観測デッキに注ぐ陽射しがまぶしい。今夜はこのまま晴れるのだろうか。大きいカメラを持ってくるべきだっただろうか。少し期待したが、いったん薄くなっていた黄砂は再びあたりに立ち込め始め、夕刻には島影も淡くなってしまった。黒点も撮れたし、今日は帰ろう。
屋根を閉め、大工道具も片づけて竹取庵に鍵を掛ける。丘を下ろうとすると、向かい側の山に細い月が掛っていた。月齢2。このあたりの地形はほとんどがなだらかだが、この山だけは少し傾斜が急だ。なんだか絵に描いたような風景だった。車を止めてカメラを向ける。明日からまた天気が悪いそうだ。次に観測デッキの屋根を開くのはかなり先になるだろう。