ある朝眼を覚ましたら、喉がヒリヒリシテ話をするのも苦痛であった。どうやら、風邪をひいたらしい。その症状が二日間続きその後二日間の咳また二日間の発熱となった。私の場合風邪では受診しないことにしている。あるとき風邪の症状がまとめて出て近くのクリニックで薬を処方して貰うと風邪が治った頃風邪よりひどい高熱が出た。病院で血液検査を受けると肝機能障害と診断された。それ以後風邪薬は怖くて飲めない。
もう一つ忘れることができない、苦い経験がある。主人が退職したときはことのほか寒い冬だった。急に思い立ち南の石垣島へ1週間滞在するプランを立てた。のんびりレンタカーで美しいサンゴ礁の海岸を見たり船で近くの島を見学したりして有意義に休暇を過ごしていた。
ところが、帰る前日よりによってインフルエンザの症状が出た。にっちゅう20℃以上もある土地で風邪をひいたりして何と運が悪いこと。ペンションのオーナーは島には頼りない診療所が一つあるのみという。兎に角1秒でも早く帰りたい一心で診療所出向き解熱剤を貰った。次の日も熱は高くなるばかり、主人はと云えばビタミンCが多いジュースを買ってくる気配りやペンションのオーナーにおかゆを依頼する知恵も浮かばないらしく「マイッタナー」「マイッタナー」を繰り返すばかり。
退職1年目の男性はこんなものかと呆れながら文句をいう気力さえ失せていた。それでも解熱剤を服用し3時間のフライトに挑んだ。夕食はコンビニでおにぎりを買い1日1食だったのを思い出す。
それ以後主人はといえば私の4回に及ぶ入院で取得したのか、手際よく最小限の気配りができるようになった。石垣島の思い出は今でも半分は辛い思いに塗り替わっている。(E)
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