朝妻舟図鐔 後藤一乗
朝妻舟図鐔 後藤一乗
この図について、解釈は多様である。古くは源平合戦に敗れた平家方の女房たちが、琵琶湖畔の朝妻辺りで身を売って生活していたという伝説があり、これを題にしたもの。またこれを背景に、江戸中期の絵師英一蝶が描いている。ところが、将軍綱吉が柳沢吉保の妻と通じていたことが話題になり、それを揶揄して描いたとも言われている。金工後藤一乗は幕府と深い関係があることから、一蝶と同じ考えで彫り描いたとは思えない。作品は、表裏を小舟で連続させている。因みに一蝶の絵は舟に座り込んでいる様子。この鐔では、表に裏の脱ぎ捨てられた水干や扇がある。これだけでは何の図か判らないのだが、裏に舟を漕ぐ遊女があり、ようやく背景が浮かび上がってくる。巧みな表裏の使い方である。
朝妻舟図鐔 後藤一乗
この図について、解釈は多様である。古くは源平合戦に敗れた平家方の女房たちが、琵琶湖畔の朝妻辺りで身を売って生活していたという伝説があり、これを題にしたもの。またこれを背景に、江戸中期の絵師英一蝶が描いている。ところが、将軍綱吉が柳沢吉保の妻と通じていたことが話題になり、それを揶揄して描いたとも言われている。金工後藤一乗は幕府と深い関係があることから、一蝶と同じ考えで彫り描いたとは思えない。作品は、表裏を小舟で連続させている。因みに一蝶の絵は舟に座り込んでいる様子。この鐔では、表に裏の脱ぎ捨てられた水干や扇がある。これだけでは何の図か判らないのだが、裏に舟を漕ぐ遊女があり、ようやく背景が浮かび上がってくる。巧みな表裏の使い方である。