古い話だが2月初旬にFBから、2021年のオリンパス特例子会社におけるストライキに関する情報が出てきた。
流れてきた記事は、全労連のものだ。
障がい者雇用労働者が賃上げ求め1日ストライキ! オリンパスサポートメイト分会のたたかい 首都圏青年ユニオン #労働組合ができること - 月刊全労連・全労連新聞 編集部 (hatenablog.com)
いろいろ書かれていているが、結局のところ会社からの譲歩はなかったけど、組合員が団結できた。ということだった。
まず前提条件として、私は労組肯定派である。
共産党系とされる全労連も、反共の闘志が頭となった連合も、労働団体としてがんばってもらいたいと思っている。
また私自身も、労働者として運動に参画したいと思っているし、これまでも連合系労組による強制的な参加義務をふくめ、労働運動に参画してきた。
そんな私でも、読んでいて奇異に思われることがいくつかあった。
まず、これはベタな情報なのだが、ストを起こした外部団体は東京都労働委員会から労働団体法上の労働組合とは認定されなかった。という情報がもたらされた。
組合費を聴収せず、組合員で運営されているか不明。とかなんとか。何だ、この組合は。と思った。
共産党の議員が何人も絡んでいるとかなんとか。運営に参加せんでいい?
なんじゃそりゃ。と思った。
共産党がいけないとは思っていないが、会社外の人間が当事者を差し置いて騒いでもしょうがないと、私は思う。
それから、記事で組合員の大変な貧困ぶりがかかれているが、私は生活保護を受けている人を含め、あのように書かれるほど困窮した障害者に、今まで出会ったことがない。
障害者はだいたい貧しいことは認める。
しかし生活保護などを受けやすい立場にあり、その多くが何らかの支援者と繋がっている。
貧しいかもしれないが、困窮する前に誰かが手当てをするか、声を挙げれば比較的救済されやすいのが障害者である。
また、障害者雇用。特に大企業の、しかも特例子会社。ということであれば、「親との同居ありき」「障害年金受給が前提」の賃金設定だ。
それに留まれ。とは言わないし、ちゃんと暮らせて結婚もできて子供も設けられる経済力がベストだ。
障害者雇用もいろいろで、中にはかなり稼いでいる人もいるが、その多くが最賃法レベルの仕事。それをあらかじめ知ったうえで障害者雇用されるのだ。
仕事内容も生産性の乏しいものが多い。配慮を得るためになかなか高給の見込める業務に携われないのだ。
分かったうえで、理解した上で就職しているはずだ。
記事の給料は、生活保護よりは上の給料。
贅沢ができるとは言わないが、いろいろ工夫すれば書かれているような困窮には陥らないはずだ。
これは全労連のプロパガンダなのではないか?
多少の誇張はあるとはいえ、おおむね全労連の主張は的を得ている。
確かにあの給料では家族を経営できない。
飲みに行けない。遊びに行けない。
家のローンなんて払えない。それどころか奨学金の返済にも苦労する。
そこは事実だから、最賃法の引き上げなどの政策を期待したい。
本人努力があっても、転職したら。という声もあると思うが、それに関しては他に譲る。
私は、支援側の構造的問題と、総合的ソーシャルワークのなさを強く感じた。
つまり、
- 労働組合は、労組の拡大にしか関心がない。ということ。
- 当事者たちが受けたであろう就労支援は、就職と職場定着にしか関心がない。就職さえさせればいいという団体さえある。その後の生活に就労支援福祉は関心がない。
- 公営住宅をあてがうことができれば、経済状況はかなり改善すると思うが、住宅福祉はもっぱらホームレス方面福祉の人たちの専売特許となっている。というと。
障害者のひとり立ちには、公営住宅あっせんをふくめ、福祉資源を最大限活用することが大事だと、私は思う。
こういう時に「ソーシャルワーカー」という存在が本当に存在するので張れば、大変役に立つと思うが、このストライキでは社会福祉系の人たちの影が全く見えない。
日本のソーシャルワーカーは実質、「営業部隊」。
ソーシャルワーカーと呼ばれる人たちの9割が公務員であるイギリスなどとは異なり、日本は一般企業〈社会福祉法人や医療法人を含む〉がほとんど。市場経済化された日本の福祉では、自分の団体の経済的社会的利益にならない行動を、「ソーシャルワーカー」がとることはない。
そこを踏まえて、行動するしかないと思う。
綜合的な支援をしてくれる組織があればいいのだが、現代日本ではそれは望めない。
例えば、より身近な医療では、素人である私たちが専門の先生を選択しなければならない。
欧米では「家庭医」がまず診てくれて、いろいろな専門医に振ってくれるそうだが、私たちは専門知識ないまま自己責任でやるしかない。それは医療だけでなく福祉もそうなのだ。
オリンパス特例子会社のストは、この国の支援体制が縦割りで幅の広い支援がなく、自分が自分の司令塔になるしかない。ということを示したと私は感じた。