すずめ休憩室

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気の向くままにつづってみました。

「YAWARA」と「Happy!」

2006年10月31日 | 漫画・本
 「YAWARA」  「Happy!」

どちらも浦沢直樹さんのスポーツ漫画。
「YAWARA」は全29巻、「Happy!」は全23巻
どちらも夜さんからお借りしました。いつもありがとうございます

「YAWARA」と言えば、アニメにもなった超人気作の柔道漫画。一方「Happy!」の方はテニス漫画となっています。
こういうスポ根モノって同じ作者が書くとどうしても似た雰囲気になりがちなんですが、この両作品も共通項は多々あるとはいえ、かなり違うテイストになっていますね。

まず共通項
・主人公がとぢらも女性
・「YAWARA」の主人公・猪熊柔も「Happy!」の海野幸も類い稀な才能を持っている
・ライバルが超お金持ちのお嬢様
・主人公を見守るタイプの違う2人の男性とその狭間で揺れ動く女ゴコロ
・どんなときも主人公を支える友人
・変わり者の指導者の元で才能を伸ばす
・そしてラストは皆がいい人・・・等々

なのになんでこんなに違う印象かといえば、ひとえに主人公を取り巻く環境と性格なのでしょう。
柔の方は生活に困窮することはなく、周囲も天才・猪熊柔をバックアップすべく色んなサポートをして日本国中にファンがいるのに対し、幸の方はきっかけが兄が作った2億の借金を返すためにテニスをはじめ、しかもライバル蝶子の陰謀があり、ブーイングの嵐の中で試合をし続けるありさま。なんとなく柔が皆が開花を楽しみにしている花ならば、幸は踏まれて伸びる雑草のような(苦笑)
なので「YAWARA」の方は天才と言われる才能をフルに発揮し、どんなに強い敵が現れても読み手に「たぶん勝つんだろうな」と思える印象与えるのに対し(事実、不戦敗しか負けはない)、一方「Happy!」の方は罠が待ち受けていたりコテンパンにやられるコトもあり、読んでいてもハラハラします・・・

でもほんとどちらも魅力的な漫画だと思えるのはやはりキャラの力なんだろうな。溢れんばかりの才能を持ちながら持ち前の優しい性格ゆえ、他人の心配をし悩む柔と、色んな苦境や問題にぶち当たって、どん底まで落ちそうになりながらも、ある意味鈍感とも思える前向きさでそれを踏み越えた時に何かを掴んでいく幸。この相反する主人公がいるからこそ2つの作品がかそれぞれに輝きを失なわないのでしょうね。

たぶん仮に「YAWARA」の主人公が幸でも、「Happy!」の主人公が柔でもこれほどまでに読み手を惹きつけなかっただろうな。
そしてどちらとも脇キャラも魅力的だし、ぐいぐい読み手を引き続けますね。
私個人的な感想としては「YAWARA」で出し切れなかった暗の部分を「Happy!」で消化した感じがしますね。「YAWARA」が超人気作だったぶんこの辺りが比較され賛否両論の的になりやすいのかなーとも思えますが・・。

国民的人気アニメとなった「YAWARA」に対し「Happy!」はちょいと認知度は低いかもしれないけれど、どちらも読み応えがあり名作だと思います。そして読後感も爽やかそのもの!!
未読の方は是非読み比べてくださいませ