令和元年12月27日夜。我が身は広島平和記念公園の中にある広島国際会議場フェニックスホールにありました。当日この会場ではヴィオラ奏者である沖田孝司さんも演奏する「マイ・ハートコンサート」が開かれました。ヴィヴァルディの「四季」、ソプラノ安藤由華さんによるモーツァルトの「アレルヤ」などが演奏され、楽しい宵のひと時を過ごすことができました。
「一期一会(人生一度きり、かけがえのない出会いを大切にしましょう)」という禅語があります。出典は『山上宗二記』で、意味は「常の茶湯なりとも、露地へ入より出るまで、一期に一度の会のやうに亭主を敬ふべし」。人と何度会うことがあっても、いまこの瞬間は一度きり。だからこそ、一瞬一瞬をおろそかにせず、大切にして人と交わりたいものと、以前にも紹介した『禅語カルタ百句』にでていました。
私と沖田さんとの出会いは20年以上も前のこと。広島勤務だった時の勉強会で知り合いました。音楽にまったく縁のない私に親しく接していただいたものですから、東京に戻ってからも誘われれば、何度か彼が主催する「マイ・ハートコンサート」に出かけたものです。今回は沖田さんが還暦を迎え、これからの10年のラストスパートを記念する演奏会にぜひとも来てくれと誘われました。熱烈なファンの追っかけならまだしも、この年末の時期にわざわざ2時間の演奏会のためにいくべきか躊躇いもありましたが、不思議に心はすでに広島にあり、切符とホテルの手配を済ませていました。
沖田さんは若い時もそうでしたが、無欲で人柄がよく、応援したくなるような方でした。こうした人との出会いこそ「一期一会」。たぶんこれからの10年も「マイ・ハートコンサート」に出かける自分がいると思います。
写真は素晴らしいコンサート終了後に広島平和記念公園で写した一枚。ライトアップされた世界遺産「原爆ドーム」です。