クリスマスツリー星団を撮影した翌日も空は晴れていた。ただ風が前日より強い。明日は仕事だし、今日は写真を撮るのをやめて帰ろうと外に出た。
夕暮れの西の空に細い月が掛かる。月齢2.1。これくらい細い月も美しい。欠けている部分がはっきりと見えていた。太陽に照らされた地球の輝きを受けて、月の影の部分が明るく見える。地球に照らされているから「地球照」という。
昔から人々は月を鏡になぞらえてきた。しかし、月面の反射率は意外に低い。7パーセント程度だという。それに比べて地球の反射率は30パーセントを超えている。表面を月には無い白い雲が覆っているためで、38万キロも離れた月面をこれほど照らすのはそのためだ。
この地球照がここ数年明るくなってきたという。それだけ雲が増えてきた、ひいては地球が暖かくなってきたということかもしれない。反射率39パーセントという観測もある。そういえば、満天の星空という日が、昔に比べて少なくなったような気がする。
地球照の明るさを観測して地球の気候変動を知ろうという試みも行われている。そう、やはり月は地球を映す鏡なのかもしれない。