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今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

ラストに作者の冷徹な目が!井上ひさし「馬喰八十八伝」

2017-04-04 10:49:08 | 日記
先日観た「私はだれでしょう」で、久々に「井上ひさしの世界」に触れたので、今度は、これまた久々に小説も読んでみようと思い、「馬喰八十八伝」読みました。
八十八という青年が、舌先三寸で、のし上がっていく姿を描いたもの。やはり、面白い。八十八は、老いた母 これまた老いた馬「花雲」と一緒に旅を続けています。死ぬ前に100か所の神社やお寺にお参りしたいというのが、母親の希望です。成田山で88か所というところまできた八十八一行。下総国高野村というところに着きます。八十八が、飯の種にしているのが「花雲」の種付け。この馬、老いたとはいえ、精力絶倫なのです。が、この地では、代官・長島茂兵衛の差配・駒太夫という男に、「種付けはまかりならぬ」と言われ、それだけではなく、「花雲」まで奪われてしまいます。八十八 持ち前の悪知恵で、駒太夫の鼻を明かすことに成功します。しかし、下総国の代官の名が、長島茂兵衛とは、やはり、あの佐倉出身のスーパースターに、由来しているのでしょうか。
閑話休題。その後も、野盗の「片目の権蔵」代官・長島茂兵衛などと対決する羽目になる八十八。その度に、嘘を並べたて、窮地から脱出します。そのうち、村人たちを味方につけ、また、村一番の美女・お今さんの心も射止めた八十八 彼女を側妻にしようというお殿様と、ついに相対することになります。私、当然、八十八が打ち負かしてハッピーエンドになると思っていたのですが」、その期待は、脆くも打ち砕かれました。そこに、現実を見つめる作者のシビアな目がありました。