かわずの呟き

ヒキガエルになるかアマガエルなるか、それは定かでないが、日々思いついたことを、書きつけてみようと思う

猛暑を口実に怠けていたら。

2011-09-21 | 気ままなる日々の記録

 例年9月初旬には3回目の草刈り(または除草薬散布)をするのですが、今年は異常な猛暑、それを口実に怠けていましたら、雑草の方は太陽からのエネルギーを一杯受けて、見事に育ってくれました。高いところは背丈以上、平均で肩ぐらい。草刈りは、草丈が膝ぐらいの時に行うのがベストで、それ以上の草丈になると2倍も3倍も手間がかかります。

     

 草丈が長くなると、根元で切ってて倒した草が、まだ刈られていない草の上に倒れて、大混乱に陥るからです。こうなると佐々木小次郎のツバメ返しの剣のように草刈り機を中空で振り回し、細かく切り刻みながら前に進みます。今年は7月に散歩した除草剤が良く効き、蔓草が少ないので助かります。草丈が高いうえに蔓草が多いと、本当にトホホです。

 もう15年も前でしょうか、晩秋にひるがの高原(国道156号線沿い)を通る機会が合って、急に思い立って車を止め、一人ふらふらと丘の頂上に向って歩いたことがありました。そこは初心者向きのスキー場で、リフト用の鉄塔も並んでいて、一面の枯れすすきの間をぬって道らしきものもあったからです。このスキー場には小学生だった子どもを連れて、連休などに一泊でよく来ていました。だから、スキー場としてのスロープはよく覚えていました。だからそのスロープを、枯れすすきで見てみようと思って歩き始めたのでした。ずいぶん歩いて、私自身も枯れすすきに埋まり、クマが出るかなあ、冬眠前のクマは凶暴とかいうが、いやクマはもう冬眠に入っているだろう、頂上に行けばリフト降り場もあるし何かが見えるさ、道は確かに続いている、などと思いながら歩いていました。そのうちに、空耳かなと思うほど微かに、遠くから風のまにまに、エンジン音が聞こえてきました。まさかこんな所でエンジン音なんて、それにしても何だろう。私は急に興味が湧いてずんずん歩きました。

 70台後半と思しき老人が一人、草刈機でススキを刈っおられました。遠くに軽トラが一台。私が挨拶をすると草刈機を止められたので、急にあたりが静寂に包まれ、聞こえるのは風にそよぐススキの葉ずれの音のみ。私はそこで、勧められるままにお茶をいただき、お茶請けのせんべいまで頂戴しました。老人は何とスキー場に頼まれて、初雪までにゲレンデのススキを全部刈る仕事をしておられるとのこと。スキー場は赤字で日当が安く、若い人たちは見向きもしない仕事なのだが、それでも冬の間地元の人たちがこのスキー場で働くので、自分もお役に立ちたいと、まあ、毎年この草刈りをやっている、とのことでした。私は、肝をつぶしました。「全部をお一人でですか」「ああ、天気がよければ毎日来とるよ」。お茶とお弁当を持って、丸一日ススキの中、それも毎日だ。しかも、その人生の先輩は少しも偉ぶらず、日常茶飯事のこととして話されました。私は深い感銘を受け、今もその人生の先輩の笑顔を、克明に思い出すことができます。

 私は、草刈りが厭になると、晩秋のひるがの高原を思い出し、先輩を爪の垢にでもあやからねば、と思います。

 今日は雨、ここの草刈りが終わるのにもう一日必要です。


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