塩見岳は、南アルプス中央に位置する百名山です。東は静岡県、西は長野県の県境に位置し、西の天竜川、東の大井川に挟まれ、北の北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山、さらに仙丈ヶ岳と、南の荒川、赤石、聖の中間に位置し、南アルプス全体を眺めることのできる独立峰でもあります。
北には間ノ岳、農鳥岳と、そこに向かう仙塩尾根
南には小河内岳と右に荒川岳。
この山は、長野側の鳥倉登山口から入るルートが一般的で、山頂ピストンで距離24km、標高差2,600m、コースタイム14時間のタフなコースです。
9月26日何とか明るいうちに帰ってこられればと朝3時に鳥倉の駐車場を出発。このコースは、トランスジャパンアルプスレースでもお馴染みの三伏峠を通り、本谷山を通過して本山を目指します。途中、山頂直下の塩見小屋まではほとんど眺望のない樹林帯のコースで暑い日に登るのは避けたいところ。登山口から標高差で900mほど登ると、三伏峠小屋のある三伏峠に着きます。
三伏峠と三伏峠小屋。小屋の右手の急登を登ってくる。
ちなみにこの三伏峠、標高が2,600mあり、日本の地図で記載されている最も高い峠だそうです。明治に長野の伊那と、静岡の大井川中俣をつなぐ生活道路として開鑿されたそうで、比較的歴史が新しくて、歴史の匂いがしないのが残念。さらに、現在では静岡側に降りる道が廃道となり、峠といっても尾根をつなぐ登山道の中継点としてのみその役割を担っています。
みつぶし、ではなく、さんぷく、と読む。
トランスジャパンアルプスレースでは、北の仙丈ヶ岳からこの塩見岳をつなぐ仙塩尾根を通ってこの三伏峠の関門を通過、さらに南の赤石岳を目指します。それにしても、こんな標高の高い生活道路を通るというのも今では想像もつきませんが。
三伏峠からはこんな尾根道を歩く。
三伏峠を通過して本谷山こえ、なだらかな尾根を歩くとこぢんまりとした塩見小屋に着きます。
山頂直下に塩見小屋はある
ここから森林限界を超えて、南北の南アルプスの山たちが姿をあらわします。最初の画像は塩見岳を三伏山から見たものですが、遠景はこんな感じです。
昨年11月に空木岳から塩見岳を遠望したもの。
山頂部が帽子のようになっていて、中央に突起が見えます。この部分、なかなかの急登で(僕の嫌いな)岩場です。
そして、この岩場をよじ登ると、360度の絶景が待っていました。
塩見西峰から最高峰の東峰を見るホッとしている僕。
今日の朝のうちは山域全体にガスがかかっていて、登るのには涼しくて良く、昼前後にはガスが取れて、山頂到着時にはこの通り。仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、中央アルプス方面は見えませんでしたが、北の白峰三山、南の荒川、赤石が目の前でした。
南東の蝙蝠岳の左に富士山が見える。
今日は、山頂付近ではガスが取れて南アルプスがよく見えて何よりだったのに加えて、上りと下りのしんどい時間帯には的とにガスがかかって涼しい願ったり叶ったりの1日でした。
おかげで、途中ばてることもなく下山完了。最近、ますます足が速くなっている気がするんですが、いったいどこまで進化するのでしょうか?
この入山口の鳥倉林道は、長野県の大鹿村というところにあります。中央自動車道の松川ICから赤石岳を源流とする小渋川を遡ってきますが、途中、多くのダンプが行き交っており、道も拡張されたり、トンネルも新設されてたりしています。いったい何事かと思ったら、そうです、ここは中央リニア新幹線のトンネル工事の真上だったのです。静岡県知事が反対し続けたこのリニア新幹線の経路はちょうど赤石岳とこの塩見岳の間と通ります。長野県側ではすでに工事が進んでおり、大量の土砂が運び出されていて、小渋がわの河川敷に積み上げられています。この大量の土砂はこれからどうなるんでしょうか?地下水の変化という影響のほかに、この大量の土砂の処理は、もう一つの大問題なのではないでしょうか。
発生土砂、に注目。
山に登ったら温泉入って、カロリー補給が大事。今日は道の駅で教えてもらった松川IC近くの清流園のお世話になりました。新しい施設で入浴料500円とは今時ありがたい。安いですけど、いい温泉。ここでカツカレー食べて一休みして、帰路につきました。最近、このパターンが気に入ってます。
アップダウンが少なくでていますが、消費カロリー3,600kcalだそうです。
山頂からのおまけ動画↓