嘘つく記憶

メモ帳を引っ張り出した。「気をつけろ！騙されるな！簡単に信用しちゃいかん。特に自分自身の記憶だけは！」
2Bの鉛筆で筆圧強め。
余程肝に命じたかったのだろう。
自分の筆跡は確かだ。
だが意味がサッパリ。
なんで記したんだろう？

いつリタイヤするの?

30代のころは、65歳で仕事も何もかもすべて捨ててリタイヤすると決めていた。


五十一をかるく越えたらチョット弱気になってくる。

これは、七十過ぎても働き続けて…


いやだ。


これは何としても。


計画たてなおし。


目標据え置き。

行動計画書き換え。

考え方改め。哲学思想も脳みそ棚卸し。

目標数値を阻む考え方速攻切り捨て。


でも酒はやめないよ。


タバコもギャンブルも女遊びもとっくにヤメた。

飲み屋で仲間作るのもヤメた。

飲み屋でオネエチャンの電話番号聞くのもヤメた。

酒と映画と本はやめない。

リタイヤしても三日で飽きるぞ！とご助言をいただきますが、あんたはリタイヤでないでしょ？

ハワイとオーストラリアと東南アジア全般を一年の半分以上周遊してゴルフしてサーフィンしてバイクでツーリングして…


それを実現してるなら忠告してもいいけど。


そういうリタイヤを目指してる。

そんな贅沢言ってないでしょ？

フロリダ、バハマで永住しようと言ってるんじゃないんだから。

べつにそのまま外国で生きてもいい。

あ、酒はやめないよ。そこはゆずらないよ。

「かわいい女」 LITTLE SISTER

女って、面倒くさい。


女って、可愛くて、憎たらしくて、やっかいで、それでいて愛おしい。

クソ!


オレが馬鹿観てるだけじゃないの。

O線の踏切で、エズイている俺見て笑ってる女子大生とか。

年齢不詳の女とか。


「酒に飲まれている」オヤジを見て、残念がってるし。


もっと、延長してくださいみたいな顔もしない。

カッコ悪い、オヤジをつぶさに観察して、俺はさながらモルモット。

こ汚い、ねずみ。酔いどれ鼠。


仕事、というかアルバイトヤル気あるのか？あんみか？


二回りも歳が離れているのに、連絡頂戴って。

うち帰って、クレンジングして寝なさい。


そんな酔っ払いのオヤジの「クダ」をブログに載せて、


会社のベンチシートで仮眠して明日も仕事します。


ライバル会社の、クソSがノシテきてるので、悔しいから15馬力で仕事やります。


だから、突然、「この手紙」が途絶えたら、死んだと思って、


少しは悲しんでくれ。

いや笑って、忘れてくれ。


以上だよ!!!

汚れちまつた悲しみに……

雨、仕事する。


晴れ、仕事する。

洗濯する、仕事する。

掃除する、仕事する。

サボる、仕事する。


一日の大半を使って、悔しがる、喜び合う、ガックリ肩を落とす。


A4一枚の日報を記す。

忘れかけた午前中のガックリを思い出す。


ファイルに綴じて社に提出。


忘れちまった悲しみに冷酒をかける。

51年分汚れちまった。



ぬる燗でそっと汚れを洗い流す。


家族はいない。親友はいない。学校はない。離れたものだけが光る。


カクテルなんてお呼びじゃない。

リキュールも御免こうむる。

角瓶だけでいい。

炭酸水と氷が付けば今日のことはすべて忘れてやる。


うん。男に二言はない。

主人の個性が現れるところ

冷蔵庫。


冷蔵室には缶ビール、目薬、タバスコ。

野菜室は冷えた空気。


冷凍室には凍ることのないウオッカ。


…のみ。以上。