重い腰を上げた。
「ジュエリーアイス」を見るためだ。
凍てついた十勝川を下ってきた氷が海に出た所で波に翻弄され、河口にある大津漁港付近の海岸に打ち上げられ、宝石のように輝いているらしい。
アムール川から流れ出た流氷がオホーツクの海辺を漂流するのと どこか似ている。
( ジュエリーアイス なんて名前はついているけれど、ただの氷だろう) と云う気持ちと、( ジュエリーだもの、きっと素晴らしいに違いない) と云う気持ちが交差した。
「百聞は一見にしかず」と云うし 行ってみるかとルンバを誘った。
ルンバは多少の事では動かないが、帯広の豚丼で釣るとパクッと食いつく。
それで先ず、高速で帯広まで走り 例の豚丼を美味しく頂いた。
あとは、十勝川に沿って河口にある大津漁港まで 約60キロを一気に下った。
インターネットで手に入れた地図を見ながら進もうと思っていたら「ジュエリーアイス」への立派な案内看板を発見。
こんな看板を作るぐらいだから、やっぱり素晴らしいキラキラが見られるのではと 期待が高まった。
海辺に近い空き地に車を置き 海岸へ向かって歩き出した。
同じように「ジュエリーアイス」目当てに来ている人がいるようで、駐車している車のナンバーは 旭川や札幌もあった。
そんなに遠くから ここへ来るくらいだから、益々期待が高まった。
波の打ち寄せる海岸には 大きいのから小さいのまで沢山の氷がゴロゴロしていた。
でも大体が砂まみれでキラキラしていない。
まさか、これじゃ無いよね と思いながらキラキラを探すのだが・・・・・
三脚まで担いでいるオッチャンが居たが、何とかキラキラを探そうと必死のようだ。
諦めの良い人は「ジュエリーアイス」に背を向けて海を撮っていた。
後から来た3人連れは、苦笑いして 直ぐに消えた。
何が「ジュエリーだ」なんて悪態を付いているのは私ぐらいのようだ。
でもガッカリ度は、250キロも走って来た札幌や旭川の人の方が大きいに違いない。
そう思って自分を慰め、50キロ先の我が家へ向かって車を走らせた。