ルンバが着替えている。
ウォーキングに出るみたいだ。
気温はマイナスだし風も強そうなのに大丈夫なのだろうか。
私も診察日が迫っているのでルンバの後を追うように着替えて家を出たのだけれど、トンデモナイ強風。
強風と云うより豪風だ。
前傾姿勢で冷気を突き破って進んでいた額が直接氷を当てたように痛くなり、いつもは右折する交差点を耐えきれずに左折してコンビニへ入った。
ルンバはこの豪風の中、本当に歩いているのだろうか。
昔々、小学校の授業で 猛吹雪の中を配達に出た郵便局員が郵便物を守るように抱えた状態で遭難死したことを教えられ私も尊敬の念を抱いたのだけれど、コンビニのオニギリを2個抱えて倒れても笑われるだけなので直行で家へ戻ることにした。
帰宅して暖まりオニギリを口に入れているのだけれどルンバが帰ってこない。
もしかしたら橋の上で飛ばされて川の中に落ちたのではないかと心配になり探しに行こうかと思ったところで玄関が開いた。
「いやぁ トンデモナイ風だよ」
「歩いていると 額が凍って痛くなってきてねぇ」
「何度も飛ばされそうになったけれど、本当に凄いんだから」
それ全部知っている。
今体験してきたばかりだから。
ただ・・・・・途中で逃げ帰った私。
根性無しの私。
オニギリを買いに出ただけの私。
もう一個あったオニギリを そっと隠した。