空の上で大物が会合をするという。それも397年ぶり。これを撮影しないわけにはいかない。そう思って公私ともに忙しい中を1カ月近く前から無理やり準備してきた。ただ、竹取庵の観測デッキはあのスズメバチ騒動以来放置。望遠鏡もすべて外して、メンテナンスの名目で岡山の家に転がしたままだった。かなり考えて、撮影する望遠鏡を口径8センチのフローライト屈折と決め、手持ちのカメラを全部持ってみかんの丘に上がった。デッキの中はゴミだらけ、埃だらけ。昼過ぎから掃除機と雑巾を使って何とか撮影が出来るところまで漕ぎ着けた。みかんの丘の娘さん夫婦にも見せたいので双眼鏡も準備する。
久しぶりだ。なんだかワクワクする。そうだ、屋根が開いたところを撮っておこうと竹取庵の外に出た。みかんの色に染まった丘。今年はみかんが豊作で、すでに普通のみかんは収穫をほとんど終え、残っているのはネーブルなどだ。
ああ、この風景を撮影するのも何年かぶりだと思いながらデッキに戻って撮影の準備をする。と、南の空に月の姿を見かけた。
今日の会合は大物惑星の木星と土星だが、月の撮影もしてみようか。カメラを東に振って撮ったのがこれ。月齢6.8の幽月だ。
幽月とは昼間に見える月。僕が勝手に名付けたものだ。この月も数日前に西の空で土星や木星と立ち話をしているところが話題になっていた。月をとらえて満足し、望遠鏡をもう一度木星と土星に向けなおして空が暗くなるのを待つ。
撮影は屈折望遠鏡の接眼部に焦点距離12ミリのアイピースを取り付け、その後ろにレンズを外したカメラを取り付ける「拡大撮影」という方法だ。西の空の高度20度ほどのところに二つの星がほぼ縦に並んでいるのが見え始めた。カメラをセットしてモニターを見ると、これまで個々に撮影していた巨星が、なんと同じフレームの中に一緒に見える。ピントを合わせ直していくつもシャッターを切った。この季節、気流が悪いのは仕方が無い。しかも高度が低い。沢山撮ったコマの中から選んで画像処理したのがこれだ。
木星の縞を写そうとしたが、そうすると露出不足となって衛星が消えてしまう。と言う訳で、ここは木星の子供たちを優先することにした。
空が暗くなるにつれて星の数が増え始める。雲がほとんどない。素晴らしい眺めだ。ああ、本当に久しぶり。ただ、モニターの中の巨星たちの映像は、低高度で気流を拾い、グニャグニャとクラゲのようだ。仕方が無い。ここで終わろう。次に巨星たちがここまで近づくのは2080年だという。さすがに生きていないだろう。ふふふ。と言う訳でこれがデッキからの最後のショット。
おやすみ、星たち。きっとまた戻ってくるからね。
地平線すれすれの木立の上に輝いているのが木星と土星。よくよく見ると二つが分かれています。
貴重な写真有難うござぃます(*^^*)
月も綺麗なのだ(^∇^)
ネーブル下さい(°▽°)/