撫子唐草図縁頭 美濃

撫子唐草図縁頭 美濃
時代は少し遡るが、江戸時代初期の縁頭の資料があったので紹介する。Photo①は唐草に構成した秋草撫子図。赤銅地を鋤き下げて深彫とし、彫際を削ぐように古典的な技法を駆使して文様を際立たせている。線の描写が前回紹介した秋草に虫図よりも繊細で、文様が引き締まっている。この風合いが時代の上がる要素と捉えてよいだろう。この手の縁頭で、古美濃極めの作もあり、極め所は彫刻技法だけでなく、腰の高さや肉取り(地金の厚さ)、縁の長さ、幅などが考慮される。網目のように配された唐草に浮かび上がる撫子の花と葉。それぞれが金の露象嵌で装われており、濃密な金色というわけではないが、魅力ある構成である。線の切り口、花弁の隙間などにも、目貫でいうなれば抜け穴のような趣があり、これも見どころ。

撫子唐草図縁頭 美濃
時代は少し遡るが、江戸時代初期の縁頭の資料があったので紹介する。Photo①は唐草に構成した秋草撫子図。赤銅地を鋤き下げて深彫とし、彫際を削ぐように古典的な技法を駆使して文様を際立たせている。線の描写が前回紹介した秋草に虫図よりも繊細で、文様が引き締まっている。この風合いが時代の上がる要素と捉えてよいだろう。この手の縁頭で、古美濃極めの作もあり、極め所は彫刻技法だけでなく、腰の高さや肉取り(地金の厚さ)、縁の長さ、幅などが考慮される。網目のように配された唐草に浮かび上がる撫子の花と葉。それぞれが金の露象嵌で装われており、濃密な金色というわけではないが、魅力ある構成である。線の切り口、花弁の隙間などにも、目貫でいうなれば抜け穴のような趣があり、これも見どころ。