天の川にはあちこちに、まるで腕を伸ばしたアメーバのような細く長い暗黒帯がある。その黒いガスの塊からやがて次の星々が産まれるのだ。本当はそれは広い夜空のどこででも起こっている事なのだろうが、天の川では背景の星明りがそれを浮かび上がらせているだけなのかも知れない。
そのひとつ、IC5146。通称まゆ星雲。それは、はくちょう座の端を流れる天の川に作られた産室で、神が紡ぎ上げた繭そのものだ。僕の機材では鮮明な映像を十分捕らえる事が出来ないが、この画像の中には3つのガスが写し出されている。まず、星屑を黒く隠す暗黒帯のガス。次に自分ではまだ光ることが出来ず、周りの星の明かりを受けてぼんやりと青く見えるガス。最後が自ら赤く光るガス。赤い光は温められた水素が発している。
次回はその暗黒帯を含む全体を撮ってみよう。また宿題が増えた気がした。