ひとり横浜の埠頭へ。
生暖かい風が感傷を誘う。
ところどころのベンチはカップルの指定席になって。
目を向けず下も見れず、海の反射だけを見てる振りして。
彼女は来ない。知っている。
そんなそぶりも見せずに埠頭を歩く。
風景に溶け込もうとして。
一人でいるのに、そのことを悟られまいとして。
虚しさと、疲労が巻きついて。
そんな自分を優しく包んでくれるこの横浜港が見続けてくれて。
旅に出たいから、海に来て絶望をひた隠し作り笑顔。
そう、横浜線をながめトボトボ歩く。
笑って、帰ろうよ。独りごちて。
補充し過ぎたパスモを持って。
浜線で帰ろう。