鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

獅子図鐔 雪山 Setsuzan Tsuba

2018-12-04 | 鍔の歴史
獅子図鐔 雪山


獅子図鐔 雪山

 先に紹介した高山と同じ構成になる鐔。裏面だけでは何が描かれているのかわからない。長く金工を楽しんできた方であれば、主題の肌模様から辛うじてそれと判るだろうが。表裏連続して完成される図柄。高山の作も腐らかしによって変化をつけた地金が、図柄に面白味を与えている。異界にでも紛れ込んだような感じ。真鍮という素材は、銅と亜鉛の合金だが、溶ける温度が極端に異なることから造り出すことが困難であった。どのような処方で真鍮地を製作したものか不明だが、古い真鍮地の作品には、この鐔や、埋忠派にも見られるように、細かな鑢目のような肌が現われる。これも自然な景色となっている。このような地金はともかくとして、表裏を強く意識した作品である。