自己と他者 

自己理解、そして他者理解のために
哲学・ビジネス・雑記・洒落物など等

吉川栄治の『宮本武蔵』

2005-12-16 16:31:38 | 小説

全8巻を読み終えた。
著者は書き終えたとき体重が約7キロも減っていたそうだ。

主人公の新免武蔵は、
お通さん、城太郎、伊織、又八、おすぎ婆、俗世間、石舟齋、
宝蔵院の胤舜、胤栄、吉岡清十郎、弟の伝七郎、朱美、
その母お甲、沢庵、和尚、紹由、本阿弥光悦、その母秀尼、
小次郎などなどとの出会いのなかで、翻弄されたり、気づきを
与えられたりしながら、剣の道、人の道、世の無常、
自然の理などを学び取っていく。

覚えておきたい言葉が多々あった。
・「部屋には花鳥風月しか立ち入りがたい雰囲気があった」
こうした感覚的表現がすきだ。
・酒は悪いものではない、飲む人が悪いのだ。
当たり前だが、今の12月という時期、肝に銘じておくべきこと(笑)。
・「生命を愛する。ということは、単に無為飽食を守っている
ということとは大変に意味が違う。だらだら長生きを考えるという
ことではさらさらない。いかにしてこの二度と抱きしめることがで
きない生命との余儀なき別れにも、そのいのちに意義あらしめ
るか。捨てるまでも、鏘然とこの世に意味ある光芒を引くか。」
・「人と人とが円満に住んでゆけば地上は極楽だが、人間は
生まれながら神の性と、悪魔の性を、誰でも二つ持っている。
それが、一つ間違うとこの世を地獄にもする。そこで、悪い性質を
働かせないように、人なかほど、礼儀を重んじ、体面を尊び、
また、お上を設けて、そこに秩序というものが立ってくる。」

などなど、現在の日本、世界、住んでいる場所、自分と
他人との関係を考えながら読んでみると自分も反省する
部分が多々あり、これからに生かそうと思う次第。

自分の存在を尊重してほしいと思ったら、他人の存在を尊重する
ことがまず重要。これは万国共通の理だ。