鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

源平合戦図揃金具 Soroikanagu

2011-05-28 | 縁頭
源平合戦図揃金具(拵)




源平合戦図揃金具
 平安時代の武士の伝説では、八幡太郎のほかには、弓矢に長じた源為朝なども採られることがある。為朝に関しては『平家物語』や源氏隆盛譚へは直接繋がらない。
武家社会では、ここに紹介したような伝説や、『平家物語』など合戦譚を素材として教育がなされた。もちろん中国の伝承も採られている。鎌倉時代から室町時代にかけては教育的な意味合いが強く、江戸初期の装剣小道具の図も戒めや武士が採らねばならない道などを暗示する図が多かったと推測されるが、江戸時代も降ると、殊に大衆演劇の発展を経ると、もちろん役者が演じる名場面が装剣具にも採られるようになる。ストーリーが複雑になれば、名場面はより鮮烈に、印象に残る構成とされる。為朝伝説もこれに類する。ただし、『平家物語』に取材した源平合戦図は、普遍的に人気が高かったようだ。
 この揃金具は、大小拵に装着されているもの。目貫は舟戦の図であることから、壇ノ浦の場面か。赤銅地高彫に金素銅色絵。大刀が久國、脇差が吉國の大小刀が備わっている。□