学年末は,この一年間の学習面や生活面における児童生徒の成長と教師としての指導・支援の成果及び課題についてまとめをし,これらの情報を次年度に引き継ぐ準備をする大切な時期です。今回は,この「引継ぎ」についてお話ししたいと思います。
特別支援学校の目的(学校教育法第72条)は,幼稚園,小学校,中学校,高校と同等の教育を施すこと,そして障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることです。小学部入学から高等部卒業までの12年間をかけてこれらの目的を達成するための教育計画が教育課程であり,毎日の授業となります(小学部・中学部・高等部における発達の時期の特徴を踏まえ,この時期に身につけたい力を考え,児童生徒一人一人の自立と社会参加を目指しています)。これらの教育活動を行う上で大切なことは「一貫性と系統性」であると考えています。一貫性とは指導方針や指導方法がブレないこと。系統性とは指導課題が適切に積み重なっていくことです。特に自立活動に関しては,一年間で達成可能な指導目標ばかりではないので,「一貫性と系統性」に基づく指導が重要となります。特別支援教育においては,数年間というスパンで取り組むことが児童生徒の発達をより効果的に促すこととなります。しかし残念なことに「引継ぎ」の際にこの「一貫性と系統性」が軽視されリセットされてしまうことが散見されます。
そこで「一貫性と系統性」を重要視して確実に引継ぎが行われるようにするために,「個別の指導計画」が平成11年の学習指導要領の改訂の際に示され,本県においても平成15年に「個別の指導計画作成の手引き」が発刊されました。そして平成21年の学習指導要領改訂において,小・中学校の特別支援学級や通級による指導も含め,特別支援教育を受けるすべての児童生徒に作成・活用されることとなりました。障害特性を含め個々の児童生徒の実態は異なります。その一人一人の自立と社会参加を考えた指導計画が「教育支援プランA・B(個別の教育支援計画・個別の指導計画)」となります。
できれば,福祉課や放課後等デイサービス(障害児通所支援事業所)で作成される「個別支援計画」とも連携・協働して一人一人の児童生徒の実態や目標,指導・支援の方法など,共通理解のもと,取り組むことが望ましく,そうすることにより効率的で効果的な計画となると思います。
個別の教育支援計画及び個別の指導計画,個別支援計画の活用については,時間的経過を伴う「縦のつながり」と,関係機関同士の連携を促進させる「横のつながり」を意識しながら,指導方針や指導手続きを統一し(一貫性),一年間かけて積み上げてきた力がその次の年に更に積み上がるように(系統性),学習を積み重ねていくことがとても大切だと考えます。 (畠山)
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