日教組・教研全体集会が初の中止 ホテル拒否、司法に従わず
2008年2月2日 朝刊
日教組は1日、東京で2日から開く「教育研究全国集会」の全体集会会場となっていたグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が、右翼団体によ る妨害行為などを理由に一方的に契約を破棄したため、全体集会の開催を中止すると決定した。都内各地での分科会は予定通り実施する。
1951年に始まった教研集会の歴史で全体集会が中止に追い込まれたのは初めて。同ホテルは、裁判所の仮処分決定に反して施設使用を拒んでおり、憲法が保障している集会の自由や、企業の社会的責任をめぐり論議を呼びそうだ。
記者会見した日教組の森越康雄委員長は「司法の判断に従うというのは法治国家の基本。それに従う必要はないというホテルの姿勢は自由や民主主義を壊滅させるものだ。これまでに謝罪の言葉すらない」と批判した。
日教組は「プリンスホテルの不法行為は断じて容認できない」とする緊急の抗議声明を発表、損害賠償請求訴訟の提起も検討している。
一方、プリンスホテルは「当社は『お客さまの安全・安心』を企業理念、規範、行動指針の第一に掲げており、今回の姿勢はそれに沿ったもの」とするコメントを発表した。
日教組は昨年5月、ホテルと会場の使用契約を交わしたが、11月になり、ホテルが右翼団体による妨害行為の可能性などを理由として契約破棄を通告した。
日教組の申し立てに基づき、今年1月には会場使用を認める東京地裁の仮処分が決定し、ホテルが東京高裁に行った抗告も棄却された。
教研集会の開催をめぐっては過去4回、自治体や第三セクターの施設側が使用を拒否した例があるが、いずれも司法判断に基づき予定通りの会場で開催が実現している。今回は完全な民間企業の施設を利用して開催する初のケースだった。
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