(小学館より)
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「1981年、俺はイスラエルに、世界最強の諜報機関モサドの取材でいた。
ある日、モサドの将校が俺をジープに乗せてウエストバンクを案内してくれた。ヨルダン川の西岸、その場所は、1967年の『六日戦争』でイスラエルがヨルダンから奪った地域。
死体がころがっていた。50度の炎天下、俺はジープをおり、そのうつ伏せになっている死体の顔を見ようと思った。制服を見ると完全にPLOなんだ。
触ろうと思ってかがんだ途端に、将校が後ろから「ホールドイット!」と叫んだ。「待て」というわけだ。
「ちょっとこっちこい」
おれはジープの後に行った。すると彼は、やにわにワルサーを腰から抜いて、死体に狙いを定めるんだ。そして撃った。
死体がいきなりドーンと爆発しやがった。人間爆弾だった。
この一事が現在の中東をすべて象徴している。ユダヤ人というのは、必ず死体を埋める習性があるんだ。敵でも味方でも。PLOはそれを知っていた。
そのアラブ人の死体は、自分の弟かもしれない。兄貴かもしれない。それを腹わたを出して、爆弾を詰めて縫って、線を体中に回す。触った途端に爆発するように仕掛けるんだ。 同胞の死体までをテロの道具として使うPLO。その死体に銃弾を撃ち込まなければならないイスラエル人。」
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イスラエルとパレスチナの地から争いがなくならなければ、テロはなくならないし、その争いを利用する人たちもいなくならない。
結構前に、ミュンヘンという映画を観た。細部の部分まで真実かは分からない。監督はスピルバーグ!!!
1972年のミュンヘンオリンピックでイスラエル代表選手11人が射殺された事件とその後イスラエルのモサドが黒い9月、PLOの実行犯グループを復讐により、次々と殺していくといった内容だ。
モサドの復讐を果たす暗殺者がセリフでこういっていたのが忘れられない。
「われわれだけが、イスラエルの中にいればイスラエル人と呼ばれる。だが、外に出ればユダヤ人と呼ばれるんだ。」