FREAKY 13 DEAKY

酔いどれの誇りと踊る熊へ

「レジェンド:狂気の美学」WOWOWで観る

2017-06-12 15:57:48 | 映画感想
一番注目している俳優トム・ハーディ主演。双子の兄弟で二役。

脚本家出身ブライアン・ヘルゲランド監督だ。

この監督は暗黒の世界と狂気の歯車を描いたら今一番じゃないかな…。

容赦なく残酷で血みどろで非情な世界だ。

劇場で観よう観ようと思ってあっという間に終わっていたのでここぞとばかり。

しかし、分かったけどこういった犯罪実録ものとかギャング映画が齢を追うごとにきつくなっている。


しかもこの双子のギャングスターは酷いわ。

トム・ハーディの迫真の演技もあいまって闇組織でのし上がっていくタフで非情な感じが

観ていてツライ…。上手すぎるよトム・ハーディ…。

完全にトシとった証拠だオレが。

バイオレンス映画もドライでハードなものは20代30代までかもしれない。

今はロマンが感じられないとシンドイ。

だから同じ日の夜中に「ゴッドファーザーpart2」やってたの。

それも観ていて安心してしんみりとデ・ニーロの演技に感動していたもの。

それはそうと感想ね。

こんな闇社会でのし上がってきて誰にも殺されずに生き抜いたことがまずはレジェンド。

そして昔の警察組織の取り締まり方法での「面通し」のやり方がヒドイ(泣)!

あれじゃあこいつが犯人だと目撃者が指をさせないじゃん!

健気に夫を支えようとしたヒロイン・フランシスもダメンズの典型だ。

結婚式の時に教会で絶対結婚反対のフランシスの母が讃美歌を歌わずにいるところに

てめえ!歌いやがれっ!て…新婦の母親に向かって恫喝する片割れの兄弟。

教会だからビンビン響くこと!会場唖然。オレも。

実家では姑や片割れの兄弟にいびられるし。

結局フランシスは一向に生き方を変えない犯罪組織の道まっしぐらの夫に振り回されて


薬物自殺。ええ~!

フランシスの兄貴も妹が死んだとたん自宅パーティのなかで果物ナイフでメッタ刺しで殺される。来客唖然。オレも。

しかも兄弟不仲の生贄として…。なんじゃそれ。

そうなのだこの双子の兄弟は母親と自分滞以外の人間なんかけっして大事にしないのだ。

それは妻フランシスの誕生プレゼントの高級スポーツカーもろくに乗らずに雨ざらしにするような…。

正義なし。ロマンなし。

バリバリのノアール世界。

でも見入ってしまう。ナゼか。

まず脚本がすごくいい。

善悪関係なく人間が描けている。真骨頂のどす黒い怒りの感情の噴火。気休め一切抜き。

たしかに双子共々オシャレでキマッているのだが決して格好良くない。むなしい。

醜く愚かしく小賢しく同情の余地のない存在として描いているのが潔い。

「レジェンド」とはどういうことなのだろう…

これはある意味裏返しの表現なのか?

皮肉を込めての伝説ということで。

けっして偉人伝でもなんでもなく皮肉っているのなら的を射ている題名だ。

でも人間ドラマって字幕で引き込まれたんなら今度は吹替えでももう一回でいきたい。

加齢から目も悪くなってるのでシンドイね。


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大切な行きつけの店

2017-06-11 18:37:30 | 日記
飲み屋さん。

ただ小さなステージあってドラムセットやギターや南米とかで見るような太鼓なんかがあるバー。

そこのカラオケの音がすごく良くて通っているんだけど嬉しかったことがあって。

週末の金曜日の夜、オレは明日も仕事だからほかの常連が盛り上がっておそらく午前2時までやるんだろうけど

そこのママがあなたは明日も仕事なんだからもう上がりなさい!といって帰らせてくれたこと。

こういうことを言ってくれるお店がすごく大切。

だから他の店とは違う気持ちで大事にしていきたいと思った。

相性の合う店ってある。

男と女みたい。

そこにいくとドラムの上手な常連先輩が俺の歌うサザンの曲に合わせて叩いてくれる。

そんな出会いもある。

酷い目に遭う店もある。

そうやって新規開拓していってみたり紹介で行ったりして自分の本命を見つけていく。

まあ、家庭も持たずに何やっているんだという感じでもあるんだけど。

いいの。

いいの。

まだいい。

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ビリー・ジョエル「ニューヨーク52番街」で決まりです

2017-06-09 17:33:20 | 日記

12歳くらいだったかな。

初めて自分のお小遣いで買ったLPレコードがこのアルバム。

オネスティとかマイライフとかじゃなくて、

B面のザンジバルとかスティレットがJAZZYでとにかくカッコイイ!

自分にとっての名曲ってその当時の思い出が全て浮き上がってくる。

小学生から中学生に進学して新しい友達との出会い。

告白できなかった好きだった女の子のこと。

転校して行ってしまった親友との別れとか。

曲がその時の自分自身を鮮明に映し出す。

それが私的な名盤だと思う。

まあ兎に角この時のビリー・ジョエルはカッコよかったわ。


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映画「ムーンライト」観てきました

2017-06-08 11:32:27 | 映画感想
ラ・ラ・ランドとアカデミー賞を競った作品。

バリー・ジェンキンス監督も黒人だ。

出てくる人物が全て黒人だ。

マイノリティーの世界の中でまたマイノリティーな存在である主人公シャロンの切ないラブストーリー。

これはゲイである主人公シャロンと

父親の様な憧れの存在である薬の売人で成功したフアンと

親友ケヴィンの物語。

母親が薬物中毒でほぼネグレクト状態とゲイであるゆえに激しい虐めの中

生き抜いていかなければならいシャロン。

キューバの移民であるフアンが子供時代海辺で夜遊んでいると

月光に照らされた肌がブルーに輝く逸話からムーンライトというタイトルがリンクする。

シャロンのあこがれの存在の男が薬で母親を廃人に追い込んでいく複雑な関係。

この厳しい社会を生き抜くためにはタフにならなければいけないシャロンは

かつてのフアンと同じような姿になって成長し闇社会でのし上がっていく皮肉。

シャロンが言う。俺に触れさせることを許したのはケビンお前だけだと。

その告白をした時のシャロンの表情が切なく美しい。

体も見た目の雰囲気も厳しいストリート社会を生き抜いてきたマッチョな姿なのに

その瞳は傷つきやすい少年時代のシャロンそのもの。

麻薬の売人をしてのし上がって生きてきたことにショックを受けながらも一人の

人間として受け入れようとする親友ケヴィン。

この映画にはいいセリフが沢山出てくる。

例えば

父親代わりの存在フアンが気の小さい心優しいいじめられっ子のシャロンに言う。

「いいかいシャロン。自分がどう生きていくかは自分で決めなさい。決して他人に決めさせてはならない。」

質素な生活をしながらもまっとうに料理人をしながら生きているケヴィンが売人で成功しているシャロンに言う。

「シャロン、オレは刑務所に出たり入ったりしながらでも今こうして仕事を持っている。

懸命に働いても微々たるものしか貰っていなくてもだ。

そして俺には子供もいて父親にもなった。かつかつの生活しか出来ていないがあのころ

の様な不安とはおさらばだ。そうオレは人生を自分のものにできたんだよ。」

まっとうに生き抜くことだって厳しいのだ。

このままだとシャロンもいずれは短命で終わることはフアンを見れば分かる。

映画の場面では写されていなくとも語られる物語ってやつがある。

麻薬がらみの裏社会でしか生きるすべを知らないシャロンはケヴィンと再会してどうなっていくのだろう。

これは観た人各々が想像するしかないのだが。

ケヴィンが心の支えとなっていくのでしょう。

なぜならばケヴィンは一度暴力事件になってもおかしくない時にシャロンが助けてくれたから。

その謝罪と償いをしたいから音信不通であったにもかかわらず突然連絡をとったのだから。

私自身ならどう対処するのだろう。

道を外れてしまって生きている親友が苦しんでいてゲイであり自分のことを愛していてくれたなら…

苦しい。

切ない。

そんな問いかけをしてくれる映画でした。

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ「メッセージ」の感想(長文ネタバレ)

2017-06-03 16:36:16 | 映画感想
原題:ARRIVAL


そう、原題は「到着ゥ~!」ということ。

自分にとって信用できる監督の一人。

そして一番言いにくい名前の監督の一人。

エイミーアダムス演じる言語学者ルイーズ。

ジェレミーレナー演じる物理学者イアン。

不治の病で死んでしまう娘ハンナ。

フォレスト・ウィテカー演じるウェバー大佐。

ウィテカーが出ると場面が引き締まるんだよな…安心できる俳優だ。

宇宙人は大ダイオウイカ星人!やっぱり墨も噴き出す!

言葉は武田双雲ばりの?絵みたいな筆字!

それを定規で測りながら解明していく言語学者ルイーズが可愛い。

現在過去未来の観念のない生物たち。

「外国語を修得するとその影響で思考に変化が出る」という学説があるらしい。

宇宙人の言語を解明していくうちに過去と未来のフラッシュバックに悩まされていく。

ガラス越しに手から手へ伝わった特殊能力も相まってますます死んだ娘の思い出の場面に悩まされていく。

実は未来の娘の姿。

そう未来の場面がフラッシュバックされていたということ。

12か所に巨大宇宙船がアライバルしているのだがパニックを起こした国は暴動化する。

ロシアと中国とアメリカの緊張が高まる。お互いに情報を遮断する。

これがきっかけで大戦争になる可能性も浮上。

回避することができるのか?

キイワードは「ゼロサムゲーム」というゲーム理論の経済用語。

なんで来たの?

アメリカ軍の問いかけはこれにつきる。

ダイオウイカたちの目的は3000年後に人類に救ってもらうために地球に来たの!

だから核戦争とかで全滅してもらっては困るのでやってきた!

それもひとつの「メッセージ」

日本にもアライバルするが北海道だ!なぜ?

なんだか雷が落ちにくい地域を選んだとか映画内で誰か言ってたけど本当か?

物理学者イアンと結婚して娘もできるが離婚もする娘も死ぬ原作では家も失う。

時間の観念が無くなったルイーズは先の見える未来を受け入れることが出来るのか?

ここがミソ。

旦那とも離婚する可愛い娘とも死別する!そんな未来が待っていると分かってもあなたは受け入れられるか?

この物語のテーマ。

でもダイオウイカ星人だって自分達が絶滅しないように3000年後の地球人に救ってもらうためのアクションを

起こしているのだ。

未来は見える。受け入れる。でも最善の行動をとる。

未来が変えられるかどうかは分からない、それを見据えて出来る限りのことをする。

そんなメッセージが見えてきたような気がする。

ルイーズはフラッシュバックで見た未来の娘との場面から、もっと話を聞いてやりたかった優しい言葉をかけてあげたかった。

そんな「考え方に変わっていく」

未来の亭主イアンにも婉曲に聞く、あなたならどうする?

死ぬことも変えられない、別れも変えられない。

そうなんだよ。それが分かっていたら、もっと感謝すればよかった、気持ちを素直に伝えておけばよかったと思うことになるよ。

独り言をするオレ。

親孝行したいときには親はいない。こんな諺がこの作品によく合っている。

そうなんだよね。

離婚すると分かっていたらもっと楽しい会話と食事をいっぱいすればよかったなと。

離婚するんだと分かってればもっと沢山旅行に連れてってあげればよかったなと。

結果は変わらなくとも、変わらないからこそ、愛情を出し惜しみしたらもったいないと思うもの。

だから科学的な矛盾点とか物語上のアラとかはどうでもいい。

テーマ。

そこに刺さるものがあったのかどうか。

自分のイタイ過去の経験から、う~ん分かるなァ分かるよルイーズと言わずにはいられなかった。


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