久しぶりだった。本当に久しぶりだった。挨拶に行ったらおばさんに、
「あんた病気にでもなったんか思うて今日来られんかったら電話しょう思うとったんよ。」と言われた。いや、病気になどなる暇は無かった。それに、今年92歳になるおばさんに体の心配を掛けるようでは申し訳ない。事情を説明した後しばらく世間話をして竹取庵に入った。
そう、少しは仕事もしなければ。竹取庵は北側に寝室の建て増しをもくろんでいる。そこで、上手からの雨と土砂の流れ込みを食い止める役割りも兼ねた地業をブロックで作る。春までにこれが出来れば、材木を買ってきて上屋を建てられるのだが。今日のみかんの丘は気温がまだ低いものの陽射しはうらうらとしていた。少し霞んでいるが島影もはっきりと分かった。
今夜はどうだろう、天気予報は晴れとはなってはいるが、一般の感覚の晴れと僕らの晴れはまた違う。そう思いながら作業を進めるうちに日が西の丘に沈む。暮れなずむ空はまだらだった。