あく)のようなものが強すぎるのかもしれない。

でも好きなんだよなァ…その癖もあくもイイ感じツボなんだよな。




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