すっかり曇りの日となりました。
最近針を持つ時間を作るようにしています。
以前は秋になるとなんとなく縫い物がしたくなる私でしたが
最近はめっきりそんな気持ちもなくなりました。
歳をとったのでしょうか。
それでも時として生活の中で縫い仕事も産まれますよね。
子供がいないということは
そんなことも死ぬまで自分でやっていくってことですからね。
その必要に迫られて今回布を縫いました。
直線縫いです。
絹地なので細い糸に細く短い針を使います。
結構面倒な仕事です。
糸を通すのも面倒です。
でも必要があるので
その面倒な仕事をいかに楽しく片付けるか、
考えてみました。
思いついて
正しい針の持ち方と運針を教えてくれるユーチューブを検索。
おかげで目から鱗の経験をしました。
学校で裁縫の時間が始まったのは確か小学校四年生の時でした。
その時に白い晒しの布に赤い線が引いてある
運針用布というのがありそれで縫う練習をしました。
その時に針の持ち方も習ったはずです。
正しい針の持ち方を教わるなんてその時以来でした。
そしたらね、
全然正しくないやり方で覚えていましたの。
あらら。。。
運針は布を動かして縫い進めていくのに対して
私は針を動かしていました。
なんてこった
そういえば布を動かすやり方を教えてもらった記憶はあります。
でも針を動かしていました。
それから、改めて針を正しく持ち
布を動かす方法で運針の練習のつもりで布を塗ってみると
針を動かすよりも早く縫えるのです。
驚きました。
布を動かしながら縫い進めていくとまるで機械になったみたいに
布がたくさん掬えるのですね。
知りませんでした。
布は絹だし触っていて気持ちがよく、
新しい技術を学ぶつもりで運針を楽しんでいるうちに
目的の布ができました。
日本の着物はほとんどが直線縫いでできているでしょ。
技術を極めて本当に機械みたいにさっさと縫い上げる人とか
いたのでしょうね。
お針で食べていけた時代がちょっと羨ましいですね。
針を持つって手先の仕事だし、
ボケ防止にはいいかもしれません。
でも靴下の繕いは運針の練習にはなりませんね。
運針もどれだけ練習すれば上手になるのでしょう。
そう思うと始めてみたくなりました。
実はね、去年のいっとき折り紙に凝ったことがありますの。
記事にしたこともあるかもしれません。
折り紙で箱を作りました。
小さな箱とか細長い鉾とか、、、
色々と作ったんです。
それも手慰み。
なんとなく手で何かを作り上げたい衝動のようなものが時々起こるのです。
そんな時は雑巾を縫ってみたり、
色々しますが去年は箱を作りました。
今年になってその箱作をまだ覚えているだろうか、と
ふと自問する時があり、作ってみたらしっかりと覚えていました。
ほっと安心すると同時に、
箱を作りながら以前はわからなかった、より綺麗に作るポイントに気がついたのです。
この発見はなかなか嬉しいものでした。
本当に些細なポイントに気がつかないでいたのです。
それを知って作ってみると前より格段に綺麗な箱ができました。
それから、時々箱を作るようになったのですが、
作るたびに新しい発見があって必ずその前の作品より良いものができるのです。
それで楽しくなってしまいました。
それまでどうしてそんな簡単なことに気がつかないのか、
わかってみると自分が情けなくなるくらいです。
でもわからなかったのですから仕方がないわよね。
なのにそれが、次に作ると気がついてまた一段と綺麗な箱が出来上がるのですから不思議です。
ウクレレもそうなんです。
滅多に弾かなくても弾き続けていると少しずつ上手になっています。
ならば運針も、
続ければきっとうまくなると思うのです。
運針は布を動かすだけではありません。
ミシンの送り板が布を少しずつ送っていくように
人差し指と親指で
針の先を優しく持ち、ほんの少しずつ布を送る動きをしています。
これが絶妙の指さばきなんです。
和裁ってすごい、と感動します。
正座して両の手で布を持ち、肩を落として力を抜いて、
チクチクチクチク、チクチクチクチク。
無心の時間が過ぎていきます。
なかなか素敵な時間の過ごし方でしょ。
布は出来上がってもう縫うものはないのですが、
手が縫いたくてうずうずしています。
縫いたいのは直進縫い。
どこまでも縫っていきたい気分です。