今年、母親が喜寿を迎え、お盆には兄弟家族がうちそろい、地元秋田でお祝いする運びと相成りました。そうなると、わが故郷、秋田の山に登らずにはいられないではないか!秋田の山、といえば、秋田県と山形県の県境に、「鳥海山(ちょうかいさん:2,236m)」があります。東北で2番目の高さで、日本百名山にも入っている秀峰ですが、自分はと言えば、子供のころからまるっきり縁がなく、その麓にさえも近寄ったことが無いのでした。今回は、迷わず、鳥海山!
ちなみに、鳥海山は、秋田、山形の県境に位置しますが、頂上部分は何故か、ざっくりと山形県側に切り取られています。かつて、庄内藩との抗争に破れた矢島藩が、召しあげられたのがそのまま尾を引いているそうです。余談ですが、秋田はどうもPRが下手なのか、県境にある名所は他県にとられる傾向が見られます。十和田湖と言えば、青森県にあるとおっしゃる方が多いですが、どっこい、半分は秋田県。そのうち、白神山地も青森県・・なんてことにならないようにお願いしますよ!
しょっぱなから話が脱線しましたが、猛暑の東京を後にして、8月13日夕刻、秋田空港から由利本荘市の湯の沢温泉に向かいます。ここで1泊して、明朝、山頂を目指します。天気は安定しており、明日の快晴が期待されます。
山麓から望む鳥海山北面。この山は、見る方角により山容を変える。
8月14日5時。今日も快晴だぁ~!
鳥海山は、山頂に大物忌神社があるように、古来より、山岳信仰の対象であり、修験者が引きも切らさぬほど押しかけた時期もあるだけに、登山道はいくつも切り開かれています。東西南北メジャーなもので5ルートありますが、今回は、秋田県側、北から登る矢島口コースとしました。標高1,180mの祓川駐車場から七ツ釜避難小屋経由、康新道を登り、下りは大雪渓を滑り降りる永ノ薬師経由のルートです。
5:00駐車場スタート。まずは竜が原湿原の木道を通って登山道へ。鳥海山には「七高山(しちこうさん:2,229m)」と、「新山(しんざん:2,236m)」の2つのピークがある。南北の方角からは、この2つのピークが見える。
6合目賽ノ河原、7合目御田には大きな雪渓が残る。雪渓下の渓流には、水芭蕉が。ここでは、春、夏が同居しているようだ。
御田を過ぎてしばらく登ると、康新道と、永ノ薬師経由の本道との分岐。登りは、最も西寄りで、「稲倉岳(いなくらだけ:1,554m)」との間に広がる大カールの縁を辿る、康新道を登る。西方向は言うまでもなく、日本海が広がる。登山道は、花畑の中を縫うように進む。
西側の大カールは、写真ではそのすごさが伝わらない。縁から眺めると、怖~いくらい急峻で、深くえぐれている。この辺りから、自分は実は高所恐怖症であることに、否応なく気づかされる。高いところが怖いわけではないが、切り立った崖の上や、はるか遠くに下が見える(?)ような状況が怖い、のだ。そんなんで、よう山登りますな~
8:15山頂(七高山)。もともとの山頂だが、1801年の噴火により、2つ目のピーク、新山が成立。2,236mと7m抜かれてしまった。七高山から見る新山は、雪渓の向こうに急峻で岩だらけの山容を見せる。当然、これから向かうわけだが、なんとなく、足がすくみそう・・。あまり行きたくないが、誰かさんに怒られそうなのでいく。
ごつごつと切り立っている新山は西方向、これとは対照的に、東から南にかけては、なだらなでおおらかな東北の山らしい景観がみられる。
新山山頂からのパノラマ画像。南から西方面。新山は、全体が溶岩がぱりぱりと四角く割れたような岩でびっしり覆われている。ジャングルジムの様な岩山をよじ登れば、8畳間程度のささやかな山頂。西側は、全くらいなほど、切り立っており、あまり長居はしたくないので、早々に退散。
下りは、大雪渓を滑り降りるコース。調子に乗るとトラバース箇所を見落として最下部まで行ってしまいます!それでも藪を漕いで隣の雪渓へ乗り継ぎさらに下へ。晴れていても、人のいない雪渓ではルートを見失いがちで、ガスっていたらどうするんですかね?はれているときに限り、双眼鏡があると、目標物を発見するのに便利かもしれない。今回は、かろうじて人が遠くに見えたので、方向が分かったものの、肉眼では赤いテープも白いペンキも見えませんでした。
七ツ釜の滝。ここで元の道に合流する。
雪渓下は、まさに雪国の春。一瞬ですが、子供のころの雪解けのにおいがした(これ本当)。
8月の鳥海山北面は、残雪のほか、たくさんの花が見られます。画像をどうぞ。
12:00祓川駐車場着。
合計7時間、標高差1,056m。素晴らしい天気と絶景でした。独立峰ゆえに、連なる山並はありませんでしたが、東北の山らしく、広大な山域に感動いたしました。写真で、それが伝わればうれしい限りです。
おまけ:
これは、秋田駒ケ岳の画像です。おばあちゃんのお祝いをこの山麓の旅館で開催したので、ご紹介します。Takは、子供のころ、何度かこの山に登りました。昔から怖がりだったので、硫黄が吹き出る地獄谷の上を登っていくルートがとても怖くて泣きだしたのを覚えています。後日、大人になってからその場所をわざわざ見に行ったものです。あまりの大したこと無さに唖然としたものでした。また、写真でも見えますが、山麓には田沢湖高原スキー場がびしっとございます。このスキー場も、毎年連れてこられて泣きながらスキーをさせられた場所です。思えばその昔のスキー靴は革製で、雪が入ってとても冷たく、手袋も、ゴアテックスどころか毛糸の手編みと来てますから、寒いは怖いは冷たいわ、で、大変な思いをしたものでした。それが今や、こんな大人になってしまいました。さて、この駒ケ岳、東には岩手山、北には乳頭山、八幡平と、素晴らしい縦走路がつながります。東北の山を実感できる良いコースです。(八幡平への縦走路は、恐らく消滅しているものと思いますが)機会があれば、また是非来よう、と思います。
秋田良いとこ、温泉三昧~。皆様、暑さ対策にはぬかりなく。