判定は･･･････アウト

退職して以来､外出する時はGパンを穿いていた。

買物する時も食事をする時もGパン。

それが市内に最近テレビで取り上げられるワークハンターやワークマンなど作業服を売っている店が次々と開店したので､ルンバのお供でチラッと寄ってみた｡

ストレッチパンツと云うのだろか｡伸縮性素材で軽くて歩きやすいズボンを試着してみて虜になった｡

以来､Gパンとはオサラバ。

軽いパンツを探して各店を訪れ､今は4本を交互に穿いている。

各店の品は同じようで同じでは無い｡

膝が僅かに曲がっているものや蛍光反射材が貼られたものなど様々だ。

今日穿いてウォーキングに出たのは､内側に紐が付いていてギュッと結び､さらに前方の内側からボタン､さらに外側からももう一つのボタンで留め､一番外側をベルトで締めるようになっていた｡

スマホ専用のピッタリサイズのポケットが付いていて､なかなか工夫されているとご機嫌でウォークに出て途中からジョギング開始｡

しかし久しぶりに腸が動いてアノ気配を感じ早めのUターン。

自宅への最終カーブを曲がったところでファスナーを開け､手には家の鍵を握りトイレへ駈け込む態勢を整えた。

しかしトイレに入った所で大苦戦｡

ベルトを外しても外側と内側のボタンが邪魔をする｡

そして､さらに結んだ紐までが解けない｡

ホント、マジでダメかと思った｡

正直に書くけれど､少し顔が出ていた。

厳しい審判ならアウトの判定を出すかも知れない。

紐もボタンもイラナイ。

ベルトだけで充分だから。

今の時代、絶対に売られていない土産もの

強烈な台風11号が暴れているとのニュース。

数週間前の豪雨で北海道の中央､日高地方と十勝地方を結ぶ日勝峠で崖崩れが発生し通行止めになったばかりなのに、また災害が起きるかも知れない。

普段でも事故の多い危ない峠だが､今は道東自動車道が完成し大雪山系をトンネルで貫いたので危険な峠を越える車両は減ったが通行料金を支払いたくない運送会社のトラックが多く利用しているようだ。

今から30年以上前、何とかハラスメントなんて言う言葉が出てくる前の時代、峠の頂上に近い所に土産物店があった｡

過去形にしたのは多分もう無いと思っているからだ。

そこへ立ち寄った時に(嘘､こんなもの売っているの)と仰天したのがチ●チ●の形をした飴。
大と小があって､小は赤ちゃんサイズだが大は完全に私の負けだ。

それが､さり気なく普通の土産物店に並んでいるのだ。

モチロンその大を買って職場のT子ちゃんにお土産として渡したが､彼女は目を丸くして受け取ってくれた｡

多分､旦那に見せて大笑いするのだろうと思っていたが､数か月後に気になって｢食べた？｣と訊いてみたら､まだ引き出しの奥に置いたままだと云う｡

それを探し出して(やっぱりデカイなぁ…)と思って見ていたら別課のW子ちゃんが見つけて｢頂戴｣と云い嬉々として持ち去ってしまった。

実は､土産物店には女性のアレを模したのも売られていた。

最初は気が付かなくて素通りしたのだが､男があるのだから女もあるに違いないと真剣な目で探して見つけたのだ｡

それも一緒に買おうか迷ったのだが買う勇気が出なかった｡

それをルンバに見せたら殴られそうな、そんな気もしたから…………

屁は口ほどに ものを言い

テレビに最新家電を紹介するコーナーがあった。

両手が使えなくてもチョンと触れるだけで冷蔵庫のドアが開いた。

ラップをしなくても新鮮さを保つ工夫がされた冷蔵庫にルンバの目が釘付け。

次に壊れるのは冷蔵庫だと思っているので私の心中は穏やかではない。

そして次に紹介されたのはモジャモジャの毛髪が魔法のようにスベスベに変化する最新のヘアドライヤー。

10年ほど前に電気店へドライヤーを買いに行った時､普通の3倍もする高価なドライヤーを店員に勧められて、つい買ってしまったけれど私が使ったのは買った直後の一度だけ。

確かにサラサラにはなったけれど､毛が少ないのだから使わなくても乾く。

ルンバだって髪は何かのおとぎ話に出てくる妖怪のような白髪なのに､それでも新型のドライヤーに興味がある様子｡

私は冷たく｢欲しければ今度は自分で買えよ｣と突き放した。何しろ約4万円もするのだ。

ウォーキングに疲れてソファーで横になった途端､眠気に負けて目を閉じた私に､しばらくするとバスタオルが静かに掛けられた。

その気配を感じた途端、彼女の企みを悟った。

きっと方針転換して優しくすることで高価なドライヤーを手に入れようとしているのだ。

(そうはいかない)と私は強い意思を示す為に横を向いて屁を一発出した。