バン と音がして手に痛みが走った。
何が起きたのか分からない。
目を開けたら、いつもテーブルの上に置いてあるボールペンやハサミの入った箱を抱えたルンバが目を丸くしてこちらを見ていた。
受診の為、いつもより早起きしてクリニックへ行ったが、やっぱり心の底では不安がいっぱいで、精神的にも疲れていたのだろう。
薬を受取って帰宅し、「悪化はしていなかったよ」とルンバに伝え、着替えた後ソファーに横になった途端眠ってしまったようだ。
バンと音がして手が痛くなった時、確かバレーボールで友人と遊んでいたような気がする。
完全に夢の中にいたのだ。
ボールを落とさないようにと滑り込んだ時に足が動いてペンやハサミの入ったケースを蹴飛ばしそうになり、バンと音がした時にはスマッシュを決めた瞬間だったようだ。
夢の中で私は一生懸命だった……と云えばカッコ良いが、私は体育会系ではない。
ネットの下側にも触れられないジャンプ力。
下手すぎて突き指ばかりしていた。
それが夢の中だとまさに夢のようなジャンプをしてスマッシュ。
痛みを感じたけれど、少しだけスポーツマンの気分を味わえたのだが、ルンバが私を見る目は大谷翔平やイチローを見る目とはかなり違う。
この人…………大丈夫❔と思っているのだろうか。
俺は大丈夫。
一流アスリートに怪我はつきものだからね。