連続五回目です。
一歳半で早死にした林太郎、自宅の居間に安置された。そこに駆けつけたのは林太郎の霊、しかし年齢は二十歳の姿です。その林太郎がお迎えの火砕流に巻き込まれ、降り立ったのが三途の川の畔、川守セートに導かれるまま眼にした光景が…
全体で七十二枚(四百字)換算です、その一部をここに載せます。全体(および既掲載分)を読みたい方はブックマークからHPの部族民通信に入ってください。
では三途の川下りの段を下に
>ここで不思議な光景がくり広がった。渡しの舟が流れ緩い瀞に入った時に、舷に水面から手が伸びたのである。骨と皮だけの痩せた手が、何本か舟の舷をつかんだ。その主は水面から顔を出し、ようやく息を継げた。そして舟にすべり入ろうと試みた。この渡し舟は長さも四メートルほど。幅は一メートルも無い。そのように下から舷をひかれると、その重みで傾く。面から二本の手が、取から一本の手が。舟は進むのがままならず、しかも水面近くに沈み込んだ。このままでは冥土に行き着く術なく沈没だ。
セートは舷の手を水棹で強くピッシと叩いた。手の主から舟舷がすべり離れ手云った、セートはさらに棹を差し急いだ。
「今の手は」
「林太郎霊、驚いたろう。三途の川の土左衛門だ。
彼らは亡者で、事もあろうに引導を拒み娑婆に戻るといって渡し舟から川に向かって飛び込んだ。しかし引導渡し場に泳いでは戻れない。ああやってプカプカと瀞に瀬に泳ぎ続けている」<
一歳半で早死にした林太郎、自宅の居間に安置された。そこに駆けつけたのは林太郎の霊、しかし年齢は二十歳の姿です。その林太郎がお迎えの火砕流に巻き込まれ、降り立ったのが三途の川の畔、川守セートに導かれるまま眼にした光景が…
全体で七十二枚(四百字)換算です、その一部をここに載せます。全体(および既掲載分)を読みたい方はブックマークからHPの部族民通信に入ってください。
では三途の川下りの段を下に
>ここで不思議な光景がくり広がった。渡しの舟が流れ緩い瀞に入った時に、舷に水面から手が伸びたのである。骨と皮だけの痩せた手が、何本か舟の舷をつかんだ。その主は水面から顔を出し、ようやく息を継げた。そして舟にすべり入ろうと試みた。この渡し舟は長さも四メートルほど。幅は一メートルも無い。そのように下から舷をひかれると、その重みで傾く。面から二本の手が、取から一本の手が。舟は進むのがままならず、しかも水面近くに沈み込んだ。このままでは冥土に行き着く術なく沈没だ。
セートは舷の手を水棹で強くピッシと叩いた。手の主から舟舷がすべり離れ手云った、セートはさらに棹を差し急いだ。
「今の手は」
「林太郎霊、驚いたろう。三途の川の土左衛門だ。
彼らは亡者で、事もあろうに引導を拒み娑婆に戻るといって渡し舟から川に向かって飛び込んだ。しかし引導渡し場に泳いでは戻れない。ああやってプカプカと瀞に瀬に泳ぎ続けている」<
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