鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

北条時政夢見図縁頭 Fuchigashira

2011-05-11 | 縁頭
北条時政夢見図縁頭


北条時政夢見図縁頭

 武家政権の確立を成したのは源頼朝であったが、その後、権力構造は後ろ盾であった北条氏に依るところとなる。その北条氏の伝説。
 北条時政が御家安泰を祈願して江ノ島弁天に参詣した。その夜、夢見に一人の女が現われ、時政の隆盛を告げると大蛇に姿を変え、三枚の鱗を残して海に潜っていったという。大蛇こそ江ノ島に伝わる伝説の龍神に他ならない。これにより、時政は北条家の家紋を三鱗にしたともいう。
 この縁頭は、江戸時代も後期の作で、画題はこの伝説に従ったものであろうが、登場する女性は弁才天らしからぬ風体で武装しており、より武家の伝説に近いものとされている。同図は他の作例でも見ているが、残念ながら写真資料がない。この縁頭では北条氏という決め手はないが、北条氏の伝説を下敷きとしたものと考えて良いだろう。だが、断定はできない。これは北条氏の伝説によるものではなく他の図であるということをご存知の方がおられたら教えてほしい。写真例は拵に装着されている柄前から採っている。