ベールをかぶった空はそのまま夕暮れとなり、やがて月の出を迎えた。今日は十五夜。しかも、事も有ろうにスーパームーンだ。地球は太陽を中心にほぼ真円の軌道を描いて回っている。しかし月の軌道はかなり楕円。だから地球から見て月は遠い時と近い時がある。その近い時の満月をスーパームーンと言うのだそうだ。
確かに今夜の月はでかい。月と地球の平均距離は38万4400キロメートル。なのに今は35万7000キロしか無い。このためいつもより当然明るい。まったくいい迷惑だ。その明るい照明がベールに反射して空一面が薄茶色くもわもわとしているではないか。星なんかほとんど見えないのだ。
1時間半ほど待ってみた。その間に土星は高度を上げてくる。真上に近ければベールも薄くなるかも知れない。今の時期、月の通り道は低い。スーパームーンは薄茶色のベールを横切りながら斜めに昇ってゆく。この写真の上のほう。少し左側に見えるのが土星だ。これならいけるかもしれない。8センチ屈折にカメラを繋いでみた。