少し寝坊した。
昨夜は本当に冷えて寝付かれず、布団の中から指先だけを出して文庫本を持ち、長時間睡魔が訪れるのを待っていた。
遅い朝食をとりながら時計を見て「ギリギリでSLの撮影に間に合うかも・・・・・」と思った瞬間から時間との闘いが始まった。
カメラのレンズを付け替え、ネックウォーマーに上着を重ねて家を飛び出した。
撮影場所は、一番人気の鉄橋に決めた。
小さな駐車場は既に溢れているに違いないので、少し遠くの空き地に車を置いてカメラを抱えてのウォーキング。
鉄橋横には何度も来たので、今日はターゲットをSLから撮影している人の方に向けてみようかと企んだ。
寒さにじっと耐えてSLが通過するのを待つ人々。
川面には氷が浮いていてシバレを演出していた。
やっと現れた黒い巨体に一斉にカメラが向けられた。
通過すると同時にカメラマンが乗客へ向けて手を振る。
もちろん乗客も手を振りかえし笑顔が弾けているのが見える。
「鹿とかキツネに丹頂が見られれば良いね」
そう思いながら、私も一生懸命手を振った。