私が小学生の頃父が髭を剃るのをよく見ていた。熱いタオルを顔に当てそれから刷毛で石鹸を付ける。父は髭が濃くて多い方だったので顔半分くらいは泡だらけになっていたのを思い出す。其れから何分もかけて、丁寧に髭をそるのである。
ところが、主人の髭剃りはみたことがない、ホームへ入って手伝うようになって、主人に質問をすると出勤する前日入浴の時にそっていたという。髭が少なくてそれで十分なのだろう。6カ月の入院中は、どうしていたのかと聞くと、全然覚えていないという。多分私は手伝っていないので、看護士さんか、ケアーさんに、手伝って貰っていたと思う。
ホームに入ったときには引き出しに電気カミソリが入っていたので、家から持ってきたか売店で買ったと想像するが、何しろ私の生活が霞んでいたので私も全然思い出せない、
ここ数年は、電気カミソリを使っていたが、半年ほど前から「それはダメだ。髭のほこりが鼻に入って、気持ちが悪い、
Tの字型のカミソリがよい」という。湯を沸かし熱いタオルを用意しまた石鹸を落としてと電気カミソリの数倍手間も時間もかかるようになってしまった。それでも、時間はたっぷりあるので、主人の気持ちを大切にしてその方法に従った。
ある日外出から帰ってくると顔の下の方がサッパリしていた。「どうしたの?」というと、「自分で剃った。」という。「電気カミソリなら一人でも上手にできるのね」と云う言葉に気を良くしたのかそれから毎回電気カミソリを使っている。運が良いことに本日売店の閉店セールがあり、半額になっていた。新しいのを買ってくると刷ってみると乗り気になっている。よいことである。(E)
蓮池のパピルス
「パピルス」について。エジプトのピラミットの中から見つかった紙がこのパピルスからつくられていた、と云うことがわかって注目を集めた植物。緩やかな流れの川岸に自生する繊維質の強い植物。