卯月です。
明日お会いする臨床心理士のA先生が、もう十何年も前に、私のカウンセリングを始めて間もない頃に言った言葉。
「たとえばあなたの心の扉まで行くのに、50段の階段があるとして、2度目でも3度目でも近道はなくて、あなたに会いに行くためにはいつも必ずその50段をきちんと上らなくちゃいけないのよね」というような内容の言葉だったと思う。
私は心にたどり着くための階段があると思ったことはなかったし、そういう発想自体がなかったので、とても驚いた。
でも、多分今でもだけど、私の心の扉は鍵が壊れているので、「鍵がかかっていないのだから入ってもいいんだろう」って思うのが普通で、勝手に踏み込まれても文句は言えない、鍵を直せない私が悪いんだ、って思っていた。
だから、A先生が必ず50段上る、という約束をしてくださったときに、生まれて初めて、「人に大切にされる、人格を尊重されるって、こういうことなんだ」ということを知った。
私がA先生に心を開くことができたのは、この約束があったからだった。
今でもこのことを忘れない。
階段がみんなにあるのかどうか、何段あるのか、それは私にはわからないけど、私も「仲良しなんだから近道していいよね」「エレベーターないの?」ってならないように、気をつけよう、って思う。
階段を上ってでも触れ合いたいと思える、そういうつながりを大切にしていく。
私は、歩いている。