偶然が重なって高校時代の友人とメール交換が始まった。友人の息子さんがアメリカ勤務で10年近くアメリカに行っておられお孫さんがアメリカの小学校に通われた。高度成長の頃で、アメリカと云えども地域によって、大きな差があって一概には言えないが、多分アメリカの小学校では英語を母国語としない子供たちへの特別なプログラムを持っていて、お孫さんは、少人数で楽しく英語に親しまれたと思う。
そういう配慮を全くしないのが残念ながら我が国で、日本に来たアメリカ人を始めとする外国人は子供の教育に頭を悩ませたことだろう、外国で育った日本人が帰国して地元の学校に通い始めても困ってしまう。いわゆる「帰国子女」の問題だ。国際都市とまで言われるようになった豊田市では日本語を母国語としない子供たちへの特別カリキュラムを相当充実させてきたという噂を聞いたことがある。
アメリカの大きな都市には、日本人会があって、企業も参加、お金を集めて土曜日の午後日本語学校を開設し帰国後学年を下げなくてもいいように必要最小限の教育をしていたものである。
オソマツ君がアメリカに嵌っていたころそうした大都市の日本人会にお世話になり、アメリカ人の家庭に1か月ぐらいホームステイ―をお願いしていたものだ。お礼がきわめて安く済む・どうしてホームステイを引き受けるか、決して主婦のお小遣い稼ぎではなく、ほとんどが自分の子供たちへの異文化体験のためだと云っていた。小中学生の自分の子供の将来のために言葉が通じない人や生活習慣の違う人とも仲良く一緒に仕事ができる人になれるための訓練の場を提供しようという趣旨だということであった。
世話をしてくれた日本人の話によると、日本人は評判が良い。一番好評なのは使っている部屋の掃除や机やベッドの後片づけや机の引き出しの中まで気を使ってキチンと整理して使っている点だということだった。アメリカ人の母親は子供を呼んでそれを見せお手本にしているとのことだった。中国人が評判が悪いという話も聞いたがこのように人種によって決めつけるのが一番悪いことですよね。
アメリカではいつもレンタカーを借りていて手元に置き、あちこちふらふらしていた。ヨセミテ国立公園やロサンゼルスのデズニーランド、カナダ国境のナイヤガラの瀧へも行った。この三つはアメリカ人が行ってみたいと思っている三大観光地だそうで私なんかが行っていては申し訳ないことです。
ドライブと云えばアメリカの国道101号線をモーターインを使ってロサンゼルスからカナダ国境まで北上したこともあります。左手に太平洋の大海原、右手にロッキー山脈を見ながらの快適ドライブでした。
同行したのはたいていのコースでアメリカ好きで酒好きの先輩でした。
先輩は高齢で小便が近く、走行中に車をとめて道で立小便。
ある時など急いで助手席へ戻り『すぐ出してくれ、そして曲がり角でどんどん曲がって逃げてくれ」と云われる。
聞けば白いパトカーと目が合った。罰金を取られるといけないので逃げてくれということだった。
逃げて捕まったら今度はドライバーに罰金だ。まあこのときは幸いにもパトカーに捕まえる意思がなかったようで助かったがとんだ弥次喜多道中でした。
サンフランシスコのゴールデンゲイトブリッジを渡った先の丘陵地帯[サウサリート]もアメリカ西部の高級別荘地と云われている。どうしてかと云えば見晴らしがいいこととすぐ近くの太平洋を夏は寒流が冬は暖流が流れて海からの風が心地よいからである。
この地のある家庭に招待されて「航空ショー」を見学しアメリカ式パーテイーも経験した。また、サウサリートには東京築地の有名お寿司屋の支店がある。このお寿司屋さんが別荘地のアメリカ人に好評でいつも満席であった。和食がユネスコの世界遺産に登録される前の話しである。
アメリカの食事に飽きた日本人は是非行ってみたくなる。我々夫婦もそうした日本人で日本語で注文しながら日本酒も味わいつつマグロやヒラメやコハダをつまんだ時の喜びはとても言葉では表せない。こうして書いていてもあの時の感動が蘇る。
(追記)ここまで書いたら是非書かなければならないことを書き忘れたのでそれを書きます。それは「カリフォルニアロールのことである。サウサリートのお寿司屋さんのメニュー表に「カリフォルニアロール」とありましたので「あれは何だね?」と聞いたところ「巻き寿司の芯の乾瓢の代わりにアボガドの果肉部分を使ったものです。アメリカの皆さんに好評で最近では東京の本店でも巻いていますよ」とのこと、試に食べてみたがオソマツ君には合わなかった。乾瓢の方が断然美味しい。しかし、アメリカ人にはこの乾瓢の美味しさは分からないだろうなあ、と思えた。民族の味というものがあって、是は簡単には変わらない。日本に帰って[カリフォルニアロール」を注文したことが無いのでどのくらい普及したか定かではない。だがサウサリートで流行したほどには流行らなかっただろうなあと思われます。
ズッコケ旅ばかりではありません。家内と行った時などは真面目に観光地を巡り有名ホテルで高級料理も味わってきました。
コロラド川の上流のグランドキャニオンへ行った時も上品ないい旅だった。何万年かの間コロラド川が台地を削ってできた渓谷とかで気が遠くなるほど深い谷底に青く美しい川が見え、その渓谷の間を観光客を乗せた飛行機が遊覧していた。
カナダ国境沿いのウイスコンシン州へ行ったときなど美味しいメープルシロップに出会いたくさん買い込んだ。帰国後1年以上トーストパンに塗って楽しみ今でもメープルシロップを買い求めているくらいだ。この州の花の密も美味しかった。何しろ見渡す限りの草原で春には蓮華の花が咲き乱れ養蜂業が盛んでビン詰された此処の蜂蜜は世界に輸出されている。
車で走っていて道が分からなくなり、休憩も兼ねて車から降りて地図を広げていると直ぐに世話好きのオバサンが寄ってきて何処へ行くか、今夜の宿はあるかと話しかけてきてくれる。アメリカ人らしいおおらかさで私が誘導してやるから後を付いて来なさいとまで言い出す始末だった。(T)