時間は自分でつくりだすもの。
疲れがたまっている。
人間関係も無視できまい。
でも仕事をもっているから社会とも繋がっているし正気を保ててもいる。
ストレスも避けきれない。
それが人生というものか。生きるとはこういうことなのか。
早く引退したいとも思うが一生現役も悪くない。
しかし馬力がいつまで持つか。
小津安二郎の晩年の作品。
中村雁次郎主演。
造り酒屋の亭主の役。
時代の波に飲み込まれて右肩下がりなり企業に買収されそうになる。
まさに社長コケれば皆コケるの典型。
でも本人はいたってどこ吹く風。
お家はバタバタなのに本人はお盛んにも妾の家でコロッと逝く。
生きているときはみんな白い目で見ていたのにいざ死んでいなくなれば家業は立ちいかなくなるし口達者な娘たちも動揺する。
やっぱり一家の大黒柱だったのだ。
こんな映画。しかもコメディ。
森繁も良かったが、酒蔵の番頭役で山茶花究が最高。
小津は自分に照らしてこのストーリーを考えたのだろうか。
焼かれて灰になって京都のどこかの河原に降り落ちたのを鴉が食べている。
そこ終わる。
クロサワの「生きる」に匹敵する小津の死生観。
個人的には小早川の方が好き。
笑えて最後はしんみり。