トンリョウ(TongLiao)ワークブーツ/バイクブーツ

ちょっと作りが違うワークブーツです。

すくい用糸づくり

2012-08-22 18:20:26 | Boots
 前回の作業で吊り込みが終わったので次はウェルトを縫い付ける作業です。


手でウェルトを縫い付けるので“ハンドソーンウェルト製法”です。
仕組みが同じで機械でつくるものを“グッドイヤーウェルト製法”といいます。
グッドイヤーウェルト製法はウェルトを縫う機械を発明した人が“グッドイヤーさん”という人だったそうです。

 ハンドソーンの場合、吊り込み前に中底の溝を掘ったり(前に記事にしましたね)、
ウェルトを縫い付ける糸を作ったりと機械でできない分手間がかかります。


 今回はウェルト縫い用の糸作りをします。
ウェルトを縫い付ける作業の事を日本では“すくい縫い”といいます。なので今回は「すくい用糸づくり」です。


では順番に

1、使用する糸を使う長さに切る

使うのは麻糸で、細い糸を9本使っている“9本縒(よ)り”です。
 この糸を使う長さに切ります。 糸の長さは短くてはもちろんダメですが、長すぎても作業がしずらいので
ちょうど良い長さに切ります。


2、切った糸にチャンを引きます。(擦り込みます) ※両端はやりません。
 チャンとは松脂(まつやに)の事で、糸作りに使うものは油と一緒に火にかけて混ぜたものです。
油の量が少ないと硬くなり、多いと柔らかくなります。(私は固めが好きです☆)
出来たチャンはベタベタしてます。 たしか、昔あった“ハエ取り紙”も松脂を使ってます。

この時に麻糸の中までチャンが染み込むように引かないといけないので摩擦熱で結構熱くなります。


3、布でチャンを均一に慣らし、余分なチャンも拭き取ります。

この作業は結構「ゴシゴシ」やるので厚手の布を使います。
 この後、ロウを引く職人さんもいますが私はこのままです。(だからあんまりベタベタしない固めが好きなんです☆)

出来たものがこちら

右:チャンを引く前  中:チャンを引き布で拭いたもの  左:チャン
チャンを引く前と引いた後で太さが違うの分かりますか!? チャンが付いているのに細くなってるという事は
「締まっている」という事です。


4、糸の先を細くします。

9本をバラバラにして、バラした糸を1本ずつ細くします。
細くするのは縒ってある方向と逆に回すと細くちぎれていきます。これを9本すべて違う長さにします。
 一足で麻糸を2本使い、糸の両端ですから 2×2×9 で合計36回この作業をします。

んで、できたものがこちら

左:切った状態  中:縒りをほどき細くしたもの  左:“中”の作業をした後、縒り直したもの

どうですか、うまい事細くなってるでしょ!


5、毛針と糸にチャンを引きます。
※写真は針だけです。

上が昔から使われている毛針で、下は今回使う釣り糸です。
 日本ではすくい縫いには金針を使っていますが、オーダー靴を作っている友人に釣り糸の事を聞き、
試したところ釣り糸のほうが作業がしやすいので釣り糸を針として使います。(毛針だと若干柔らか過ぎます)


6、針に糸を巻きつけて完成です。

針から糸に変わるところが太いと縫いづらかったりするのでなるべくなだらかに巻きつけます。


 麻糸にチャンを引く理由は、強度を増す為と、腐食防止の為です。
化繊の糸を使えば強度はあるんですが、糸先を細くできないので、すくい縫いができません。
なので手間をかけてこの作業をする訳です。

 量産の靴のように機械製が多く出回っている現在ですが、トンリョウではこのように手作業が増えます。
もちろん効率化を考えれば機械を使うほうが良いと思いますが、効率だけを考えず“良し悪し”も考え、
手作業の良いところは残して1足1足つくります。 ※機械にも効率以外に良い所はたくさんあると思っています。





トンリョウではお客様の足を採寸し、履き心地はもちろん、デザインや仕様まで対応してお作りします。

興味のある方・ご質問のある方はお気軽にご連絡ください。




価格 : ラスト代  ¥ 20,000(税込¥21,000) ※初回のご注文の場合は必要になります。
     ブーツ代  ¥115,000(税込¥120,750)~


 
連絡先等は
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