表題は6月27日の日経夕刊<プロムナード>欄に掲載された羽田圭介さんの最後の(プロムナード
としては)エッセイのタイトルです。
ご存知の方も多いとは思いますが。羽田さんについて簡単に触れておきますと。2003年17歳高校生
としては3人目という若さで若手作家の登竜門「文芸賞」を受賞、その受賞作「黒冷水」には将来の芥川賞
作家として私も注目しておりました。数回の候補作を経て結果的には2015年度に「スクラップ・アンド・
ビルド」で第153回芥川賞を受賞したのです。そしてこれはお笑い芸人又吉直樹氏「花火」との同時受賞
ということもあり、マスコミを賑わせましたことは皆様ご案内と思います。
さて、受賞後半年間はテレビ・ラジオへの出演、雑誌の取材攻勢等でとても落ち着いて文章を練る時間が
取れなかったようですが、約半年後に日経から週1のエッセイ執筆の打診があり、若干の躊躇の末に引き受け
たようです。結果的に本人も「面倒なエッセイ執筆を引き受けてしまったとずっと後悔していた。けれども
いつしか、1400文字を書くといういう身体感覚に身体が慣れた。」と述べているように文筆家としては
有益な体験となったと思います。また私も彼の新しい可能性を見出せて大いに感銘を受けました。まだ30才
新鋭文学者の今後を陰ながら応援していきたいと思います。